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TBSテレビお昼の情報番組「ひるおび」でおなじみの気象予報士・森朗さんと、過去の天気から最新の天気予報まで天気に関するありとあらゆる情報をお届けする「お天気タイムマシン」。今回のテーマは天気図です。(アーカイブマネジメント部 萩原喬子)
【写真を見る】天気図って何がわかるの!?日本で初めて天気図が配られた日(1883年3月1日)【お天気タイムマシン】
天気図って何がわかる?
テレビの天気コーナーで度々目にする「天気図」。この天気図からは一体何がわかるのでしょうか?
気象予報士 森朗氏:
高気圧、低気圧くらいしか書いてないので、知らずに見ると何もわかりませんが、僕ら気象予報士や天気図に詳しい人が見ると天気予報が浮き出て見えてくるんです。もちろん今はコンピューターで細かく分析していますが、天気図を見ただけで、だいたい天気が見えます。
実際の天気図を見てみると…
こちらは地上の気象状態を示す「地上天気図」です。見るべき基本は次の4つです。
(1)「高気圧」
(2)「低気圧」
(3)気圧の同じ場所を線で結んだ「等圧線」
(4)寒気と暖気の境目を示す「前線」
気象予報士 森朗氏:
気圧はとても大事で、風は高い方から低い方に流れていく。もちろんまっすぐ吹くだけではありませんが、お互いぶつかると上昇気流が出来て雲が出来るのもわかりますし、風がどこからどこに吹くかで冷たい空気が流れ込んでくるか、暖かい空気が流れ込んでくるかもわかります。なので天気図を見れば天気もわかるし、温度の変化もわかる便利なものなのです。
天気図っていつどうやって作られたの?
1883年(明治16年)、今から142年前の2月16日、日本で初めて七色刷の天気図が作製されました。
その1年前、1882年(明治15年)にドイツ人の気象学者エルヴィン・クニッピングの指導のもと、まずは全国の測候所の観測データを一斉に収集する体制づくりから始まりました。気象電報を使って各地の収集した実況観測値を紙の地図に記入し、手描きで等圧線等を解析するものでした。
気象予報士 森朗氏:
天気図を書くには日本各地で同じ時刻に測った観測値を即座に集めなければいけなかったんです。その観測値を集めるのに活躍したのが気象電報。この通信技術の発達で、データが即座に集められ、天気図が書けたんです。今も世界中の観測値を同時に交換して、天気図を書いています。
現存する最古の天気図(1883年3月1日)
そして1883年2月16日から毎日1回、朝6時に気象電報を全国から収集出来るようになり、その日から東京気象台で天気図が作製されました。印刷配布が始まった1883年3月1日の天気図は「最古の天気図」として保存されています。各地の観測値と風の強さ、高気圧、低気圧などが書かれています。
1884年には天気予報も…自然災害から国民を守るための大きな一歩に
天気図が作られるようになって約3か月後の1883年5月26日には初の暴風警報が発表されました。
また1884年6月1日には毎日3回の全国の天気予報の発表が開始されたのです。最初の天気予報は「全国一般風ノ向キハ定リナシ天気ハ変リ易シ但シ雨天勝チ」という日本全国の予想をたった一つの文で表現するもので東京の派出所などに掲示されました。当時は収集した気象データを基に大まかな予報でしたが、自然災害から国民を守るための重要な一歩でした。
テレビ番組では手描きの天気図が登場
1984年TBSで放送されていた「浅野芳のお天気診断」。
天気CGが登場するまでの間はこの番組のように、毎日、手描きの天気図で天気予報が伝えられていました。今でこそ気象衛星やスーパーコンピューターによる解析等で予測精度が大きく向上し、様々なシミュレーションができるようになりましたが、当時は予想が難しく天気予報担当の浅野さんも番組内で「予想はずれちゃってごめんなさい」と言っていたことも…。
一方で当たる確率が高かったのは前線に伴う「雨」予報。「寒冷前線」、「温暖前線」、「停滞前線」の「梅雨前線」や「秋雨前線」など前線が登場した日の浅野さんは自信たっぷりに「雨」予報を伝えていました。
天気図の前線から派生した「さくら前線」!今年の桜の開花はいつ?
気象予報士 森朗氏:
温暖前線、寒冷前線のように前線で表し、天気図の前線になぞらえてできたのが「さくら前線」です。さくら前線は造語で正式名称は「さくらの開花予想の等期日線図」と言いますが、前線が徐々に上昇し、桜の開花日がわかるようになっています。ちなみに現時点での予想ですが、東京の桜の開花日は3月21日頃になりそうです。
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