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パレスチナ自治区・ガザを、アメリカが所有すると発言し、世界を驚かせたトランプ大統領。この発言を、ガザの人たちは、どう受け止めたのでしょうか。
【写真で見る】「おぞましい町に変わってしまった」色が消えたガザの今
アメリカの“ガザ所有”発言…波紋広がる国際社会
4日、2期目のトランプ大統領が、最初にホワイトハウスに迎えた外国の首脳はイスラエルのネタニヤフ首相。会談後の会見で飛び出した発言に大きな波紋が広がりました。
トランプ大統領
「我々がガザを所有する。簡単な決断ではなかった。皆、ガザの所有を歓迎している」
ガザ地区をアメリカが所有し、経済開発を行う考えを示したトランプ大統領。
トランプ大統領
「ガザ地区は驚くべき可能性を持っている。中東のリビエラ、これはとても素晴らしい場所になる」
その将来像として挙げたのは、地中海にある世界的保養地・リビエラでした。
しかし今、ガザの街は見渡す限り建物が破壊され、瓦礫と化しています。緑豊かだった通りは色が消え、行き交う車の流れも今はみられません。
これまでに死亡が確認された約4万7000人とは別に、破壊された建物などの下に、今も1万人以上の行方不明者がいるとされています。
1月の停戦合意を受けて、故郷に戻り始めた人々。
ジャーナリスト ムハンマド・マンスールさん
「私が生まれ育った町は、恐ろしくおぞましい町に変わってしまった」
イスラエルの攻撃開始直後から、現地の状況を伝え続けているガザのジャーナリスト・マンスールさんも、故郷・ラファを8か月ぶりに訪れましたが、かつての面影はありません。
マンスールさん
「トランプ氏の発言はとても恐ろしいものです。アメリカの大統領が世界に対し、力による支配を押しつけている」
会見で、トランプ大統領が主張したのが、ガザの住民全員をエジプトやヨルダンなど別の場所へ移住させる構想です。
トランプ大統領
「ヨルダン、エジプトは(受け入れを)拒否しているが心を開き、人々が平和に暮らせるよう必要な土地を与えてくれるだろう。(Q.誰がガザ地区に住むと想定している?)世界中の人々だ。国際的にすばらしい場所になるだろう」
翌日、ルビオ国務長官は、ガザ再建の間「一時的」に離れるという意味だと火消しに走りましたが、国際社会からは厳しい批判の声が上がりました。
国連 グテーレス事務総長
「パレスチナの人々が持つ、譲ることのできない権利とは、自らの土地で人として生きる権利だ」
また、イスラム組織・ハマス幹部イザット・リシュク氏は「トランプ大統領の発言は、この地区に対する深い“無知”を反映している」と発言。
その上で「不動産業者の考え方では解決できない」として強く反発したのです。
こうした背景には、想像を超えるパレスチナの苦難の歴史がありました。
「ガザは私の命、去ることはあり得えない」強制移住は“第二のナクバ”か
2023年の戦闘開始直後から、ガザの惨状を伝えてきたジャーナリストのムハンマド・マンスールさん。
トランプ大統領によるガザ住民の移住構想に対し、怒りと共にパレスチナの苦難の歴史を思い起こしたといいます。
マンスールさん
「停戦後に『世界中がたとえ背を向けたとしても、ガザを再建するのは私たちだ』という言葉が広がった。強制的に移住させる“第二のナクバ”は決して許されません」
「ナクバ」とはアラビア語で「大惨事」の意味。1948年のイスラエル建国で、約70万人のパレスチナ人が故郷を追われ、難民となった悲劇を指します。
その後も、イスラエルは圧倒的な軍事力でパレスチナ全域を占領。
こうした中、1993年、パレスチナとイスラエルが共存する“2国家解決”を目指す「オスロ合意」が結ばれます。
ところが、イスラエルはその後も国際法違反とされる占領地への入植を続けるなど、“力による現状変更”をパレスチナ人に強いてきました。
中東政治に詳しい慶應義塾大学の錦田教授は、今回のトランプ氏の提案は、意思に反して住民を移動させれば国際法違反になるとした上で…
慶應義塾大学 錦田愛子 教授
「荒唐無稽な発言をきっかけに、実際にアメリカの閣僚やイスラエル政府がそれを実行に移すような戦略をとっていかないとも限らない。悪い方に流れていくか、もしくは『ガザの人々は苦しい状況に置かれてきた』『国際社会は無視してきた』ということを思い出して、2国家解決を促していく方向に動いていくか、今はそこの分かれ目にいる」
今、マンスールさんは、生まれ育ったガザについて、改めてこう語ります。
マンスールさん
「ガザの美しい海、優しい家庭、モスク、教会、人々のつながり…ガザのすべてが美しい。この土地は私の命と同じです。この土地を去ることはあり得ません」
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