気象庁のサイトにも予報が難しい現象と書いてある「太平洋側の大雪」。なぜなのか、気象予報士にその理由を聞きました。キーワードは「南岸低気圧」です。
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「関東の降雪予報にブレがある状況」 雪は降るの?降らないの?
筆者が天気予報を見ていたら「…関東でも雪の降る可能性がありますが、南岸低気圧の影響で、予報にブレがある状況です」と聞こえてきました。この予報では雪が降るのか降らないのか、判断がつきませんでした。
そういえば、2025年1月の3連休も「東京に雪が降る可能性」との予報が出ましたが、結局、東京都心で雪は降っていません。
そもそも「東京で大雪」という予報が出ても、実際に雪が降る日は少ないように感じます。天気予報は外れているのでしょうか?TBSウェザーセンター・片山由紀子 気象予報士に聞いてみたところ、どうやらカギを握るのは“南岸低気圧”のようです。
南岸低気圧とは本州の南岸を東に進んでいく低気圧のことです。一年中発生しますが、特に1月~4月は多く発生します。この南岸低気圧が通過する時、太平洋側を中心にまとまった雨や雪を降らせることがあります。
首都圏を含む関東地方に大雪が降る場合、ほとんどが南岸低気圧の影響によるものです。2022年1月に東京で10センチ積もった大雪も南岸低気圧がもたらしたものでした。
わずかな気温差で雨にも雪にも変わる…予報の条件が複雑に
では、本州付近を南岸低気圧が通過する場合、大雪が降る可能性が高くなると考えてよいのでしょうか?実はそう単純にはいきません。太平洋側の大雪は、気象庁のサイトにも「予報が難しい現象」と書いてあるほどやっかいなのです。
片山予報士によると、「関東地方は日本海側と違い、気温が0℃以下になることはほとんどありません。雨や雪が降るときの気温は2℃くらいなので、わずかな気温差が雨か雪かを分けるので予報が難しくなります」とのことです。
雨の場合、気温が1℃や2℃上下しても雨は雨です。しかし、雨ではなく雪になるのかどうか、さらにそれがどのくらい積もるのかは、▼地上付近の気温や湿度、▼低気圧の位置や雲の広がり方などいくつもの要因について正確な予測が必要となります。従って、太平洋側の大雪予報は“予報士泣かせ”とも言われるのです。
東京の降雪予想 当たった確率はなんと50%
実際、東京に雪の予報が出た場合、当たる確率はどのくらいなのでしょうか?
片山予報士がまとめた降雪予想の検証結果(2015~2022年)によると、東京23区に雪の予報が出たのが16回、そのうち“当たり”は8回、“外れ”は8回。当たった確率は実に50%です。
“外れ”を詳しく見ると、雪が降ると予想して降らなかった「空振り」と、降らないと予想して降ってしまった「見逃し」に分けられます。外れ8回のうち空振りは6回、見逃しは2回でした。
東京都心では、数センチの積雪でも大規模な交通障害につながることがあります。予報の“見逃し”は混乱を招く原因になりかねないので、気象予報士も頭を悩ませるところです。
気象庁によりますと、降水の有無が当たる確率は“全国の年平均値が83%”です。雪の予報が当たる確率が50%しかないのは、それだけ予測が難しいからとも言えそうです。
東京の雪のピークは2月前半 2月18日は“雪が降りやすい日”
最後に、2025年は東京で雪が降る可能性があるのかを聞いたところ、片山予報士は「これから春に向けて、南岸低気圧が多くなります。今年も雪の降る日はありそうです」と答えてくれました。
片山予報士が1961年からのデータを調べたところ、東京の雪のピーク(日降雪量が1センチ以上)は2月前半でした。雪が降った回数が最も多かった日は2月18日、次いで2月12日となるそうです。
東京23区に雪の予報が出るのは、ひと冬に2~3回程度しかありません。
太平洋側の降雪予報は難しいことを踏まえ、雪に不慣れな人は特に早めの対策を心がけることが良さそうです。
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