政府は「首都直下地震」について、12年ぶりに被害想定などを見直し、19日に公表しました。震度7の地震が首都圏で起きたら…いまの備えで大丈夫ですか?
13年ぶり 首都直下地震の「被害想定」公表
高柳光希キャスター:
首都直下地震の被害想定について、防災対策などの進捗状況を踏まえた見直しが行われ、19日に、2013年以来12年ぶりとなる報告書が公表されました。
報告書の中で特に強調されているのが「自分ごと」という言葉です。「首都圏に住む人ひとりひとりが、『極めて困難な状況』に見舞われるため」に強調されているということです。
行政や地域ができることにも限りがある中で、まずは「自分でできること」を考えることも重要となります。
首都直下地震ではどのような被害が想定されるのでしょうか。
【「都心南部」直下地震 被害の想定は】
東京・江東区で最大震度7
死者:1万8000人
避難者:480万人
建物の全壊・焼失:40万棟
経済被害:83兆円
ライフライン被害:1か月程度(復旧まで)
最大震度「7」の揺れが起きるとされているのが東京・江東区です。
その周辺の地域では最大震度「6強」、さらに外側の地域では最大震度「6弱」の揺れが想定されています。震度6弱以上の揺れが想定される地域は、2013年の報告書より1割広くなっています。
死者が「2万3000人」と想定されていた2013年から、2015年には半減することを目指していましたが、最新の想定では5000人減にとどまっています。
TBS報道局社会部 気象・災害担当 本杉美樹 記者:
2013年の報告から12年間、様々な対策がされてきましたが、建造物の耐震化や家具の固定という点で十分ではないという見解となりました。
そもそも12年前と比べて首都圏の人口自体が増加していることもあり、今回は5000人減にとどまっています。
地震は「自分ごと」 身を守るために必要なこと
高柳キャスター:
地震が起きたとき、身を守るためにどのようなことが必要なのでしょうか。
【首都直下地震 身を守るために】
▼住宅の耐震化
▼家具の固定
▼備蓄
▼家族との連絡方法を決める など
日比キャスター:
「自分ごと」が強調されている首都直下地震ですが、「在宅避難」が基本になる傾向もあるのでしょうか。
TBS報道局社会部 本杉記者:
きちんと耐震化されていて、地震の後も自宅で過ごせる状況であれば、避難所よりも在宅避難の方が快適なのは間違いありません。
そのためにも、きちんと備蓄をしておく、家具を固定しておくなど、在宅でも多少の期間は過ごせるように環境を整えておくことが大切だと思います。
首都直下でも…?地震の最大の死因は「火災」
高柳キャスター:
「首都直下地震」では、最大1万8000人の死者が想定されていますが、そのうち7割は「火災」による犠牲とされています。
特に危険な地域は「木密地域」、いわゆる「木造住宅密集地域」だということです。▼住宅同士の距離が近く、道が狭いことや、▼公園などのひらけた場所が不足しているなどの特徴があります。
木密地域では、▼火災時の延焼、▼地震時の倒壊、▼避難・救助の困難といったリスクが高まるのではないかといわれています。
普及急がれる「感震ブレーカー」とは
高柳キャスター:
東日本大震災で起きた火災の半分以上が「電気火災」だということもわかっています。
そこで設置が急がれるのが「感震ブレーカー」ですが、設置状況は、首都圏の2割にとどまっています。
TBS報道局社会部 本杉記者:
自宅のブレーカーを開けると、設置されている場合は「感震ブレーカー」と書かれています。比較的新しい建物でも設置されていないことがあるので、ぜひ確認してください。
高柳キャスター:
感震ブレーカーは、強い揺れを感知したときに自動で電気を遮断する装置です。地震が起きたときに、電気による火災が発生するのを防ぐため、自動でブレーカーが落ちるようになっています。
種類としては、▼分電盤タイプ、▼コンセントタイプ、▼簡易タイプがあります。すぐに設置できるものなのでしょうか。
TBS報道局社会部 本杉記者:
特に簡易タイプや、コンセントに差し込むだけのタイプは電気工事の必要がなく、簡易タイプ中でも「おもり式」などは3000円ぐらいで買えるものもあります。
自分ごととして、すぐに設置を進めてほしいと思います。
日比麻音子キャスター:
帰省で実家に帰ったり家族が集まったりするタイミングで、感震ブレーカーの設置や、避難経路・連絡手段について確認してほしいですね。
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<プロフィール>
本杉美樹
TBS報道局社会部 気象・災害担当
南海トラフWGを発足から取材
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