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【ドラフト】立命館大・有馬伽久、亡き親友と目指した甲子園 「勝登に必ず報告に」胸に刻む“鬼メンタル”、ドラ1で届ける約束

スポーツ
2026-10-22 14:30

プロ野球のドラフト会議が22日に迫る。1位指名を目指す立命館大の左腕・有馬伽久(21)は、最速151キロの直球とスライダーを武器に、昨年の明治神宮大会では大会記録を更新する10者連続三振、一躍1位候補に浮上した。野球と向き合う日々の中で、有馬の心を支え続けているのが、愛工大名電高時代に共に甲子園を目指した親友の存在だ。突然の別れを乗り越え、今も胸に刻む亡き友への思いとともに、夢のプロ入りに挑む。


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最速151キロ左腕の武器はスライダー

有馬の持ち味は、最速151キロのストレートと130キロ台中盤のスライダーだ。特に自信を持つのが、決め球として使うスライダー。打者の手元で鋭く変化させ、空振りを奪うことを意識している。「バッターがストレートだと思って振りにきて、そこから曲がるっていう軌道。変化するタイミングをできるだけバッターの近くで、ベースの近くで曲げるっていうことを常に意識してやっているのが、空振りを取れる秘訣なのかなと思ってます」。


練習でも、その意識の高さが表れていた。他の投手陣が集まって練習に取り組む中、有馬は一人離れて黙々とトレーニングを行う。「小学生の時から、野球が上手くなるにはどうしたらいいんだろうってことを常に考えてやってきたので。自分自身はマイペースなのかなって思います」。自ら課題を見つけ、納得するまで向き合う。プロ入りという目標に向け、地道な努力を積み重ねていた。


高校時代に訪れた突然の別れ

奈良県田原本町出身の有馬は、愛知の名門・愛工大名電高に進学した。高校3年時にはキャプテンとエースを務め、2022年夏の甲子園ではチームを41年ぶりのベスト8へ導いた。しかし、その夏を迎える約2か月前、チームを突然の悲しみが襲った。


2022年6月1日。同級生でチームメイトの瀬戸勝登さんが急性心不全で亡くなった。学校でも寮でも練習でも、いつも一緒に過ごしてきた仲間だった。当時キャプテンを務めていた有馬にとって、その知らせは簡単には受け止められないものだった。「信じられないって気持ちが大きかったですね。本当に24時間一緒にいたので。ホンマなんかなって、そういう気持ちでした」。


夏の愛知県大会開幕まで、残された時間はわずか。悲しみの中で、チームとして再び前を向けるのか、有馬自身も葛藤を抱えていた。そんな中、背中を押してくれたのは、亡くなった勝登さんの両親だった。「頑張って夏の大会、甲子園まで行ってほしい」。その言葉を受けた有馬は「しっかりやることが勝登のためになる」と、3年生だけのミーティングを開き、チームを再び前へと動かした。


ポケットに忍ばせた写真、親友が残した「鬼メンタル」

愛工大名電は2022年7月17日、愛知県大会の初戦を迎えた。勝登さんが亡くなってから約1か月半後、選手たちはあるものを身につけてグラウンドに立った。「愛知県予選から勝登の写真をポケットに入れて試合をしていました」。写真の裏には「鬼メンタ」の言葉を3年生全員が書き込んでいた。勝登さんが口癖のように使っていた言葉だった。


「“鬼メンタル”って言葉を、勝登が口癖のように言っていたんで。鬼のようなメンタルで頑張るって。当時は何言ってんやろってずっと思ってたんですけど、それって大事だなって」。勝登さんは高校3年時、監督やコーチから厳しく指導されても、口癖のように「鬼メンタで行くぞ!」と話していたという。「本人が毎日のように監督、コーチから怒られていたので、俺はこれだけ怒られても“鬼メンタ”でいくんやってことだったと思う」。


仲間たちが苦しい時に思い出した勝登さんの言葉。ポケットに忍ばせた写真とともに、愛工大名電は愛知県大会を勝ち抜き、甲子園出場を果たした。夏の甲子園では41年ぶりのベスト8。勝登さんとともに目指した舞台で、チームは大きな足跡を残した。


今も変わらない仲間との絆

あれから4年余り。勝登さんは今も、有馬や当時のチームメートの心の中に生き続けている。毎年6月1日の命日と年末には、当時の3年生のほぼ全員で勝登さんの実家を訪れる。勝登さんの両親も、かつてのチームメートを温かく迎え入れてくれるという。「勝登の両親が『みんな待ってたよ』って。みんなでサウナに入って、ご飯をごちそうになって、本当に楽しい時間ですね」。


勝登さんの実家は、今も仲間たちが集まり、笑顔で思い出を語り合える場所だ。そして有馬にとっては、野球への思いを改めて確かめる場所でもある。「自分の叶えたい夢とか目標とかたくさんあるので、いつも勝登の家に行った時は『見とけよ』っていうのと、『応援してね』っていうのは心の中で言ってますね」。思うような結果が出ず、野球を続けることに辛さを感じる時も、勝登さんの存在が支えになっていた。


目標は“ドラフト1位”プロ入りを親友に報告するために

関西学生野球連盟の立命館大に進学後は、決して順風満帆な道のりを歩んできたわけではない。勝てない試合も、打ち込まれる試合もあった。それでも有馬には大学入学前から掲げてきた目標がある。ドラフト1位でプロ入りすることだ。その目標を胸に3年春には最優秀投手賞を受賞、同夏には大学日本代表として日米大学野球選手権の優勝に貢献と、着実に投手としての評価を高めてきた。


昨年の明治神宮大会では、1回戦の東農大北海道オホーツク戦で10者連続三振を奪い、大会記録を53年ぶりに更新。最速151キロの直球とスライダーを武器に、ドラフト1位候補へと成長した。有馬はプロ入りの夢が叶った時、必ず伝えたい相手がいる。「勝登に必ず報告に行きたいなと思います」。亡き親友への思いを胸に、有馬は夢の実現へ向け運命の日を迎える。


■有馬伽久(ありま がく)
2004年7月29日生まれ。奈良県田原本町出身。身長175cm体重80kg。投手、左投左打。愛工大名電高ではキャプテンでエースを務め、3年夏の甲子園で41年ぶりのベスト8進出。立命館大に進学後は3年春に最優秀投手賞を受賞、同夏には大学日本代表として日米大学野球選手権の優勝に貢献。同秋の神宮大会で、53年ぶりに大会記録更新となる10者連続三振を記録した。
 


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