多くの業界が直面している人手不足の問題。中でも電車やバスなどの交通機関は運転士不足で、路線の廃止や減便が起きています。そこで熊本の鉄道会社が導入したのが異例の“働き方改革”。人手不足を解消させ、地域住民の「足」を守った方法とは?
4年後 運転士が全国で3万6000人不足…活躍する外国人運転手
この春、バス運転手としてデビューしたこちらの女性。インドネシア出身のマハトミ・リスマルタンティさん(26)です。
東急バス運転手 マハトミさん
「発進前に車内を確認をします。12時29分たまプラーザ行き、出庫します」
事務員
「はい気をつけて、いってらっしゃい」
マハトミさんは、2025年9月に来日し、半年にわたる研修を経て、3月、「東急バス」初の外国人運転手となりました。
東急バス運転手 マハトミさん
「ドア閉まります。発車します、おつかまりください」
この日は、川崎市の営業所からたまプラーザ駅までを往復する約1時間の乗務。慣れた手つきでハンドルをさばきます。
東急バス運転手 マハトミさん
「最初は難しいと感じていたが、今は本当に楽しい」
「お客様に『ありがとう』って言ってもらえると、やりがいを感じる」
子どもの頃からアニメが大好きで、大学時代は日本文化を学んでいたというマハトミさん。卒業後、一度は母国で就職しましたが…
東急バス運転手 マハトミさん
「日本で働きたい気持ちがあった」
そんな中、東急バスが外国人の運転手を募集していることを知り、迷わず応募。来日し、専門性を持つ外国人が就労できる「特定技能」の資格を得ました。
地域の交通を支える「外国人運転手」の存在に、地元の人は…
路線バスの利用者
「やっぱりこの地域は電車の沿線ではない。海外の方でも日本の方でも、こうした職業に就いてくださる方には感謝」
バス運転手のなり手は年々減っています。
日本バス協会の試算によると、4年後には、運転士の数は全国で3万6000人不足すると推定されています。
東急バス 特定技能2期生
「釣銭をお確かめ願います」
減便や廃止を余儀なくされる路線バスも相次ぐなか、東急バスは外国人材の採用を強化。
すでにマハトミさんの「後輩」も入社していて、今後、新規採用の1割を外国人にしたいとしています。
「平日限定運転士」働き方改革で人手不足を改善
「画期的な働き方改革」によって、人手不足のピンチを乗り越えた鉄道会社もあります。
熊本市と合志市を結ぶ「熊本電鉄」。長時間の労働環境などを理由に退職者が重なり、2025年、運転士が4人にまで減少。※通常は9人必要
2025年2月からは、1日約160本あった平日ダイヤを約120本まで減便せざるを得ない状況になりました。
この日、始発からの運転を担当する河端祥朗さん(61)。
熊本電鉄 運転士 河端祥朗さん
「これです、132号車。東京メトロの電車です」
去年(2025年)まで関西の鉄道会社で41年間勤めた河端さんは、定年後、家族と離れ単身赴任で熊本電鉄に再就職しました。
熊本電鉄 運転士 河端祥朗さん
「(前の会社では)25歳のときに運転士になって10年強、運転はしていた」
「もう一度、運転したいなとずっと思っていた」
そんな河端さんの夢を叶えたのが、熊本電鉄が導入した「新たな働き方」でした。
熊本電鉄 運転士 河端祥朗さん
「平日限定運転士、土曜・日曜・祝日は確実に休み」
365日、休みなく動く鉄道の現場では異例の「平日だけ」の勤務シフトです。
この制度のおかげで、河端さんは、地元・京都に家族を置いて熊本で働こうと思えたといいます。
平日限定運転士 河端祥朗さん
「家族含め友達、みんなからしたら『なんで熊本行くねん』と」
「じゃあ月1回くらい京都、地元へ帰ろうかと思って。それなら土日(祝日)休みの方が、帰ってもみなさんと会える」
「家族も喜んでいる。みんなの心配の種なので。遠く離れているのですぐに会えない」
他にはない「平日限定運転士」は全国から注目され、土日勤務の運転士も含め、12人まで増加。
5月11日からは、ダイヤを減便前の95%水準まで戻せるようになったのです。
なぜ「平日限定」の働き方を採用したのか、担当者は…
熊本電鉄 執行役員 中野育生 鉄道事業部長
「路線バス(事業)で募集を開始して、応募が来ることを踏まえて、鉄道でも平日限定の運転士制度を募集の中に組み込もうかと」
熊本電鉄の路線バス事業でこの制度を導入したところ、働き方を理由に運転手の夢を諦めていた若い世代からの応募などもあり、人手不足解消の道筋が見えたといいます。
平日限定バス運転手 生見健也さん(28)
「子どもとの時間を大切にしたいという思いが強かったので、バスの運転手は休みがバラバラなイメージがあって挑戦できずにいたが、これなら土日は家族や子どもとの時間を大切にしながら、自分が好きだったことに挑戦できると思い、挑戦しました」
社員の希望する働き方や待遇を実現しつつ、地域の足を守り続けなければならない公共交通機関。
その担い手を確保する対策が急務となっています。
公共交通機関の人手不足、負のスパイラルを断ち切るには…
藤森祥平キャスター:
公共交通機関の人手不足は、全国的な課題です。
札幌市を見ていきますと、バスの運行数がここ6年で、3割以上も減っています。
そこで海外で人材を育成する事業を始めました。ベトナム人の人材募集で、約1年かけて現地で育成しています。「大型二種免許」取得に向けた対策や日本語の習得を支援しています。
現地で正社員を約10人採用して、日本国内で必要な免許の取得をサポートしています。費用は、札幌市とバス会社が全額負担しています。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
地方の公共交通機関は、人手不足と資金不足と両方悩んでいます。便数を減らすと、利用者が減って、経営が悪化し、便数が減るという負のスパイラルに陥っています。どっかでこれを止めなくちゃいけないです。
国や自治体が資金援助をして、運転手・便数を確保することに乗り出して欲しいのですが、地域の事情に合わせて知恵を絞る必要があると思いますね。
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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
政治記者歴30年 福島県出身
・55歳母親を暴行死させた37歳男は“ヤングケアラー”だった 10歳から家事に追われた男と母親の「狂気の関係」
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