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“マラソンの細谷恭平、ハーフの古賀淳紫”ライバル2人がマラソン世界陸上代表入りも見据えて対決【全日本実業団ハーフ】

スポーツ
2025-02-08 06:00

第53回全日本実業団ハーフマラソンが2月9日、山口市の維新百年記念公園陸上競技場を発着点とする21.0975kmのコースで、2025海外ハーフマラソン派遣選考競技会を兼ねて行われる。男子の注目選手として細谷恭平(29、黒崎播磨)と古賀淳紫(28、安川電機)の名前も挙げられている。細谷はマラソンで2時間6分台を2回マークし、近年の代表争いでは必ず上位候補に挙げられる。古賀は20年の今大会日本人トップ(総合2位)の選手で、マラソンでも代表入りを自身に課している。黒崎播磨と安川電機はともに福岡県北九州市を拠点とするチーム。2人のライバル意識が好結果につながるか。


細谷は「全力で走る」ハーフマラソンに

細谷が今大会の目標を以下のように話した。


「大阪マラソン(2月24日)へのマラソン練習に組み込んだ上で、実業団ハーフで自己新を狙って行きます。この大会は過去3回出場して(19年8位、20年51位、21年6位)、20年は練習のペース走として出場しましたが、残り2回は入賞できています」


19年は出場しなかったが、20年と21年は、2~4週間後のフルマラソンへのステップとして山口を走った。昨年の今大会6位(1時間00分51秒)の土井大輔(28)もそうだったように、黒崎播磨はマラソンに近い日程でハーフマラソンの試合、または練習の20kmを全力で走ることが多い。


細谷は「人や年によって違うので、一概に毎回全力とも言い切れない」と言う。細谷も19年と21年は全力だったが、前述のように20年は練習としての出場だった。


「練習を含め、余裕を持って設定より良いタイムで行けたこともありますし、無理矢理そこに持っていくこともあります。そこは澁谷(明憲)監督のさじ加減で、動きすぎていたら18kmで止められたりすることもあります。今回は監督から自己記録(21年大会の1時間01分16秒)を狙おうと言われてます。自分でも、ここまでの練習がしっかりできていて、動かし切ってもガタつかない体ができていると感じています」


21年大会で自己新を出した時は、翌月のびわ湖マラソンで2時間06分35秒の自己新を出した。その後のマラソンで自己記録を更新できていないのは、2度の福岡国際マラソンが気象コンディションに恵まれなかったり、2度のシカゴ・マラソンはペースが安定しなかったりしたからだ。そういったレースが続いても2時間6~7分台で、上位に入り続けた。


今回のハーフマラソンで自己新を出すことができれば、それが刺激となって大阪マラソンでは、大幅な自己記録更新が期待できる。9月の東京2025世界陸上の参加標準記録、2時間06分30秒を大きく破るはずだ。


古賀は食生活の改善、ニューイヤー駅伝で復調

古賀淳紫は今大会の目標を次のように話した。


「東京マラソン(3月2日)に対する自信をつけたいと思っています。12月の福岡国際マラソンはワースト記録(2時間17分39秒・17位、自己記録は22年に出した2時間08分30秒)でしたが、次に向けて(やるべきことがわかり)手応えを得ました。ニューイヤー駅伝(21.9kmの2区で区間4位)と実業団ハーフは、得意とする距離です。山口のコースはよく知っていますし、そういったことを生かして次につなげるレースをします」


後半大きくペースダウンした福岡の失敗は、「練習はできていたがエネルギー不足」だったと分析した。食生活の改善は昨年も行ったが、「質は良くすることができましたが、食べる量が少なかった」と、福岡の結果で気づいた。食べる量を増やし、ニューイヤー駅伝までの1カ月で「効果が表れた」と感じている。


これまでもハーフマラソンの距離は走り切ることができていた。20年の今大会では1時間00分49秒の自己記録で2位(日本人1位)と快走した。古賀自身はびわ湖マラソン出場を希望したが、当時の山頭直樹監督の判断で今大会に照準を合わせ好結果を残した。


翌21年も1時間01分13秒の4位(日本人2位)、23年も1時間00分49秒の自己タイ記録で10位(日本人6位)と、本人も自信を持つ走りを続けている。山口のコースは、どう走れば結果が出るのだろうか。


「最初の5kmが上りでキツさも感じますが、そこを楽に行くことができたら15~16kmまではすんなり走れます。16kmくらいできつくなる選手が多くなるので、仕掛ける選手が出てきますね」


21年大会では古賀自身がそこで後れてしまったが、食生活を改善した今回は、終盤の粘りも期待できる。


「出場する以上1位や自己新も意識しますが、全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日、13.0kmの7区区間8位)の疲れが少し残っているので、あまり大きなことは言えません。10位以内で1時間00分台が目標です」


順位に関しては控えめな目標設定だが、食生活改善の効果が表れれば、本人の想定以上の結果になりそうだ。


2人の「フランクな」ライバル関係

細谷と古賀は自然とライバル関係になっていた。マラソンの細谷、ハーフマラソンの古賀と得意種目は異なるが、10000mの自己記録がともに27分50秒台で、記録会なども同じ組で走ることが多い。


駅伝では最長区間を任される。ニューイヤー駅伝ではこの6年で4回、同じ区間で走ってきた。


▼ニューイヤー駅伝で同区間だった年の成績比較
【細谷成績・チーム順位】
25年2区 区間8位(1時間02分45秒)・14位
24年2区 区間8位(1時間02分44秒)・4位
23年4区 区間2位(1時間04分37秒)・14位
22年4区 区間1位(1時間03分43秒)・6位
20年4区 区間13位(1時間05分14秒)・23位 


【古賀成績・チーム順位】
25年2区 区間4位(1時間02分19秒)・9位
24年2区 区間9位(1時間02分49秒)・12位
23年4区 チーム欠場
22年4区 区間2位(1時間03分54秒)・25位
20年4区 区間11位(1時間05分11秒)・11位


区間順位が1つ違いのことが2回、タイム差が11秒以内のことが3回ある。今年のニューイヤー駅伝で中継した直後には、古賀が1つ年上の細谷に「僕の勝ちですよ」と声を掛けたという。


「真面目な話をすることもありますが、彼とはフランクな雰囲気で高め合える存在です」と細谷は言う。仲が良いからこそ、勝ち負けをストレスなく話題にして切磋琢磨できる。今大会のエントリーリストに細谷の名前を見つけた古賀は「うれしさがあった」と言う。「近くにいたら張り合うと思います。マラソンでもライバルになりたいですし、ハーフでは勝ちたいですね」


代表への思いの強さも2人の共通点だ。細谷は22年開催予定だったアジア大会のマラソン代表に決まっていたが、開催地の感染症拡大の影響で大会自体が翌年に延期され、代表選考もやり直しになった。そして23年10月のMGC(マラソン・グランドチャンピオンシップ、パリ五輪代表3枠のうち2人が決定)では28km手前で激しく転倒し、完走することができなかった。


2カ月弱のインターバルで福岡国際マラソンに出場し、日本人1位をとった。だが日本陸連が定めた設定記録に届かずパリ五輪代表入りを逃した。


「(代表への思いは)一貫しています。意地でも取りに行きたい」


その福岡での日本人1位が、今年の東京2025世界陸上代表選考規定ではプラスに働いている。JMCシリーズ・シーズンⅣの優勝者が現時点では優先して選ばれるが、細谷はその有力候補になっている。


代表への思いは古賀も強い。安川電機は中本健太郎(現監督)が12年ロンドン五輪マラソンで6位に入賞。続く16年リオデジャネイロ五輪にも、北島寿典が出場した。


「僕が入社してすぐ、北島さんがリオに出られて、マラソンはカッコ良い、と思いました。自分もああいったところで走りたい、と。安川電機のマラソン選手である以上、世界に行かないといけない」


山口でのライバル対決は、マラソンの代表先陣争いへとつながっていく。


(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)


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