【ポコチェ】interview 染谷将太
2018-03-01 07:00:00
Profile
1992年生まれ。7歳から子役として活動を始め、9歳で映画デビュー。2011年、第68回ヴェネツィア国際映画祭に出品された園子温監督『ヒミズ』で、最優秀新人賞にあたるマルチェロ・マストロヤンニ賞を日本人で初めて受賞。
日本と中国を結ぶビッグ・プロジェクトとして10年前に始動した日中共同製作映画『空海 ―KUーKAI―美しき王妃の謎』が、ついに公開される。監督は、カンヌ国際映画祭パルム・ドールなど多数の受賞歴を誇る巨匠チェン・カイコー。主人公の若き天才僧侶・空海を、本作が海外作品初主演となる染谷将太さんが演じる。
物語の舞台は、1200年以上前の唐時代の都・長安。日本から遣唐使として唐へ渡った空海が、詩人の白楽天とともに、絶世の美女・楊貴妃にまつわる謎と真実に迫る。染谷さんは、全編中国語での撮影に挑んだ。
「撮影順に台詞を覚えて、分からないことは現場で色々な人に聞きました。特に白楽天役のホアン・シュアンさんは、現場でのアドバイスはもちろん、僕の部屋までわざわざ来て翌日のシーンの台詞合わせに付き合ってくれたり、ずっとサポートしてくださいました。中国語はとても難しかったですが、中国語ならではの感情の乗り方が体験できたのは新鮮だったし、空海という役を通して中国語に触れられたのは良い経験になったと思います」
日本で公開される日本語吹替版のために、自身の役の吹替も担当。一度は中国語で演じた役を再び日本語で演じるのは、どんな感覚だったのだろう。
「根本は変わりませんが、日本語版の空海像を作っていかないと演じるのは難しかったので、まったく違う役に取り組むような新たな気持ちで吹替をしました。この映画は次々に謎が出てきて、それを解きながらどんどん深い闇に落ちていくジェットコースタームービーです。日本語のほうがそのスピード感に乗れたというか、日本語だからこその浸り方ができました」
この映画の圧倒的なスケールを物語るのが、建設に6年を費やした東京ドーム8個分もの広大なセットだ。細部まで作り込まれており、染谷さんは「セットではなく長安の街がそこにあった」と表現する。
「撮影中はセットの中を車で移動するのですが、すべてが完璧に作られていて、まるで当時にタイムスリップをしたような感覚でした。あまりのスケールの大きさに、中国のキャストの方に「中国の映画はいつもこうなの?」と聞いたら、チェン・カイコー監督だからこその特別な現場だと教えてくれました」
中国語の台詞とともに染谷さんを悩ませたのが、天才僧侶・空海の役作り。チェン・カイコー監督は役者と綿密なディスカッションを行うことで知られるが、どんなやりとりがあったのか。
「空海は何にも捉われず、物事の本質を見据えている人で、自分もそうありたいと思わされました。偉大すぎて近づくのは難しいですが、空海をエンターテインメント化するにはどうしたらいいのかを重要視しました。監督はユニークな人物にしてほしい、等身大の若者の部分を絶対に残してほしいと。この映画でしか見られない、冷静かつユーモアと人間味のある親しみやすい空海像になったと思います。僕の中では、ふわりと数ミリ浮いているようなイメージで演じました。
この作品は壮大なファンタジーミステリー映画です。豪華絢爛な世界にぜひ浸ってください。空海と白楽天のバディムービーでもあるので、2人の冒険を通してお客さんをどんどん深いところまで引き込んでいきたいし、そんなふうに楽しんでもらえたら嬉しいです。
今回、映画作りに国籍は関係ないと改めて深く感じたので、今後も国内外に関わらず素敵な出会いがあったらいいなと思っています」
空海 -KU-KAI- 美しき王妃の謎
©2017 New Classics Media, Kadokawa Corporation, Emperor Motion Pictures, Shengkai Film
原作/夢枕獏『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』(角川文庫/徳間文庫)
監督/チェン・カイコー
出演/染谷将太、ホアン・シュアン、阿部 寛 他
公開/2月24日(土)全国東宝系にて公開中
TEXT/Yukari Tnaka
PHOTO/Isamu Ebisawa
STYLIST/Junko Kohashi
HAIR&MAKE/AMANO
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情報提供元: michill (ミチル)