新潟県では駆除にあたっていた猟友会の男性がクマに襲われ、当時の恐怖を語りました。クマ被害は日本だけに留まりません。ヨーロッパを取材すると、観光客のエサやり、駆除をめぐる法改正など、私たちも直面する課題、対策のヒントが見えてきました。
【写真を見る】ルーマニアでクマは“神聖なる動物” 伝統的な行事「クマ踊り」も
「いきなり噛みついてきた」“ハンター歴60年”の男性がクマに襲われけが
午後1時すぎの、いわて花巻空港。見渡す限り航空機も作業員も見当たりません。
そんな空港の敷地内に現れたのは、1頭の子グマです。どこを目指しているのか、躊躇することなく走り抜けます。
約1時間、滑走路が閉鎖され、発着停止の措置がとられました。
12日も、クマによる被害が各地で相次ぎました。
連日のようにクマが出没している新潟県新発田市。駆除にあたろうとした猟友会の男性がクマに襲われました。
男性はハンター歴60年。顔にはガーゼが貼られ、痛々しい様子でした。
猟友会の男性(80)
「いきなり噛みついてきた。(Q.飛びかかってきた感じ?)そうだね。(Q.どんな感じで噛みつかれた?)ガブッと噛みつかれた。この傷の所をガブッと噛まれた」
12日朝、「クマのフンや柿の木をひっかいたような跡がある」と警察に通報がありました。これを受け、猟友会や市の職員が出動。クマを見かけた猟友会の男性が待ち構えるため、車を降りたときのことでした。
猟友会の男性(80)
「クマが先回りした。待っていようと思ったわけよ。それが間に合わなかった。クマの方が早かった。車から降りた時、銃持っていたけど弾も入っていないし、撃てる態勢ではないわけ。怖いとかはない。どうにも退治せねばねと」
被害男性の妻「心臓がバクバクして」 国会は自治体支援拡充の考え示す
男性は顔をクマに噛みつかれ、鼻の骨が折れるなどしましたが、その場で銃を取り出し、駆除したということです。
クマの体長は150cmほどで、成獣とみられています。
猟友会男性の妻
「心臓がバクバクして言葉が出なかった。けがの状態が分からなかったから。命があったから良かったよ」
今回、大きな傷を負った男性でしたが…
――またクマが出たら行くか?
猟友会の男性(80)
「要請あれば行かないと」
妻
「もうやめたら?」
岩手県八幡平市では12日朝、自宅の近くを飼い犬と散歩中の男性(47)が2頭のクマに遭遇。このうちの1頭に頭を引っかかれました。
腕や足からも出血があったということですが、男性は自力で自宅に戻ったということです。一緒にいた飼い犬も無事でした。
深刻化するクマ被害をめぐり、高市総理は国会で、補正予算を活用してクマの捕獲費用など自治体への支援を拡充する考えを示しました。
高市総理
「本年は本当に東日本を中心に多くの地域でクマによる人身被害が増大している。多様化・広域化しているので、国民の皆様の安全・安心を脅かす深刻な事態と受けとめている」
ルーマニアでクマは“神聖なる動物” 一方、観光客の死亡事故も
クマの出没は海外でも…
クマの毛皮を被り、太鼓の音や音楽に合わせて踊る人たち。東欧・ルーマニアの村では毎年、クリスマスから年始にかけて、「クマ踊り」と呼ばれる伝統的な行事が行われます。
クマは神聖なる動物とされていて、悪霊を追い払い、新しい年を祝う意味があるそうです。
そんなルーマニアには、ヨーロッパで最多の1万頭~1万3000頭にのぼるヒグマが生息しているとされています。
一方で、被害も相次いでいます。
道を歩く2頭のクマ。その直後、ゲートを開けて女性が出てきましたが、大慌てで戻ってきます。クマに追いかけられているのです。
女性は建物に逃げ込んで事なきを得ましたが、クマは諦めていない様子です。
実は、この場所では以前にもクマと鉢合わせになった女性が追いかけられ、大声を出して撃退したことがありました。
2025年7月には、ルーマニアを旅行中のイタリア人男性が山道をバイクで走っていた際、クマに襲われ死亡しました。男性は、クマを見かけてえエサ与えようとしていたということです。
ルーマニアでは、野生のクマにエサをあたえる観光客が問題視されています。
欧州でも相次ぐクマ被害 各政府は“駆除拡大”を発表
ルーマニアの山岳救助隊
「人が捨てた大量のごみを、クマが食べ物と勘違いしてしまう」
この国では、過去5年間で19人が死亡したほか、20年間で274人が重傷を負ったということです。
こうした事態を受け、ルーマニア政府は2024年、年間に駆除できるクマの数を500頭近くに倍増。さらに11月に入って、駆除方法などについて法律の改正案をまとめました。
クマが危害を加えそうな場合には「速やかに射殺」できるようになるほか、エサを与えた場合には、日本円で約100万円の罰金を科す内容も盛り込まれています。
また、2025年4月にクマによる死亡事故があったスロバキアでも、政府が350頭の駆除を目指すと発表。
これに、動物愛護団体などが「駆除では問題は解決しない」と反発しました。
各国とも難しい対応を迫られています。
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