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「本当に原因は年齢なのか?」陸上・山縣亮太×卓球・石川佳純 日本記録保持者が34歳で新たな挑戦へ向かう理由【BREAK】

スポーツ
2026-10-31 06:00

2021年の東京五輪で、日本選手団の主将と副主将を務めた2人――陸上100m日本記録保持者の山縣亮太と、卓球元日本代表の石川佳純。同じ1992年度生まれの同学年の2人が国立競技場で再会した。


【写真で見る】全然違う?山縣亮太と石川佳純の「キャリアグラフ」


東京五輪後も交流を続けてきた2人だが、互いの競技人生やアスリートとしての思いについて深く語り合うのは、これが初めてのことだった。


100mの日本記録(9秒95)を持つ「最速の男」は、34歳となった今、何を感じ、どこを目指しているのか。一流同士だからこそ引き出し合える本音の対話が始まった。


10歳での出会いと高校3年の「BREAK POINT」

冒頭、2人は自身のキャリアの充実度を指数化する「キャリアグラフ」を描いた。


オリンピック3大会出場など共通点の多い2人だが、描かれたグラフの形状は大きく異なっていた。山縣のグラフは指数「70%」という高い数値から始まっている。


山縣:2002年かな。自分が10歳の時に陸上を始めた年です。


石川:10歳というのは陸上選手のスタートとしては早いんですか?


山縣:多分めちゃくちゃ早いです。小学生でやってる人で今も続けてる人はそんなにいない。


石川:そうなんですか!? 卓球だとやっぱり2、3歳がスタンダードだから。


野球少年だった山縣は、小学4年の時に出場した広島市のかけっこ大会でダントツの1位を獲得。そのまま全国8位まで上り詰めたことが陸上人生の原点となった。


そんな山縣の「BREAK POINT(競技で生きていけると確信した瞬間)」は高校3年(2010年)の時に訪れる。当時10秒30という好記録を叩き出した。


石川:何考えてるんですか? スタート前って。


山縣:僕はスタート命みたいな選手だったので。「ピストルに一番に反応する」って。後半も自信があったから、スタート出れた瞬間に『勝ったな』と思った。


大人(成年カテゴリ)と変わらないタイムを出したことで「俺、陸上の世界でやっていけるかも」と確信を得た山縣は、その2年後、20歳で挑んだ2012年ロンドン五輪で日本人五輪最速(当時)の10秒07を記録し、一躍ブレイクを果たした。


唯一無二のライバル・桐生祥秀の存在

順風満帆に見えた山縣のキャリアだったが、ロンドン五輪の翌年、グラフは急降下する。その原因となったのが、当時17歳の高校生・桐生祥秀の出現だった。桐生が衝撃の10秒01を記録したことで、2人の熾烈なライバル関係が幕を開ける。


山縣:2013年に現れた桐生選手が僕にとって今も続くライバル。その衝撃たるやという…。


山縣が自己ベストを出せば、桐生がそれを超えていく。そして2017年、日本人初の9秒台(9秒98)を叩き出したのは山縣ではなく桐生だった。


山縣:負けられねえと思って、技術的にも勉強させてもらったし、すごい成長させてもらった相手だなと思います。


石川:ライバルって、やっている時はもう辛いし。いなきゃいいなって思うこともあるけど、でも心のどこかではリスペクトがあるなってすごい思って。


山縣:同じ空気感、同じプレッシャーを分かち合える唯一無二の存在かなと思います。


ライバルの存在があったからこそ技術を磨き続けた山縣は、2021年、9秒95という今なお破られていない日本記録を打ち立てた。


一方の石川も、年下ライバルの台頭により「東京五輪に出られないかもしれない」という恐怖と大きな挫折を味わった経験を持つ。互いに国内の強いライバルと切磋琢磨したからこそ、世界の舞台で戦い続けられたのだと共感し合った。


「本当に原因は年齢なのか?」34歳が秘める反骨心

現役を引退した石川には、いまだ第一線で戦い続ける山縣にどうしても聞きたいことがあった。


石川:「選手いつまで続けたいな」みたいな、思い描いているイメージってありますか?


山縣:体が動くまで。


石川:じゃあ、あと10年くらい?


山縣:いや、どうだろうね。でも、わかると思うけど「明日体が動かなくなるかもしれない」という微妙な恐怖が1年1年あるから。


石川:その不安わかる。あった。いつ衰えるんだろう、いつダメになるんだろうって、ずっと不安だよね。


卓球のように早い時期から活躍する競技では特に強い「年齢の壁」への意識。山縣も成績が落ちた時に「やっぱり年齢なのかな」と頭をよぎることはあるという。だが、山縣の思考はそこで終わらない。


山縣:だけど、「年齢」をもっと解像度を上げて、紐解いていくと、「本当に原因は年齢なんだろうか」という。まだ伸びる可能性があるんだったら、それを突き詰めていく。


事実、山縣の過去10年間の記録を見ると、大きく後退した時期があっても、その壁を乗り越え記録を伸ばしてきた。山縣は今、新たな挑戦として100mと200mの2種目掛け持ちを視野に入れているという。


石川:(200mとの両軸に挑戦するのは)何でですか?


山縣:あえてここで200mと100mを両軸でチャレンジする、「年齢で無理だ」って思われていたことが1個覆ることによって、自分にとってまた自信になるのかなって。「山縣は歳だからな」と思われてるところで結果を出す。昔からそういう反骨心みたいなのはあったんですけど、一番のモチベーションですかね。


さらに山縣はもう1つ、新たな挑戦を始めている。今年4月、母校・慶應義塾大学の専任講師に就任し、自身が培ってきた走りの技術を学生に伝えている。


山縣:学生の反応もすごい新鮮で。自分が当たり前だと思ってたことが当たり前じゃなかったり、頭の整理になったり。研究をしていくことも競技力向上のプラスの要因になると思った。


走りの技術を教え、研究を深めながら、自らの足で新たな限界に挑む。常識や「年齢」という定説を覆そうとする強い反骨心こそが、山縣亮太が走り続ける最大の原動力になっている。


※TBSテレビ『BREAK~一流が迫る、アスリートの真実~』2026年10月24日深夜放送より


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