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「円安続けば関税を…」トランプ関税 日本も標的に? 貿易戦争で日本経済悪化も【Nスタ解説】

海外
2025-03-05 20:30

アメリカのトランプ政権がメキシコ・カナダ・中国に関税を発動したことを受け、報復関税が宣言されるなど「貿易戦争」が懸念されています。


【写真を見る】カナダ・トルドー首相25%の関税に「ばかげた行為」と反発


“トランプ関税発動” 報復合戦に?

小笠原亘キャスター:
とうとう、トランプ大統領が関税を発動しました。


トランプ大統領は、▼カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を、▼中国には2月からかけていた10%の関税にプラスする形で、さらに10%の追加関税をかけることとなりました。

しかし、関税をかけられた側はこれでは終わりません。

カナダ・トルドー首相は、アメリカからの輸入品15兆9000億円相当に25%の関税をかけることを発表しました。さらに、メキシコ・シェインバウム大統領は、アメリカからの輸入品に報復関税と関税以外の対抗措置も考えているとのことです。9日に詳細を発表するとのことです。

そして中国は、10日からアメリカからの鶏肉・小麦などの農産物に最大15%の関税をかけます。


これを受けて、アメリカの大手スーパー「ターゲット」では、メキシコ産の依存度が高いアボカド・いちご・バナナなどは数日中に値上げを実施。イエール大学は、アメリカ国民の家計負担は最大で年間約30万円増加するとの試算をしています。

いま、アメリカはかなり年収水準が高いので、日本人が思う30万円と少し違うと思っていいのでしょうか?


経済評論家 加谷珪一さん:
もちろん、関税がかかればインフレになり悪影響はあります。しかし、アメリカでは大体年収1000万円以下だと低所得層に分類されてしまうぐらい(国民の所得が高い)。

なので、家計負担が30万円増えることで、すぐに大きなマイナスの影響があるかというと、そうはならない可能性が高く、トランプ支持の影響の方がまだ強いというふうに考えた方がいいと思います。


関税懸念し生産拠点を変更する企業も

小笠原亘キャスター:
日本への影響で言うと、自動車メーカーの「ホンダ」はメキシコで約16万7000台を生産し、8割をアメリカに輸出しています。

ホンダは今回の措置を受け、2028年から北米で人気の主力車である「シビック」や次世代モデルの生産拠点をメキシコからアメリカに変更するということです。


ホラン千秋キャスター:
各企業かなり様々な変更を強いられているようですけれど、変更ができる企業はいいですが、そうでない企業は、今後の対応を考えあぐねているということでしょうか?

加谷さん:
日本メーカーは特にそうなのですが、最終製品の生産をアメリカ国内に移すことができても、基幹部品は日本で作って輸出しているケースがかなりあります。日本で作った基幹部品に関税をかけられてしまうと結果同じことになってしまいます。

トランプ大統領はおそらく「アメリカの労働者を使い、アメリカの素材や部品を買い、アメリカで組み立てること」を強く望んでいるのだと思います。それに日本側がどこまで対応できるかで交渉の結果が変わってくると思います。


井上貴博キャスター:
トランプ大統領の関税に対する姿勢は、どこまでが交渉のカードで、どこまでが本気なのかよくわからない。しかし、株価がこれだけ変動して、世界的にも右往左往している状況になる。

日本企業もトランプ大統領に合わせようとも、4年後に政権が変わったらまた振り出しに戻る。そんなことで方針を変えていられないという思惑もありませんか?

加谷さん:
特に自動車はかなり大規模な設備投資をして、長期間で回収することになります。

アメリカ全体が保守化しているという傾向は広がっているので、この現象が4年で終わるのか、それとも、次の大統領がトランプ大統領ではない人になったとしても流れが変わらない可能性があるのか。その辺りの政治情勢の分析をきちんとしないと、難しいと思います。


萩谷麻衣子 弁護士:
他国に対してアメリカが関税をかけることによって、日本にも大きな影響があると思います。

例えば今後、アメリカからの牛肉・穀物などに関税をかけていることに対抗して、トランプ大統領は一番、痛手のところにくるので、日本の工業製品などをアメリカに輸出する場合に、直接、日本の製品に関税をかけてきたら、より痛手になりそうだなと心配です。

加谷さん:
貿易の交渉では「ある商品に関税をかけたら同じようなものに報復で関税をかける」ということがよくあります。

しかし、トランプ大統領は、「日本が農作物に関税をかけているなら、自動車に関税をかけてしまえ」ということを平気でやってくる可能性があるので、日本側は要注意です。


「円安続けば関税を…」日本も標的に?

小笠原 亘キャスター:
日本側の対応は果たしてどうなっていくのでしょうか?

加谷さんによりますと、「アメリカは日本がどんな提案を持ってくるのか様子見をしている状況」だといいます。

トランプ大統領は3日、「日本の指導者に電話して『自国通貨の切り下げを続けてはならない』と伝えた」と話しています。現在の円安・ドル高に非常に懸念を抱いていて、「我々は関税で埋め合わせをする」とも発言をしています。


加谷さん:
これに関しては、トランプ大統領が本当に為替の変動を求めているのか、はっきりわからないため、アメリカの真意をよく考えた上で日本は対応を決めないといけません。


井上貴博キャスター:
日本としては自国通貨の切り下げなんて全くしていません。むしろ円安を是正するために、円安への介入を続けてきました。しかし、日本のせいにされています。

これは裏を返すと、日本も円安が続いてこれだけ物価高になってるので、トランプ大統領がこういったことを言ってくれたので、これで円高になることも考えられるのでしょうか?

加谷さん:
不景気になるリスクがありますが、円高になると物価は下がります。物価が下がる点においてはかなり朗報かもしれないです。

ただ、アメリカから見ると日本は大規模緩和策をまだ続けているので、意図的に円安にしているように見えています。

なので、日銀の金融政策の転換・利上げを本格的にやるというメッセージを出せば、少し印象が変わってくるかもしれませんし、実際に円高になり物価も落ち着く可能性はあります。


ホラン千秋キャスター:
円高に振れたとしても、多くのことが不透明のなか、本当に円高で安定するのか、企業側もすぐに物価を下げる判断を出すのが難しいですよね?

萩谷麻衣子 弁護士:
本当に全てが不透明だと思います。トランプ大統領は、関税を武器に考えているのでしょうか?

加谷さん:
かなり自国に不利なことをやっていると思いますが、アメリカの現状の政治を見ると、そんなことよりも外国に自国の富が流出することを感情的にすごく嫌がっていて、それがまだ支持されている状況で、政治的な色合いが非常に強い印象です。これに関しては、当分の間は続きそうに感じます。


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<プロフィール>
加谷珪一さん
経済評論家
元日経BP記者
著書に「貧乏国ニッポン」
中央省庁などへのコンサルティング業務も

萩谷麻衣子さん
弁護士
結婚・遺産相続などの一般民事や、企業法務を数多く担当


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情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

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