学校のカリキュラムの基準となる「学習指導要領」。文科省が行う次の改訂で、学校の授業が大きく変わる見込みです。今回、改訂のポイントとなるのが「授業の柔軟化」です。
【画像を見る】改訂のポイント「授業の柔軟化」で想定される3点
「授業の柔軟化」で授業の時間の変更が可能に 新科目の新設も
日比麻音子キャスター:
先生が授業を組む上での基準となる「学習指導要領」。約10年に1度、大幅に改訂されます。今回は早くても5年後に改訂されます。
今回、改訂のポイントである「授業の柔軟化」で想定されることは3つあります。
1つ目は「授業時間を変えられる」こと。具体的にはどういうことなのでしょうか。
TBS報道局社会部 辻本志郎 記者:
現在の小学校6年生の標準授業時間の主要5科目が並べています。この中で特定の科目の時間を増やしたり、あるいは減らしたりすることができるようになります。
日比キャスター:
例えば、国語の時間を少し外国語の時間に充てるなどの判断を、学校がすることができるということですね。
辻本志郎 記者:
また、これまで教員の研修時間はカリキュラムの外側に置かれていました。要するに、残業をしてやらざるをえなかった部分がありました。
今回は、それらの時間もカリキュラムの中に組み込むことにより、先生たちが残業をしなくても身につけられるようになる見通しです。
日比キャスター:
2つ目は「学校独自の新科目ができる」ということです。具体的に見ていきましょう。
辻本志郎 記者:
今、実際に特例校で実施されている科目には、「ふるさと科」「海洋科」「国際科」など、いろいろな授業が新設されました。
文部科学省によると、「ふるさと科」のように自分の地域の歴史や風土について学ぶ科を設置しているところが多いようです。
それ以外にも、漁港を抱えている地域で、どのような魚が取れるのかなどについて学びを深める科として「海洋科」が設置されています。
いずれも時間をかけて学ばせたい内容になっており、新しい教科として設置することで、じっくりと時間を使うことができるため、新教科を設置するニーズがあると文部科学省は考えています。
教室以外の学習でも卒業が可能に 現場からは懸念の声も
日比キャスター:
そして、3つ目が「教室で授業を受けなくていい」。
例えば、▼特異な才能がある、▼不登校傾向にある、▼日本語を家であまり話さないなどの児童生徒たちが、教室以外での学習で単位取得・卒業が可能になるということです。
それぞれ具体的に、どのような状況の児童生徒たちなのでしょうか。
辻本志郎 記者:
特異な才能がある生徒には、例えば小学校低学年にもかかわらず大学レベルの数学ができる子などがいると思います。そういう子が、これまでは小学校同学年と同じ授業を受けていましたが、大学と連携して、よりレベルに合った授業を受けることができる可能性もあります。
また、不登校傾向にある生徒というのは、いわゆる学校には通えるが教室には入れず、保健室登校の生徒やカウンセラーの部屋に行くような生徒を想定しています。
これまでは教室以外で勉強しても、それが単位として認められないということがありましたが、担任の先生が渡した課題などをこなしていくことで、教室の中で勉強していなくても、単位の取得が可能になりました。
そして、日本語を家であまり話さない児童生徒というのは、外国から来られた方などが該当すると思います。
これまでも、一定の人数以上の子どもがいる場合には、教師がついて日本語の勉強をサポートするということが可能でした。しかし、学校では言語だけではなく、他の教科も学ばなければなりません。そのために、自分が最も得意とする言語でもいいので、学んで支援するといった制度が今後できるかもしれません。
日比キャスター:
ただ一方で、現場の先生方からの様々な声が上がっています。
辻本志郎 記者:
現場の声をうかがったところ、関東地方の公立小学校の校長は「現場の裁量でカリキュラムを組むことができる」という仕組みについては賛同していました。一方で、「教員が対応しきれず、効果が出せずに終わる恐れもあるのではないか」という懸念を示していました。
また、関東地方の公立小学校の教員は「年間1015時間を維持して新しい授業をするのは限界。学校にもっと隙間みたいな時間がないと来たくない子が増える」とのことでした。
日比キャスター:
児童生徒の学ぶ環境がより良くなるのはもちろんですが、先生方にとってもよりよい環境になるのを目指していく改訂になっていくといいですね。
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<プロフィール>
辻本志郎
TBS報道局社会部 文部科学省担当
3人の子を持つパパ 人生勉強です
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