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男子やり投の崎山雄太、女子三段跳の高島真織子、女子100mハードルの田中佑美らGGP出場選手に好記録【織田幹雄記念国際2025】

スポーツ
2025-05-01 15:28

織田幹雄記念国際が4月29日、広島市の広島広域公園陸上競技場で開催され、5月18日に国立競技場で行われるゴールデングランプリ(以下GGP)出場選手たちに好記録が相次いだ。男子やり投では崎山雄太(29、愛媛競技力本部)が82m96と、世界陸上でも予選通過が期待できる記録で優勝した。女子三段跳では高島真織子(25、九電工)が13m96(追い風2.3mで参考記録)で優勝、ファウルでは14mを超えていた。決勝は脚の違和感で棄権したが、女子100mハードルの田中佑美(26、富士通)は予選で12秒91(追い風1.8m)と4月の自己最高をマークした。3人のGGPでの目標などを紹介する。


【写真で見る】優勝したやり投・崎山雄太選手と三段跳・高島真織子選手


高島は14m30(=日本新)を目標にGGP出場

優勝記録は5回目の13m96だったが、最終6回目は14m以上の距離が出ていた可能性がある(日本記録は14m16)。踏切板を越えない、という制約内でパフォーマンスをするのが走幅跳と三段跳。ファウルは評価されるべきではない、という見方もあるが、高島への期待が高まったのは事実である。


「昨年はこの大会でケガをして、パリ五輪も出られずしんどい思いもしましたが、新しいフォームにも挑戦してここまで来られたのは、すごく良かったというか、ちょっと安心できました」


1年前の織田記念のウォーミングアップ中に、右脚の大腿部裏を肉離れしてしまった。1か月前に追い風3.7mで参考で14m08を超えていた。「調子良いけど大丈夫かな、という状態でしたが、勢いでやってしまいましたね」。前年のブダペスト世界陸上に続いて代表を狙っていたが、パリ五輪選考会の日本選手権は出られる状態ではなかった。


試合復帰は9月になった。「ハムストリング(大腿裏)が使えない間に、上半身もしっかりトレーニングをしました。腕がしっかり使えるようにしましたし、上半身と下半身の連動というところも意識してやりました」。それが新しいフォームへの挑戦にも生きた。昨年10月の田島記念(13m49)から、跳躍中の腕の使い方を「シングルアームからシングルダブルアーム」に変更している。


以前は1歩目のホップも2歩目のステップも、片方の腕を前に出す腕の使い方だった。1歩目は左腕を回すようにして右腕は後ろに引き、2歩目は右腕を前に突き出し左腕は後ろに引く。3歩目は両腕を頭上に上げる形にして一緒に振り降ろす。変更後は1歩目の腕振りはほぼ同じだが、2歩目では両腕を揃えて下から上に振り上げる(ダブルアーム)。2歩目の変更に伴って3歩目の腕の動きも変わるが、最後に両腕を振り降ろすところは同じである。


「腕がしっかり使えないと、ダブルアームに持ってこられないので、(故障中に)筋力アップしたことで新しいフォームにつながりました」


男子選手に比べると2歩目の滞空時間が短い印象だが、ダブルアームがさらに上達すれば、2歩目の距離が大きく伸びるはずだ。


「世界陸上標準記録(14m55)に行きたい気持ちもありますが、(行く手を遮る)もうひと山がある感じです。GGPでは自分のベストを尽くして、14m30を跳びたいです。強い選手と試合をすると飲まれてしまって肩が上がるクセがあります。落ち着いて、飲まれないようにして、自分の跳躍ができたらな、と思います」


結果的に日本記録更新の可能性があるが、高島は世界とどう戦うかを重点的に意識してGGPに臨む。


崎山は自分の力を発揮して標準記録も

男子やり投は崎山雄太が82m96と、2年前にマークした83m54(日本歴代5位)に迫る好記録で優勝した。


「国内最初の試合ですが、自分の出せることをやれば勝ち切れると思っていました。結果として優勝となったので、まずは自分を褒めたいですね」


4回目までは76m51で4位だったが、5回目の80m87でトップに立つと、6回目に優勝記録を投げてダメを押した。5、6回目でやりたい動きができたという。ここ数年、大きなところでは「やりたいことは変わっていない」が、細かい部分では「1つ前の動きや、意識している部分が毎年変わってくる。テイストが違ってきます」という。


「今は右の腸腰筋、背筋あたりをどうやって押し込めるか、を意識しています。(最後に左足をついて)耐えた瞬間にどれだけ胸を張れるか、ゆとりを持てるかで、腕をどれだけ振れるか、速さを求めて出せるかが決まってきます。1~4投目はそれができず、結果的に左に開いて投げていました」


5、6投目も多少は開いていたが、特に6投目はなんとか形にできたという。


「GGPは83~84mの外国勢が来ますが、そこで戦えないとアジア選手権(5月末・韓国クミ)や世界陸上では戦えません。相手との戦いでもあるんですが、自分がどれだけ力を発揮できるか。そこがGGPでは求められます。標準記録(85m50)くらいは投げたいですね」


23年のブダペスト世界陸上では右脚脛の疲労骨折が現地で判明し、力を出せずに予選落ちした(記録なし)。「世界での借りは世界でしか返せません。あの時の負けがあったから、ここまで戻って来られた、と思える結果を東京世界陸上で出したいですね」。その目標に向かってGGPからアジア選手権、そして世界陸上と突き進む準備が整いつつある。


田中は新技術獲得と標準記録突破を狙う

100mハードル予選で田中佑美は12秒91をマークした。ここ数年雨になることが多かったが「やっぱり晴れた織田記念は良いですね」と、記録には満足している様子。12秒91は4月に出した自己最高記録である。


今大会出場の狙いは、晴れていたら記録を出すこと。そして「追い風で記録が出る織田記念なので、それに乗って新しい技術のきっかけをつかむこと」だった。田中の特徴は足首の強さで、「バネバネしく走れるところ」だが、地面反力を「足首で止めてしまって、足首の反力で進んでいる」ところは、世界レベルで考えるとマイナスだととらえ始めた。「脚全体、体全体を使って加速していく技術」を獲得しようとしている。


予選で合格点のタイムは出たが、右脚に違和感が出て決勝は棄権する判断を下した。「予選を走っても、まだ技術は獲得し切れてはいません」。5月は11日の木南記念にもエントリーしているが、出場は今後の状態を見て判断する。18日のGGPと月末のアジア選手権は出場予定だ。「記録は、こういうことができれば何秒、という指標が自分の中にないので、GGPも数字は言えませんが、予選の走りで12秒91なら、もっとタイムは出るだろうな、と感じました」。


世界陸上標準記録は12秒73で、決して手が届かないタイムではない。東京2025世界陸上の選考基準は、従来のものよりも標準記録を突破しておけば有利になる。「ここ数年、メンタルがキツい中で日本選手権を走ってきたので、できれば標準記録というアドバンテージを持って日本選手権に臨むことが良い形ですね」。出場外国勢が未発表だが、格上の外国選手が出場したら思い切りぶつかればいい。“負けられない”日本選手権とは違ったメンタルで戦うことができる。


織田記念では、基準ワールドランキングで各種目の世界陸上出場枠に入っている選手が活躍した。以下が4月30日時点のワールド基準ランキング順位と出場枠人数、選手、織田記念成績である。


26位(36人)高島真織子<女子三段跳優勝>
18位(36人)崎山雄太<男子やり投優勝>
22位(40人)田中佑美<女子100mハードル予選1位>
13位(36人)上田百寧<女子やり投優勝>
14位(36人)武本紗栄<女子やり投2位>
27位(36人)新家裕太郎<男子3000m障害優勝>


全員がアジア選手権代表で、新家以外はGGP出場が発表されている。新家も追加でGGP出場が認められるかもしれない。


GGPで標準記録突破の可能性がある選手もいるが、多くの選手は標準記録突破に挑みつつ、ワールドランキングのポイントが高いGGPとアジア選手権で上積みをしていく。東京2025世界陸上出場へのプロセスを理解して、GGP、アジア選手権、日本選手権と続く今季の陸上競技を楽しんでほしい。


(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)


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