
「ティーボール」は誰でもバッティングを楽しめる!
障がいがあると、なかなか屋外でみんなと一緒にスポーツを楽しむことが難しかったりします。
今回紹介する「ティーボール」は年齢や性別を超えて、障がいの有無に関わらず、誰でも楽しめるスポーツということで、杉並区で開催された「ティーボール教室」を取材してきました。
「ティーボール」とは、簡単に言うと、ピッチャーのいない野球です。
野球だと、ピッチャーがボールを投げて、それをバッターが打ちますが、ティーボールはホームベースの後ろにバッティングティーが置いてあり、そのティーに載せたボールを打ちます。
今回の「ティーボール教室」を運営している東京ティーボール連盟の藤川さんに活動を始めた経緯について、聞きました。
東京ティーボール連盟の藤川さん
「ティーボールっていうのは、元々、野球の普及、ソフトボールの普及のために始まったものなんですが、止まったボールを打つということでは、誰でもすぐ打つことを楽しめるということで、障がいを持った方でも打つことを楽しんでもらうために、健康、福祉の両面を合わせて、活動していこうということで始めました」
ルールもいろいろとあるのですが、今回、取材した「ティーボール教室」では「どか点ゲーム」というルールで行われていました。
野球では、守備側はバッターが打ったら、ボールを捕って、アウトを取りに行くのですが、今回は、野手がボールを捕ったら、ピッチャーの少し後ろくらいのところに置かれたコーンまでボールを繋ぎ、コーンの上にボールを置きます。
一方、バッターは、打った後、野球と同様に一塁へ向かって走るのですが、守備側がボールをコーンの上に置くまでに、どれだけベースを回れるかで点数を取っていきます。
一塁を回っていたら1点。二塁なら2点。三塁なら3点。ホームまで返ってきたら4点入ります。さらに、バッターボックスから一塁に走るまでの間に、円が描かれた場所があり、打った後にバットをその円の中に置いてから走れば、さらに1点が入ります。
また、攻守交代もアウトを3つ取ったら交代ではなく、攻撃が一巡したら交替するといったルールで行われていました。
障がいの有無に関わらず、みんなで楽しめるのも野球の醍醐味のひとつ
今回、取材した「ティーボール教室」には、知的障がいのある人や手足が不自由な人などが参加していました。
ほかにもその家族や、ボランティアなども一緒に参加していて、障がいの有無にかかわらず、同じスポーツをして、汗を流せる場所といった印象を受けました。
実際にこの教室に参加していた家族にも、話を聞きました。
参加した家族の声
「両足が義足で、知的障がいがあります。学校の体育の授業で運動をしたり、週末にプールに行ったりはするんですけど、野球の習い事とかはなかなかできないので、この回には毎回参加してます」
「子供が野球が好きで、私自身も野球経験をしていたこともあり、このような教室にはなるべく参加しようとは思っています。こうやってみんなで楽しめるのも、野球の醍醐味のひとつでもあるので」
「障がいのある子もない子もみんなできるし、普段あまりスポーツをしたがらない息子も頑張ってやってるので、また来たいなと思ってます」
ほかにも、息子さんが大谷翔平選手の活躍を見て、野球に興味を持ったものの、クラブ活動などには参加できずに困っていたところ、この活動を知って、参加してみたという家族もいました。
この日は、準備体操やバッティング練習をしたあと、2チームに分かれて試合を行いましたが、ティーのボールを打つということで、多くの人が打てており、参加した人たちはバッティングの楽しさを感じられたのではないかなと感じました。
元プロ野球選手も指導者として参加!
この活動には、元プロ野球選手も参加しています。
取材した日は、中日ドラゴンズや千葉ロッテで活躍した上川誠二さんがバッティングの指導などをしていました。
元プロ野球選手 上川誠二さん
「僕らはプロでやっていましたけど、そんな技術的なことを何か教えるようなことはそんなことなくて、楽しくやればいいかなと思ってます。みんなボールを一生懸命追いかけたり、バッティングを楽しくやっているから、すごくいいなと思ってます。下手とか上手いとか関係なく、みんな一生懸命ボールを追いかけているからいつも感動しますね」
普通に野球をやっていても、元プロ野球選手の方に教えてもらえる機会はなかなかないので、こういった機会があることは、すごくいいことだなと思いました。
今回は「ティーボール」で少し形は違いますが、「野球」というスポーツが、障がいの有無にかかわらず、さまざまな人に楽しんでもらえるというのは、これまで野球をやってきた筆者としては、嬉しいことです。
今後、さらにこのような活動が広がっていくことを願っています。
(TBSラジオ「人権TODAY」2025年10月25日放送分 担当:恒藤泰輝)
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