値上げの波は水道代にも…。4月以降、多くの自治体で水道料金の値上げが予定されています。埼玉県本庄市では40%引き上げる方針。市民の生活はどうなるのでしょうか?
水道料金“40%増”?背景には「老朽化」
井上貴博キャスター:
人口密集地以外の水道事業は採算が取りにくいといわれています。人口が減少している日本ではどこでも起きうるかもしれません。
埼玉県本庄市では、水道代が4月から平均約40%値上げします。家庭での使用1か月あたり20立方メートルと想定した場合、▼これまで1903円⇒4月から2739円、836円値上げされます。
その要因としては、浄水場や水道管などの老朽化です。修繕などは水道料金で基本的には賄います。費用は年間約12億円、これを徴収するため水道料金を値上げするしかない、ということです。
本庄市・上下水道部水道課の大島一弥主幹は「生活スタイルを変えてしまうかもしれないが、今後の水道水の安定的な供給のため、ご理解いただきたい」と話しています。
全国1243水道事業体がありますが、約20年後の2046年度までに値上げが必要な事業体は約96%となっています。値上げ率は平均で約48%となっています。福島県鏡石町では5倍以上の料金になるかもしれません。
【水道料金 将来的にどれだけ上がる?】出典:EY Japan 2021年度との比較
福島県鏡石町:4627円⇒2万5837円
青森県津軽広域水道企業団:5929円⇒2万4620円
宮城県南三陸町:4070円⇒1万8893円
長野県木曽町:3960円⇒1万8642円
千葉県大多喜町:4994円⇒1万7612円
北海道当麻町:4590円⇒1万7156円
ホラン千秋キャスター:
これだけ増えると違う世界だと感じますね。
萩谷麻衣子 弁護士:
驚くような値上げ率ですよね。水は絶対に必要なので、本当にどうにかしないととは思います。
水道の経営は令和になる前から議論されています。人口の減少で水道料金の徴収が減少していきますが、老朽化・耐震化には莫大なお金がかかる。
2018年に水道法を改正して、民間を参入しやすくしましたが、民間だからといって経営がうまくいくわけではない。なので、いよいよ値上げをしていかなければいけない状態なのでしょうが、ちょっと値上げ率がひどいですね。
ホランキャスター:
日本全国、基本的には蛇口をひねれば飲める水が出てくる。そのためには水道管も必要で、それを維持していくためにはお金もかかる、ということを考えると、背に腹は代えられない部分はもちろんあります。
節水は“良いこと”だけど…「ある程度は使って欲しい」
井上キャスター:
東京に住んでいる人は特に「東京は人口そんなに減らないから大丈夫だろう」と思っているかもしれませんが、2040年頃には東京も人口減少社会に突入します。そうすると東京でもかなりの値上げ率になることは避けられないかもしれません。
すでに皆さんもやっていると思いますが、節水方法の一例です。
【家庭で出来る節水方法】東京都水道局HPより
▼歯磨き(朝晩):コップに水を汲んで歯磨き
⇒30秒間流しっぱなしより月約220円の節約
▼お風呂の残り湯(毎日):洗濯・掃除に再利用
⇒月約650円の節約
(※1リットル当たりの単価=0.24円で計算、3人家族で1か月当たりの節約金額)
しかし、一般人からすると節水は良いことですが、水道事業者側の立場から見ると、「ある程度は水を使ってもらわないと…」というところがあります。
本庄市・上下水道部水道課の大島一弥主幹によると「水の使用量が年々減少しているのもあって、収入が減っている状況」だということです。
一人ひとりが節水などをすることは良いことですが、事業者側からすると▼給水人口の減少と▼節水機器の普及などで収入がさらに減少する予想となっています。
手を取り合い危機回避?経営統合する自治体も
このような状況の中で、茨城県では2月26日に、基本的に市町村単独で行っていく水道事業の経営統合をしようと、県内20の市町村と隣接する栃木県野木町で基本協定を締結しました。長いスパンをかけて、将来的には一律料金にする方針です。
メリットとしては、今まで市町村それぞれに浄水場がありましたが、それを統廃合することができます。そうすることで管理する施設を削減し、点検や維持管理に人員を増やせる。
人員整理などもでき、人件費削減やコスト削減でスリム化することが出来るかもしれません。そうすると、そんなに水道料金を値上げせずとも経営が回ることが考えられます。
また町民の理解を得るため、今後利用する別の浄水場の水の飲み比べを実施する自治体もあるそうです。
ホランキャスター:
どうにか持続可能なシステムにしていくため、ビジネスモデルやインフラモデルを大きく転換するために、時間とお金は必ず必要になってきますよね。
萩谷麻衣子さん:
水は生きるためにも必要で、公衆衛生にも非常に重要で、安定的な供給が大事です。民営化する際に、「広域化も大事ではないか」ということが一緒に議論されていて、広域化して事業として必要のないものは廃止していく。
そういう形でメリハリをつけて、必要なところにできるだけ低コストで振り分けていくということが、これからますます吟味されていく時代になっていくと思います。
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<プロフィール>
萩谷麻衣子さん
弁護士
結婚・遺産相続などの一般民事や、企業法務を数多く担当
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