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【ももクロ・春の一大事】がんばった東近江市!初の大イベント成功の秘訣は笑顔のチカラだった!?

2018-04-30 09:00:12

ももいろクローバーZ(以下、ももクロ)が、2018年4月21日(土)、22日(日)、大型野外ライブ『ももクロ春の一大事 2018 in 東近江市 ~笑顔のチカラ つなげるオモイ~』を滋賀県東近江市・布引運動公園陸上競技場で開催し、2日間で3万2,574人を動員した。

ももクロは毎年、春・夏・冬に大型ライブを行うのが恒例。アリーナ、ドーム、スタジアムといった数万人を集客する大型会場で開催するのが普通だが、今回は、滋賀県東近江市という人口11万人の地方都市での屋外会場で開催した。

”都市”と言ったが街を少し離れれば自然豊かなCountryであり、会場がある芝原町の人口は約300人だという。こんな所で、2日で3万人を集める大型ライブを開催したのだ。もちろん東近江市にとって未経験の大イベントで、まさに一大事がやってきたのだった。

今回は2DAYS、実際に参戦した現地で感じたことも交えてレポートしたい。初めに言ってしまうが地元スタッフの完璧な対応に感動した。

笑顔のバトンをつなぐ

ももクロライヴ「春の一大事」が、地方開催となったのは昨年(2018)の埼玉県富士見市から。そして、「2018年4月22、23日、コンサートを開催させていただける場所を募集」と発表し、全国の市役所、役場に呼びかけた。サブタイトルは「笑顔のチカラ つなげるオモイ」、笑顔のバトンを日本中につなげて行こうという壮大なプロジェクトがスタートした。

これに対し、「ももクロで町おこし、地域活性化」を目指そうと約30の自治体から応募があったというが、その中から白羽の矢が立ったのが滋賀県東近江市だったのである。発表は12月のことだった。

“やれんのか?”東近江市の一大事!

ももクロの屋外コンサート誘致に東近江市議会では反対意見もあったそうである。

誘致予算の準備として420万円を盛り込んだが、「自治体のやるべきは福祉だ」「知名度を上げるための一過性の投資は賛成できない」「学校などで消耗品費が足りていない」「台風被害の補助も足りていない」・・・税金の使い方の是非が問われた。様々な意見が飛び交う中、東近江市はメリットが大きいと判断して、誘致に名乗りをあげたのだった。

そのプレゼンが実ったわけだが、東近江市誕生13年目にして、とんでもない一大事がやってくることになったわけだ。

「こんな田舎でコンサート?やれんの?」「ももクロ?ユニクロなら知ってるけど」

そんな声が市民からチラホラ。そりゃそうだろう、誰もが驚いたに違いない。東近江市役所は13名のプロジェクトチームを結成。ライブ成功に向けて取り組んだ。

なにしろ「春の一大事」は単にコンサートが行われるだけではない、ももクロは他アーチストと一線を画すコンサートとイベントのビッグフェスティバルを展開する。誘致に成功したは良いが、超えるべきハードルは琵琶湖を泳いで渡るほどの難関だ。

当然、市に大型ライブを開催するノウハウはないはず。聞けば、1月からももクロ運営と市が幾度も会議を行ったという。おそらく、市側は「こんなにやることが多いのか、こんな細かいマニュアルがあるのか」と予想を上回る準備と本番の想定に驚いたに違いない。

会場までの交通網・輸送手段、宿泊施設、駐車場、ゴミの問題、地域や近隣住民の理解と協力など、クリアすべきポイントは多岐に及ぶ。

ライブを行う場所はもちろん、隣接して物販・飲食・イベントなどを行う広大なスペースには、相当数の人員が必要になる。会場にやってくるのは1日1万5,000人以上だ。このゲストをいかに円滑に誘導するか、あらゆるトラブルにどう対処するか、おもてなしの徹底は想像以上だったはずである。

出典:http://www.momoclo.net/haruichidaiji2018/images/map/map1.png

(会場の地図。凄く広い。広かったが故に混雑は少なかったと思われる)

万全で挑む!

本番前日の毎日新聞朝刊にライブ開催に関して悪意的な記事が出てちょっとした騒動となった。

「ライブ会場の最寄り駅である近江鉄道・大学前駅は無人駅。観客3万人が来るのになんの対処もされていない」といった内容だった。

Twitterでも記事は拡散され、これを読んだモノノフは不安に思ったかもしれない。これに対し運営側は抗議し、その日のうちに、記事を書いた記者とスタッフが直接対話した。そのやりとりは動画生配信されたのだが、映像からこのプロジェクトチームがどれだけの時間と英知と労力を注いで「春の一大事」成功の準備を進めてきたか、熱が伝わってきた。

◯大学前駅は、当日は無人ではなく8名の駅員を配置する

○JR東海道線・近江八幡駅からシャトルバスが出る。バス80台、延べ4000人を一度に移動出来る

など、記事にあったネガティブポイントは全て対策を講じていると反論。東近江市役所、近江鉄道、ももクロ運営側が一丸となり万全の体制で挑む意気込みが感じられた。動画終了から数時間後、毎日新聞は訂正文をTwitterなどで配信する。

さて問題は、本当にライブ体制は万全なのか!? 答えは当日になってみないとわからない。

大学前駅

AM10時頃、2両編成の電車が大学前駅に到着すると、新聞報道もあってかテレビ局のカメラが数台待ち構えていた。電車を降りて改札口もない出口をくぐると数名の駅員さんが満面の笑みで出迎えてくれた。

「おはようございます。運賃お支払いはこちらで」、見ると小さな机を置いて臨時改札所を設け、帰りの切符を販売するなど応対していた。料金の支払いは通常、降車時に車掌さんとやりとりする流れだが、普段1日160人程しか利用しない駅に予想できない利用客が訪れるため異例の対策を取ったのである。

支払いを終えると、スタッフ数人が立っていて道路まで促してくれた。そしてみんな「いってらっしゃい」と見送ってくれた。近くには簡易トイレが設置してあり、飲料水の自動販売機とその近くには補充の飲み物の箱がたくさん積んであった。

「行き」のお客は開演に間に合えばいいので人が集中しないが、問題はライブ終了後の「帰り」である。臨時便を上下線で18本追加したと聞いたが、単線なので1時間に多くて2本しか運行できない、一本逃すと30分待つことになる。

駅に到着すると当然長い列ができていた。ざっと見て70人ほど、「次の電車に乗れるかな?」、乗客はモノノフだけとは限らないので程度がわからない。すると駅員さんが私達の知りたい肝心な部分を教えてくれた。「90人程座れますし300人は乗れますから、次の電車は大丈夫ですよ」、良かった、安心した。

そして「切符のない方は、運賃は下車する時にお支払いください」と説明してくれた。駅員さんは利用者側の目線で、初めて訪れる人の不安なポイントを予測してくれたのである。心遣いが行き届いていて嬉しかった。

そもそも、大多数はシャトルバスでJR近江八幡駅に向かう。ローカルの近江鉄道沿線には宿もあまり無いので利用者はそう多くないはず。2日で3万人がこの駅に来るわけがないのだ。ちなみに私は、沿線にある駐車場に車を停めていたので利用した。

ワイドショーやニュースなどで当日の様子を伝える映像を見た人も多いと思うが、近江鉄道さんの接客はパーフェクトだったと直に接した私は思う。

スタッフのキモチ

大学前駅の駅員さんだけではない、沿道に立つ誘導係、交差点で交通整理をする滋賀県警の方々、そこそこ高齢に見える警備員さん、みなさんの声掛けや連携などが本当にスムーズだった。きっと綿密にシミュレーションしたに違いない。

炎天下の中「水分補給をして、熱中症に気をつけて下さい」と度々アナウンスがあったが、逆にスタッフさんこそ気をつけてと何度思ったことか。

この他にも、Twitterでは、モノノフからスタッフさんに対する感謝の声が沢山報告された。

◯バスの運転手さんが「あと10分ほどで到着です」「あと5分ほどで到着です」と逐一伝えてくれた。

◯専用駐車場のスタッフさん、日陰もない炎天下で、動き回りながら大声でわかりやすく誘導してくれた。

◯パークのゴミ捨て場にスタッフがいて分別を促していた。箱が満杯になったらすぐに取り替えていたので、散乱するようなことがなかった。

◯帰り道、スタッフさんが「ありがとうございました!」「気をつけてお帰り下さい!」とみんなに声をかけていた。絶対疲れているだろうに嬉しかった。

◯帰りのバスの運転手さん「家に帰るまでがももクロ春の一大事です。皆さん気をつけてお帰り下さい」、モノノフ爆笑と拍手、「ありがとうございます。Twitterにあげておいて下さい」、また爆笑!

(特別な規制も)

また、マネージャー川上氏のTwitterに、モノノフから改善の要望などが報告されると、出来うる限りスピーディーに応えていた。こんなフットワークの軽さも付け加えておきたい。

そして、総合的にモノノフが口を揃えて、「スタッフさんは、みんな笑顔で丁寧だった」という称賛の声が凄く多かった。私もそう感じた。

きっと、あらゆるスタッフに“笑顔”はマストミッションとして徹底されていただろう。

“笑顔のチカラ つなげるオモイ”はステージの外でも見事に実践されていたのだ。

モノノフもステキ

そして後日、主催の東近江市のHPに、こんなメッセージがモノノフ宛に伝えられた。

<4月24日更新>モノノフの皆様へ 御報告と御礼

「ももクロ春の一大事2018in東近江市に御来場いただきましたモノノフの皆様、本当にありがとうございました。昨日の朝、MCZプロジェクトチームで周辺道路とJR近江八幡駅周辺の清掃活動をおこないました。驚くことに、モノノフの皆様のゴミはほとんどありませんでした。すごいことだとメンバーで感動しております。

今回のコンサートが、安全に楽しく開催できましたのは、コンサートを主催いただいたスターダストプロモーションの皆様をはじめ、各企業の皆様、警察署や消防署、市内各団体や周辺住民の皆様の御理解と御協力があってのことであり、深く御礼申し上げます。

また何より、モノノフの皆様のマナーの良さ、春一の趣旨を理解し、御協力くださったことに深く感謝しております。本当にありがとうございました。」(※一部抜粋)

屋外イベントで最もイメージが悪いのは「ゴミ」である。聞けば、会場近隣の住民からポイ捨てゴミが懸念されていたが、翌朝は普段と変わらず。

ライブ初日終了後、バス経路で交通事故があり、迂回ルートを使ったためバスがなかなか到着しない事態になった。しかし説明を受けたモノノフは決して文句も言わず待ち続けた。バスが到着したときは拍手が起こったとか。その他、バス輸送に関する大きなトラブルは報告されていない。

帰り際、沿道の若い男性スタッフさんに声をかけたら、

「モノノフさんから、ありがとうとか、お疲れさまとか、言ってくれる人が多くて凄く嬉しい」

とニコニコ顔で話してくれた。

もちろんモノノフ全員が良識人というわけではない、受けるストレスの度合いに個人差はあるが、マナー違反など心無い人による迷惑行為や小さな揉め事もいくつかあったという。しかし、大きなトラブルの発生なく激動のライブ2日間を終えた。

モノノフのマナーが良いとは嬉しい言葉だが、裏を返せばスタッフの対応が素晴らしかったからこそともいえるはずである。

跳ね除けたプレッシャー

Kansai Walker (関西ウォーカー) 2018年4/3号
Fujisan.co.jpより

考えてみれば“2度目のハードル”はかなりプレッシャーだったはず。「最初の富士見市は良かったけど2度目の東近江市はひどかった」などとは絶対に言わせたくなかったはず。そんなプレッシャーを跳ね除け、逆にどんな地域でもこのレベルのイベント興行が打てるモデルケースにさえなったと思える。東近江市の成功こそ地域活性の光になったかもしれない。

ビッグイベントにゼロから取り組んだ東近江市・小椋正清市長をはじめとするプロジェクトチーム、全てのスタッフさん、そして賛同し協力した地域の方々、11万市民の皆さん、「私達は、ももクロ【春の一大事】を大成功させた東近江市民だ!」と、ドヤ顔笑顔で胸を張ってほしい。

一人のモノノフとして心から「おめでとう!」と伝えたい。

情報提供元: マガジンサミット

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