宇宙飛行士野口聡一が語る、挑戦と自分との向き合い方
2025-12-26 15:00:05
12月24日、東京都立駒場高等学校の約700名の生徒たちに向けて宇宙飛行士・野口聡一氏による特別授業が開催。野口氏が宇宙飛行士を志してから実現に至るまでの道のりや、宇宙での体験から得た学び、葛藤や己と向き合う大切さ、夢の実現のためのヒントなどを語った。

野口氏が宇宙飛行士を目指したのは、アニメの世界や映画の世界やスペースシャトルの打ち上げを見て「こういう仕事あるんだったらやってみたい」と高校で進路を決める際に思ったのがきっかけとのこと。
その時代では日本人で宇宙に行った人はいない、仕事としての宇宙飛行士をやっている人もいなかったため、学校の先生や家族の反応は「困ったなぁ、どう進路の話をすれば良いかわからない」という状況だった。
そして、「否定されなかったのは、のちのち考えると大きなことだった。高校生くらいの時、大人が否定してしまうと簡単に考えが変わってしまう。最初に夢を言葉にしたときに否定されなかったのは幸運なことだった」と続けた。
野口氏は、宇宙飛行士試験の応募に至るまで足掛け15年ほどかかっていることから「ずっと宇宙飛行士のことばかり考えてたわけではないけれど、なにか大きな目標に向かう時にすぐに叶う夢ばかりではない。むしろ長い時間かけてちょっとずつ近づいていって、それまでのいろんな経験が無駄にならないかたちで実現する夢っていうのもあるかなと思います」とこれまでの経緯を語った。

そして実際に渡米していざNASAで勤務をはじめた時、まわりについていけなくて大きな劣等感やカルチャーショックを感じたそう。野口氏は「これはどの年齢になっても言えるんですけど、環境が急に変わる時、みなさんも中学から高校にはいる時にギャップを感じた思います、そしてえこれから大学にいくとまたそこで大きな変化があって、自分のなかで劣等感やストレスも感じることがあるかと思います。その自分の心の浮き沈みやほんとにまわりについていけないくらいの劣等感を感じる時こそ、自分のなかの能力としては一気に伸びている、自分が成長できる環境いったと思ってもらえると良いと思います」と実際のエピソードとともに、新しい環境やまわりとの差に悩んだ時の自分との向き合い方を紹介した。

生徒からの「挑戦っていうのが苦手、最初の一歩を踏み出せない。最初の一歩を踏み出す心境的な原動力について」という質問に対し、「正直なところを含めてお話すると、(子供たちに向けて大人は)挑戦っていう言葉をよく使うんですよ。使うんですけど一方で、『挑戦って言葉として重いんです』とよく聞きます、だからあなただけではないです。大人は頑張れというつもりで挑戦しようって言っちゃうんですけど、『挑戦って言われるとすごくヘビーなんですよね』という感想をよく聞きます。なので挑戦っていう言葉が重ければ、今日より明日ちょっとうまくなりたいな、今の自分と先のちょっとよくなる自分を想像した時によくなってく自分に寄っていこうくらいの気持ちで良いんじゃないかなと思います」と答えた。

さらに「大人になると分かるんですけど、簡単には自分の姿や能力は変えられないんです。大人になると変えられないんです。みなさんが日々変わっていく姿を大人は見てるから羨ましいんだと思うんです、だからこそ頑張れと言いたくなるし、挑戦しろと言いたくなる。みなさんは思っている以上に日々進歩してるんです。だから挑戦という言葉をあんまりプレッシャーに感じる必要はなくて、みなさんの今の日々の活動そのものが挑戦と言えるんじゃないかなと思います」と生徒たちにメッセージを送った。

情報提供元: マガジンサミット