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【東日本実業団駅伝】箱根駅伝では“別人になる”と言われたGMOルーキーの太田蒼生「区間賞を取ってチームの優勝に貢献する」

スポーツ
2025-11-01 15:50

第66回東日本実業団駅伝が11月3日、埼玉県の熊谷スポーツ文化公園陸上競技場及び公園内特設周回コース7区間74.6kmで行われる。


【写真】青山学院大学から入社した太田選手と鶴川選手


今年の特徴は上位候補チームの多くに大物新人選手が加入したこと。前回優勝のGMOインターネットグループには箱根駅伝4区(20.9km)区間賞の太田蒼生(23、青学大出)が入社。4区のタイムは1時間00分24秒で、Y.ヴィンセント(24、Honda。当時東京国際大)が持つ区間記録には24秒届かなかったが、区間歴代2位、日本人歴代最高記録だった。太田が実業団駅伝でどんなスピードを見せるのか、注目が集まっている。(ルーキー特集 2回/全4回)


第1区 13.1km 競技場2周+周回コース1周(4.1km)3周
第2区  8.2km 周回コース2周
第3区 16.4km 周回コース4周
第4区  8.2km 周回コース2周
第5区  8.2km 周回コース2周
第6区  8.2km 周回コース2周
第7区 12.3km 周回コース3周


箱根駅伝で異次元のスピード

昨シーズンの大学駅伝では、4年生選手たちが熱い戦いを繰り広げた。10月の出雲全日本大学選抜駅伝では6区で國學院大の平林清澄(22、ロジスティード)が区間賞、青学大の太田と駒大の篠原倖太朗(23、富士通)が同タイムの区間3位。3人は11月の全日本大学駅伝7区でも直接対決し、篠原が区間賞、10秒差の同タイムで平林と太田が区間2位。そして今年1月の箱根駅伝は太田は4区に出場し、区間2位に45秒と200m以上の差をつけた。


東日本実業団駅伝の区間エントリーは、11月2日の監督会議後に公表される。3人が同じ区間を走る可能性も2~3割程度はあるだろう。


「任された区間をしっかり走ろうと思っていますが、(新人選手たちと)同じ区間だったら、昨年の全日本大学駅伝7区を思い出しますかね。それほど意識するわけではありませんが、楽しみではあります」


昨シーズンは出雲、全日本と区間賞は取れなかったが、箱根駅伝は前述のように区間2位以下を圧倒した。3年時も区間賞は箱根駅伝3区だけだったが、そのときのスピードが異次元だった。22秒(100m以上)先に中継所をスタートした佐藤圭汰(21、駒大現4年)に7.6kmで追いつくと、10kmを27分26秒で通過した。太田の10000m自己記録は28分20秒63で、学生日本人最高記録は27分21秒52である。緩やかに下るコースで追い風があったとしても、普通ではあり得ないタイムだった。


さらに驚かされたのは、これだけのハイペースで前半を走っても、1500mの高校記録を持つスピードランナーの佐藤に後半で競り勝った。佐藤は「5kmを14分00秒と予定通りのタイムで入ったのに、太田さんがすぐ後ろに迫っていて、5kmを過ぎてさらにハイペースになってしまいました。レースプランを崩されてしまった」と振り返った。箱根駅伝の太田は「別人になる」という指摘が、駅伝のテレビ解説者などから出たほどだった。太田自身は駅伝で、いつもと違う走りができることを次のように話している。


「駅伝なら(速いペースで)突っ込んでも、トラックレースみたいにキツくならないんです。応援がすごく力にできるのは、自分の強みかもしれません。(東日本実業団駅伝の3区16kmでも最初から)走れると思います」


タスキを受けた太田が、どんなスピードで走り出すか。東日本実業団駅伝の大きな注目点になる。


今年に入って3本のマラソンに出場

箱根駅伝以外でも、太田が驚異的なペースで走ったレースが、初マラソンの東京マラソン(今年3月)だった。中間点過ぎまで2時間2分台ペースで走る先頭集団に、日本人でただ1人、果敢に食い下がった(日本記録は2時間04分56秒)。中間点通過は1時間01分19秒で、ハーフマラソン自己記録の1時間02分30秒を大幅に上回り、30km通過も1時間28分50秒で、服部勇馬(31、トヨタ自動車)が東洋大時代に出した学生記録を2秒上回っていた。さすがにオーバーペースだったようで、低体温症と低血糖値のため36kmで途中棄権したが、積極果敢なレース展開は強烈なインパクトを与えた。


7月のゴールドコースト・マラソンは2時間08分31秒で2位。東京マラソンのようなハイペースではなかったが、マラソンを一度、しっかり完走しておくことを優先した。「タイムや順位よりも、東京マラソンから修正した一部は改善できた」と自身のSNSにコメント。9月のベルリン・マラソンに向けての練習の一環という位置づけだった。


9月のベルリン・マラソンでは10km通過が29分08秒と再度、ハイペースに挑んだが、10km過ぎからペースが鈍り、2時間14分02秒で18位という結果に終わった。マラソン3レースを経験して、太田は次のように自己分析している。


「東京マラソンは給水の中身が良くなかったと思ったので、ゴールドコーストでは中身を変えました。東京ではお尻の筋肉に後半来てしまったので、そこを改善できるトレーニングをしました。ゴールドコーストで改善したところは発揮できたと思います。ベルリンでは1kmで集団から抜け出すところで無駄な体力を使ってしまいましたし、メンタル的にも少し良くなかった部分もあったと思います」


今後は練習方法の変更も考えている。「本当に悔しかったですし、今までやって来た部分を色々変えないといけない、と感じたレースでした。例えばもっと高地トレーニングを行うなど、エビデンスに基づいたやり方を徹底してやっていくべきだと思っています」。マラソンに関してはまだ、試行錯誤の真っ最中のようだ。


前回優勝のGMOのレース展開は?

GMOインターネットグループは東日本実業団駅伝のディフェンディングチャンピオン・チームである。昨年は1か月後の福岡国際マラソンで優勝(2時間05分16秒の日本歴代3位)する吉田祐也(27)が1区で独走に持ち込んだ。その後もセーフティリードを保ち、2位に1分53秒差でフィニッシュした。今年は世界陸上に出場した吉田は、疲れを考慮して起用しないが、太田と5000mで13分18秒51の記録を持つ鶴川正也(23、青学大出)が加入したことで、前半から攻めのレースができる布陣ができる。


「駅伝は先手必勝、流れが重要です」と伊藤公一監督。「祐也のようなリードはできなくても、1、2、3区で前に出て行きたい。4、5、6区が8.2kmと短い区間が続きますが、そこに備えて春から5000mの強化もしっかりしてきました」。前回最長区間の3区区間賞の今江勇人(27)も、ニューイヤー駅伝で向かい風の強い6区で区間賞だった嶋津雄大(25)も、今季5000mで13分30秒台までタイムを縮めている。


「短い8.2kmの区間で20秒、30秒負けるようなミスをしないことも重要です。ブレーキはないかもしれませんが、優勝するには凡走もダメだと思っています」。3区までにトップに立ち、短い区間の続く後半でもトップをキープする。その展開を実現するために、区間は未定だが太田も「区間賞を取ってチームの優勝に貢献する」走りをする。太田がチームのために走るのはもちろんだが、チームも太田の強化にプラスになる。


太田は4月から単独で練習をしているが、長い距離を走るトレーニングでは、1人で走ることで効果があると感しられた。一方「インターバル走などスピード系の練習は、1人では難しいと感じる部分」が多かった。東日本実業団駅伝に向けてはチームと合流して練習を行い、「集団でスピード練習を行う方が余裕を持ってこなせる」と感じている。学生駅伝よりもスピードのレベルが高い実業団駅伝が、マラソンで「オリンピックの金メダル」を最大目標としている太田にもプラスに働くはずだ。


(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)


※トップの写真は24年の箱根駅伝(左から佐藤圭汰選手、太田選手)


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