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「自民・維新」連立なら高市総理が現実味 揺れる自公の本音と“次の総理”を待ち受ける茨の道【報道特集】

国内
2025-10-18 21:06

26年続いた連立政権から公明が離脱し、自民と維新が急接近しています。連立解消の原因となったのは「政治とカネ」の問題です。自公の選挙協力の現場に大きな影を落として来たこの問題は、今後どうなるのでしょうか?


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自民・維新が急接近 求められる「クリーンな政治」

15日に行われた自民党と日本維新の会のトップ会談。この日を境に新たな連立政権と、「高市総理大臣」の誕生が一気に現実味を帯びている。


村瀬健介キャスター(16日)
「今まさに大きく動き、政局の台風の目となっている日本維新の会の街頭演説。雨の中でも、たくさんの人が足を止めて演説に聞き入っています」


日本維新の会 藤田文武 共同代表
「自民党の作り上げた腐った政治を変え、そして皆さんの生活を良くする」


維新が連立入りした場合、何が求められるのか。


街頭演説会場にいた男性
「みなさんが求めているのはクリーンな政治だと思う。結党の精神を思い出してほしい。譲れない」


街頭演説会場にいた女性
「裏金議員をもう一度クリーンにしてもらう。(裏金問題は)終わったことだからということで、だいたい復職してるじゃないですか」


――政治とカネの問題で 「自民党に妥協しないでほしい」という声もあったが?


日本維新の会 藤田文武 共同代表
「その声は多くいただいてますし、議員の中にもそういう声が多かった。それを受けて、どこまでやれるか、自民党と誠心誠意やりたいと思います」


21日に実施されることが決まった総理大臣指名選挙。


自民党 高市早苗 総裁(14日)
「『自民党の総裁になったけど総理になれないかもしれない女』と言われている、かわいそうな高市早苗でございます」


高市総裁は連立をめざし、維新の幹部と連日協議。維新が求めている「企業・団体献金の廃止」や、「議員定数の削減」などを受け入れられるかが焦点だ。


“公明離脱後”の3連休、水面下で動いた高市総裁

実は、この維新との協議を水面下で進めてきたのは高市氏自身だという。


政治ジャーナリスト 後藤謙次氏
「公明が離脱したあと、高市氏からアプローチしている」


公明党が連立離脱を決めた翌日からの3連休、高市総裁は公の場に姿を見せなかった。実はこのとき、自ら水面下で動いていたという。


政治ジャーナリスト 後藤謙次氏
「10月12日、赤坂の議員宿舎で、高市総裁、次の官房長官に想定される木原稔氏、維新・藤田共同代表の協議があった。ここでほぼ土台ができたと。

そして、13日に維新・吉村代表が高市総裁の本気度を探るということで、大阪から電話をして、多分、高市総裁が熱い思いを語ったんでしょう。

14日になると、自民・梶山国対委員長と維新・遠藤国対委員長のいわゆる表の会議、自民と維新の連立工作が表面化するわけです」


維新との選挙協力は? 自民“全敗”の大阪からは戸惑いの声

自民と維新が急接近する一方、党内は揺れている。


大阪では2024年の衆院選で、維新が19ある選挙区で全勝。一方の自民党は、15の選挙区で候補者を立てたが、全員落選した。


自民大阪府連 松川るい 会長代行
「大阪はご承知の通り、維新の本拠地。また、公明党との協力が深くあったところ。他の県にはない特殊な事情もある」


2025年の参院選でも、自民は27年ぶりに大阪選挙区で議席を失った。


このとき落選した柳本顕氏。いつ選挙となってもいいように支援者回りなどを続けている。懸念しているのは維新と連立した場合の選挙協力の行方だ。


大阪選挙区で落選 自民党 柳本顕氏
「選挙協力については基本的にはしない考えなんじゃないかなと勝手に思ってる。いろんな意見がある。自民党支持層の方からも厳しいご意見などいただいている。この間のいろんな経過を考えると、戸惑いという思いがある」


「党本部同士もいい加減にしてもらいたい」自民県連幹部の怒り

自民党本部への憤りを隠さない人がいる。自民党広島県連で会長代理を務める中本隆志氏だ。


自民党広島県連 中本隆志 会長代理
「河井事件のときから、河井案里さんを擁立したときから、今現在に至るまで全て迷惑だった。党本部同士もいい加減にしてもらいたいなと」


「河井事件」とは、2019年の参院選で河井克行元法務大臣が、妻の案里氏を当選させる目的で、100人近い地元の議員らに現金を渡した前代未聞の選挙買収だ。


事件のあと、河井元法務大臣の地盤だった広島3区から立候補したのが…


公明党 斉藤鉄夫 副代表(2020年 当時)
「この政治不信に対して再び信頼を取り戻す。与党としての信頼を取り戻す」


自民党本部の主導で、当時公明党の副代表だった斉藤氏に泣く泣く選挙区を譲った。


自民党広島県連 中本隆志 会長代理
「『いや、それちょっと待ってよ』と。広島県はずっと広島3区の議席はもってきた。ここで譲ることはできない。党本部の方が、『いや、もう上で決めてしまったんで』『上手くそれでやれ』ということだった」


公明党 斉藤鉄夫 副代表(2024年10月 当時)
「広島3区、広島3区、勝たせてください!勝たせてください!」


2024年の衆院選では、立憲民主党の候補に約1万5000票差をつけ、当選した。


斉藤代表は、中本氏の県議会議長就任パーティーに出席した。当初は党本部の決定に不満を露わにしていた広島県連だったが、時間をかけて斉藤代表との信頼関係を築いてきたという。


そこに突きつけられた連立離脱だった。


自民党広島県連 中本隆志 会長代理
「我慢して我々も今まで公明党と一緒にやってきた。我々は仲間になった。その仲間を今度また解消しろと言われても、それはもう無理ですよ。地方の色々な結びつき、その集合体が自公連立政権の中で長年続いてきた。これは虫が良すぎる。もう振り回されるのは嫌ですよ」


連立離脱が決定した後、中本氏のもとへ斉藤代表から一本の電話が入ったという。中本氏がその内容を明かした。


自民党広島県連 中本隆志 会長代理
「(斉藤代表は)『党本部同士は今までの色々なしがらみの中、我々も一旦ここでお休みさせてくださいという決断をした』と。『ぜひとも地方同士は今まで通り仲良くしていただきたいという強い希望を持ってます』と」


ーー「お休み」という言い方をしたが、今後また連立に戻るという意味か?


自民党広島県連 中本隆志 会長代理
「そこは言葉の拾い方だから。ただ、『お休み』という言葉を使われた。まあ、わからないですね。ただ金輪際、今生の別れという言い方ではない。『お休み』という言葉を使われた」


「広島では公明党との選挙協力をこれからも続けていきたい」と話した。


自民党広島県連 中本隆志 会長代理
「広島バージョンを作り上げて、広島型の公明党との付き合いを我々も作っていきたい」


こうした選挙協力について、斉藤代表はどのように考えているのか。


公明党 斉藤鉄夫 代表
「党同士での、いわゆる推薦等または選挙協力というのは、これは行わない。国政レベルの話です。その上で、我が党の党員が地域、地域で築いていく信頼関係、これをベースにお互いを応援し合うということは当然あり得ること。その際、人物本位、政策本位と申し上げてきた」


創価学会員「裏金問題」の影響感じても…連立離脱に割り切れない思い

斉藤代表の選挙区で、自公の揺れ動く協力関係を見続けてきた公明党の支持団体「創価学会」。学会員歴60年以上の村岡平吉さん(86)は…


創価学会員 村岡平吉さん
「自民党と一緒に組んでやってきて、『広島3区も一緒にやってくれ』『やろう、やろう』と『頑張れ』って言うなら、それはそれで私はいいなと思いますが、そんな風にはいかないのではないか」


広島3区に含まれる広島市安佐南区と安佐北区では、2014年に発生した土砂災害で77人が死亡した。(災害関連死も含む)


安佐南区で自治会長を務める村岡さんは、斉藤代表を被災現場に案内した経験もある。


創価学会員 村岡平吉さん
「普通の人だったらちょっとこの3区では厳しい。斉藤さんだから勝てた、あの人柄だからね」


選挙協力の中で「河井事件」に「自民党の裏金問題」も重なり、「選挙運動は苦しくなった」と感じているという。


創価学会員 村岡平吉さん
「この3区にも『大きなお金』(河井事件)をやってくれた。やっぱり自民党にはカネかと、カネが引っ付いて歩くのかという感じで。結局、自民党が(裏金問題など)はっきりしてくれない。そういうところと組んでるということで、公明党の票もかなり減ってきた。その影響で。それは大きく言える」


とはいえ、連立離脱には割り切れない思いもある。


創価学会員 村岡平吉さん
「今まで同じ与党だったのが、瞬間的に今度は野党と与党だから、そんなにパッと切り替わる気持ちというのは難しいと思う。(連立離脱と)なった以上はそれでやっていく以外ない。『清き一票』と言うか、本当に清いというか、誠実でないといけない」


「まだまだ公明党の底力はある」連立離脱を歓迎する創価学会員も

連立離脱を歓迎している創価学会員もいる。石川県珠洲市の橋元宗太郎さん(42)だ。


創価学会員 橋元宗太郎さん
「もうひとつ高台の裏に自宅があった。そっちの方のご本尊様も、津波も来たけど大丈夫だった」


橋元さんは2024年1月の能登半島地震で、経営していた温泉施設が全壊し、家族で4か月間、体育館で避難生活を送った。

曾祖母の代からの創価学会員で、選挙協力の現場を支えてきた。


創価学会員 橋元宗太郎さん
「選挙で自民党の議員を小選挙区でお願いして、比例区で公明党をお願いしますとセットでお願いして回っていた。1人で30人とか、多い人で100人・200人にお願いして。コンビニの店員にもちょっと声かけてとか」


創価学会員 橋元宗太郎さん
「被災地で、実際にどういうことを国とか政治がしてくれて、良くなったっていうのがぱっと実際浮かばない」


ーーそういう中で2023年くらいからの“裏金問題”は創価学会の皆さんにとってはどうだった?


創価学会員 橋元宗太郎さん
「選挙の応援どうやってお願いしたらいいかなと。何て答えればいいかなと、ちょっと頼みにくい」


能登地方が含まれる衆議院石川3区では、公明党が推薦した自民党候補が、4期12年議席を守ってきた。


しかし「裏金問題」が浮上したあと、2024年の衆院選では立憲民主党の候補に1万6000票差をつけられ敗れた。

【石川3区・2024年衆院選】
立憲・近藤和也氏 7万7247票
自民・西田昭二氏 6万1308票(比例復活当選)


2025年7月の参院選でも自民党候補への投票を求めたが…


創価学会員 橋元宗太郎さん
「『自民党のそういう問題どうなんだ』と聞かれることが多かった」


復興も遅れ、投票の呼びかけに冷ややかな視線を向けられた。それだけに、連立の解消にむしろ期待しているという。


創価学会員 橋元宗太郎さん
「全然まだまだ(公明党の)底力みたいなものがあると思う。今度の戦いになった時に、結果出た時が楽しみだなと。僕ら仏教・仏法は勝負だという教えなので、組織の方針に沿ってしっかりやっていくということが大事」


自民党 なぜ「企業・団体献金」をやめられない?

自民党はなぜ、公明党が訴えていた「企業・団体献金の規制強化」を飲むことができなかったのか。

約40年間自民党に所属し、党本部の事務局長も務めた久米晃氏。自民党にとって企業・団体献金はなくてはならないと話す。


元自民党本部 事務局長 久米晃氏
「県議会議員の定数の半分、約50%が自民党の県議会議員。県議会議員の活動費をどうやって捻出するかといったら、自分たちで作るしかない。他の野党は、例えば労働組合や違う団体がバックについてる。数も違うわけだから使う資金の量が違う」


こうした事情を広く説明するべきだったと指摘する。


元自民党本部 事務局長 久米晃氏
「その他の政党とは生い立ち、成り立ち、今の立場は違うということをもっときっちりと説明すべきだと思う。『それがなければ活動はできません』ということをはっきり言わないと、自民党だけ一方的に駄々こねてるみたいに思われるから、それはいい方法じゃないと思う」


山本恵里伽キャスター
「説明を丁寧にすれば、公明党も理解した可能性はあるということですか?」


元自民党本部 事務局長 久米晃氏
「だと思います。世論が『なるほどな』と思えば、公明党は(企業・団体献金に)反対できない」


“高市総理”が誕生しても…待ち受ける「茨の道」

政治ジャーナリストの後藤謙次氏は、高市総理が誕生したとしても厳しい政権運営が待っていると語る。


政治ジャーナリスト 後藤謙次氏
「参議院選挙から“石破おろし”が始まったが、結局おろすことだけが目的で、その後の戦略戦術、あるいはシナリオが全くないまま突き進んだ。

執行部人事をみると、論功行賞というよりは私から見ると報復人事。石破政権の役員はひとりもいない。

森山前幹事長たちがあれだけ野党との間でパイプを繋いで、パーシャル連合(※1)や法律、予算を通してきた。そういう人的な財産とノウハウを一切継承しようとしていない。行き当たりばったりで行かざるを得ないんじゃないか。今回は連立まではいいが、そこから先は茨の道。地獄の釜の底が見えるところまでいってしまうかもわからない」


(※1)「パーシャル連合(部分連合)」与野党が政策ごとに協力する枠組み


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