突然の連立離脱表明から3日。自民党が、公明党の衆議院の選挙区に対し、独自候補を擁立する方向で検討していることがわかりました。
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連立解消で選挙に痛手か 2024年衆院選で公明党票は約3割関係
井上貴博キャスター:
自民党と公明党で長きに渡って組まれていた連立が解消されました。
数合わせでいうと、自民・公明の今まで「与党」と言われていた部分ですが、連立が解消されたことで、自民党単独、立憲民主党単独…。どのように数合わせをしていくのか。多数派工作はどうなっていくのか。
連立解消されたとき、自民党は選挙にどのくらいのダメージが及ぶのでしょうか。
2024年10月に行われた衆議院議員選挙では、小選挙区で132の議席を自民党単独で獲得していました。
「公明党と連立していなかったら」JX通信社が試算したところ、単純計算で52人が落選している可能性があるとのことです。
JX通信社 米重克洋 代表取締役:
これは過去の選挙結果からの試算です。自民党が2024年の衆院選で、132人が小選挙区で当選しているのですが、自民党の候補者が得票した選挙区ごとの票数から、その選挙区で公明党が得た票数を引きます。そうすると、公明党票が貢献をしなかった場合、自民党議員がどれぐらい得票しているかが分かります。
それで与野党が逆転する選挙区というのがいくつあるのかを調べると、52ということになるわけです。つまり「2024年の衆院選では、小選挙区で自民党は約52人が公明党票によって下駄を履いていた」と言うことができます。
公明党が連立離脱すると、もし次の衆院選が行われた場合に、この下駄がないわけですから、その分、自民党が苦戦する可能性がある。そういうことを示唆しているデータと言えると思います。
井上キャスター:
こういう数字から、公明党の組織票がいかに大きかったかが言えるわけです。
少し考え方を変えると、公明党がいるから今まで票を投じてこなかったという、他党に流れていた票が自民党に返ってくると考えたときと、公明党の組織票。どちらが重いのでしょうか。
JX通信社 米重克洋 代表取締役:
すごく難しいところで、一概に予測するのは難しいです。ただ公明党票は、2024年の衆院選で比例代表で大体600万票弱あります。ちなみに、自民党全体で1450万票余りです。ですから、すごく存在感が大きいです。自公を合わせて2050万票ぐらいある中で、公明票は大体その3割ぐらいには関係してくる。
2024年はまだ参政党などがあまり党政がなかった時代ですから、その右側の受け皿が自民党以外にあまりなかった時代に、そういう選挙結果になっていることを踏まえると、これを埋め戻していくのは、高市氏とはいえ、なかなかハードルが高いのではないでしょうか。
政治が不安定化…「少数与党が当たり前になる」可能性
井上キャスター:
今後どのように政治がなっていくのか。様々なところで出ていることですが、JX通信社の米重代表は「少数与党が当たり前になる」と話しています。
政治家の皆さんにとっては、連立がなくなると選挙で勝てないのが大きなことでしょう。一方で、国民からすると、政策の違いに目をつむり数合わせされるよりも、むしろ政策ごとに分かれてすっきりしたのではないかという見方もできると思いますが…。
経済アナリスト 馬渕磨理子さん:
例えばエネルギー政策や安全保障の問題、あるいは憲法改正などは、自民党の党是と言われていますが、連立解消によって、そういったところにも踏み込めるのではないかという見方もあります。
ただし、10日の段階で連立が解消されたというニュースを受け、金融市場など、先読みをするマーケットは2400円先物市場を下げました。
これはこの先、少数与党になって政策がなかなかうまくいかなくなるのではないかということを、少し折り込んだりしています。政策が停滞することは経済の停滞なので、しっかりと前に進めていってほしいというアラートも含めた金融市場のサインなのかなと思って見ています。
出水麻衣キャスター:
こうなってくると政治が不安定化する。政策はどうなっているか分からない。結局、私達としてはこの先どうなっていくのかという不安だけが残ってしまいます。
JX通信社 米重克洋 代表取締役:
この先の展開を予想するのが難しい状況にも入っています。来週にはおそらく首相指名の選挙が行われるということですから、当然、自民党を中心とした与党でどこまで固めていくのか。あとは、立憲民主党を中心とした野党でどこまで候補者を固めていくのか。それぞれの「多数派工作」が焦点になってくると思います。
高市氏が自民党総裁になったからそのまま内閣総理大臣になるとは限らないです。
例えば今、立憲民主党を中心とした野党が、国民民主党代表・玉木氏を担ぐなどの話にもなってきています。そこが成就してくると、その玉木氏と高市氏のどちらが多数になるのか。ここは非常に難しい局面に入ってきているのかなと思います。
時期総理は誰に?「野党一本化」も検討が進む
井上キャスター:
恐らくいま、水面下で行われているのが「多数派工作」です。
20日以降にあるであろう「総理大臣指名選挙」をどうするのか。27日~はトランプ氏の来日も控えています。
野党側の動きを見ますと、立憲民主党は、総理指名選挙では野党で統一候補を立てることを検討しています。政策の食い違いはありますが、政権交代に向けて維新・国民民主へ党首会談を呼びかけ、14日の実施を目指しているということです。
国民民主党の玉木代表は「政策本位で判断していきたい」という前提の上、この党首会談受け入れを表明しています。国民民主党として、自民・公明などとも幹事長会談を行う考えということです。
公明党が離れた中で、国民民主党が野党側につくのか、与党側につくのか。そういったところの動きになってきています。
公明党と野党の協力については、斎藤代表は総理大臣指名選挙で「斉藤鉄夫」と書く方針です。決選投票の場合も「斉藤鉄夫」または棄権とのこと。
公明党の西田幹事長は、政策合意がされた場合、野党候補の一本化について協力を排除しない考えを示しています。
もし公明党が野党側につくと、野党一本化で数が増えていく。ところが、これだと政策が全く一致していない。これこそ数合わせではないかというところも見えてくる。
経済アナリスト 馬渕磨理子さん:
理念が一致していない方々が、1つの束になることはリスクだと思います。私達が気をつけないといけないのは、今回は流れの中で言ったりした言葉を手のひら返しされている方がいらっしゃいます。これを忘れずに、きちんと持っておく。そして、次の選挙に生かしていきたいなと思います。
井上キャスター:
今までの日本で起きていないことが起きつつあるということですよね。
JX通信社 米重克洋 代表取締役:
そうですね。海外だと首相指名や連立政権などは、その都度、多数派工作があるのですが、日本は議会でこれをやることが今までなかった。未体験ゾーンに入ってきているという状況です。そういう意味では、この1週間は政治にとって大事な時間になってきていると思います。
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<プロフィール>
米重克洋さん
JX通信社 代表取締役
全国の報道機関にニュース速報や世論調査を提供
選挙分析も手がける
馬渕磨理子さん
日本金融経済研究所代表理事 “日本一バズる”アナリスト
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