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トランプ大統領からの書簡 日本への関税「25%」に引き上げ 和牛・醤油輸出に暗雲 日本への影響は?冬のボーナス・賃金への影響を指摘する声も【news23】

海外
2025-07-09 12:03

“トランプ関税”について、トランプ大統領は日本への関税を25%に引き上げるとする書簡を石破総理に送りました。今年の冬のボーナスや来年の賃上げにも影響するとの予測も出ています。


【写真で見る】「これが大統領が署名した美しい手紙」大統領報道官がトランプ氏を絶賛


トランプ大統領 日本に「25%の関税」

輸出が拡大し、アメリカで親しまれている和牛。和牛だけではなく、日本の農産物や食品の輸出の約2割を占めるのがアメリカです。切っても切れない日本とアメリカの貿易は、今後、どこへ向かっていくのか…


日本経済を揺るがす一報は、日本時間の8日未明、トランプ氏のSNSで発表されました。


トランプ大統領の書簡
「米国に輸入される全ての日本製品に対し、わずか25%の関税を課します。貴国との間にある貿易赤字の格差を是正するには、依然として不十分であることをご理解ください」


どの国よりも先に、日本に25%の関税を課すと通告してきたのです。


Q.関税の“手紙”は最終提案?それとも交渉は可能?


トランプ大統領
「最終提案だと思ってもらっていい」


Q.韓国、日本は…


トランプ大統領
「我々の立場からすれば、これも本当に公平なことではない。長年我々が被った損害を考えれば、これは小さなものだ。私の他にこれをやろうとした大統領はいなかった」


アメリカのレビット大統領報道官は会見場に書簡を持ち出し…


ホワイトハウス レビット報道官
「これが大統領が署名した美しい手紙です。大統領がこれに費やしている時間や労力は評価されるべきです」


とトランプ氏を絶賛しました。


新たな関税率25%は、日本からの輸入品に課せられ、自動車や鉄鋼などの関税に上乗せされることはないということです。関税が発動されるのは「来月1日から」です。


7回交渉も…赤沢大臣「一筋縄でいかない」

アメリカに商品を輸出する企業では、すでに重苦しい空気が流れているようです。


35年前からアメリカに白だしを輸出している愛知県のメーカー。和食ブームを追い風に、輸出額が当初の3倍に伸びていました。そんな中、示された新たな関税率。「対策のしようがない」というのが本音です。


七福醸造 犬塚元裕社長
「現地での販売総数が減るのが安易に想像できる。そういう結果が出るしかない。どこまで日本と譲歩し合うかは関心事ではある。ただ無傷っていうのは無理かなと思う」


思い返せば、アメリカとの交渉はどの国よりも早く始まり、最初の協議には、トランプ氏も出席していました。


赤沢亮正 経済再生担当大臣
「トランプ大統領が私に会ってくださったことは大変ありがたい。明らかに格下も格下。私は本当にあの大統領の器の大きさ、温かさ、配慮は非常に強く感じた」


その後も赤沢大臣が毎週のようにワシントンに通いましたが、結果は「25%の関税」。


赤沢亮正経済再生担当大臣
「それはもう大変なタフな大統領であり、一筋縄でいくわけはないと。これでいけそうだというものをできるだけ早く作るのが交渉人としての私の任務、責務だと」


また会見では、午後1時にラトニック商務長官と電話会談したと明かし、「信頼関係ができている」とした上で、継続協議への意欲を示しました。


ただ、街からは難しい交渉だと理解しながらも厳しい声が上がります。


会社員(60代)
「世の中の経済が回らなくなってくる、苦しくなってくるのが見えちゃうんで、最終的なところで何とかしてほしいというのが、みんなの思いじゃないかなって思う」


新たなトランプ関税が発動されたら、日本の経済は、私たちの生活はどうなるのか。見えない不安が広がっているのです。


賃金にも影響? トランプ関税は“諸刃の剣” 

実際、賃金にも影響が出るのではという予測も出ています。


日本総研は、関税が25%になった場合、アメリカ向けの輸出額は年間で4〜6兆円、割合にすると2、3割程度減少すると試算。特に、製造業の営業利益は2割前後減少するとしています。


日本総研 藤本一輝研究員
「非製造業の方も賃上げムードが低下して、結果として国内の消費が盛り下がる展開が想定されます。冬のボーナスが下振れる可能性はありますし、大企業に関しては前年度の業績をもとに春闘でボーナスを決めるという動きがあるので、来年度のボーナスが悪化する展開も想定される」


一方、トランプ関税は“諸刃の剣”。アメリカ国内の景気にも悪影響を及ぼす可能性は十分にあるといいます。


日本総研 藤本一輝研究員
「トランプ大統領も国内を考えて『関税を引き下げないと』と思う可能性も十分ある。8月1日に(関税が)引き上げられてしまってそれで終わりということでもないと思うので、粘り強い交渉を期待したい」


日本の“提案”トランプ氏に響かず 今後の交渉は?

藤森祥平キャスター:
参議院選挙が終わるまでは新たな税率は示されないのではないかという見方もお伝えしていましたが、トランプ大統領はなぜ早々に税率を上げてきたのでしょうか?


ワシントン支局 涌井文晶記者:
トランプ大統領が日本との交渉に強い不満を持っているということが表れた結果だと言えると思います。


トランプ大統領はこれまで日本を含めて14か国に新たな関税を通告しているのですが、4月に発表した相互関税より税率が上がったのは、日本とマレーシアの2か国だけでした。


トランプ大統領が最近「日本はコメ不足なのに我々の米を受け取らない」「自動車も購入しない」となどと不満を漏らしていたことからも明らかな通り、日本の提案はトランプ大統領には響いていないということが浮き彫りになったと言えます。


小川彩佳キャスター:
赤沢大臣が何度もアメリカに足を運び、7回にわたって交渉を行ったにも関わらずという展開ですが、今後の日米交渉はどうなっていくのでしょうか?


涌井文晶記者:
トランプ大統領は、各国の提案内容によっては関税を見直す可能性があると話しています。


4月に相互関税を発表した際には金融市場が混乱し、アメリカ経済がクラッシュしかねない状況に陥った反省もあることから、高い関税率を示して各国に圧力をかけつつ、各国からもう一段譲歩を引き出すため、交渉期間を実質的に8月1日まで延長したという状況です。


ただ、日本は20日に参院選を控えていることもあり、一段踏み込んだ新たな提案を出すのはなかなか難しいというのが現状です。


藤森キャスター:
先ほど、赤沢大臣がアメリカのベッセント財務長官と午後9時から約30分間にわたって電話協議をしたと日本側から発表がありました。改めて率直かつ突っ込んだ議論を行うとともに、日米間の協議を精力的に継続していくことで一致したということです。


小川キャスター:
とはいえ、これがトランプ大統領の判断に影響するかどうかはわからなくなってきましたね。


国際情報誌「フォートナイト」元編集長 堤伸輔さん:
これまでを見ていると、影響しない可能性の方が高いですよね。そもそもベッセント財務長官たちには決定権がなくて、全部トランプ大統領が決めているわけです。


それから、4月以降の動きを見ていると、トランプ大統領はほとんど譲る気はありません。だから、赤沢大臣が7回も行っていると責めるのはちょっと酷かもしれません。


ただ、日本側にもアイデアがなかったことは否めない。例えば、イギリスはアメリカ産の牛肉を入れる枠を拡大したのですが、イギリス側もしっかりと同じ量を確保しています。


そのように個別に取るところは取る、というような交渉をやれているので、日本ももう少し見通しを立ててアイデアを持って臨むべきだったとは言わざるを得ないと思います。


小川キャスター:
アプローチを何か変えていく必要がありますね。


堤伸輔さん:
今のままのアプローチでは何も変わらないと思います。


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<プロフィール>
堤伸輔さん
国際情報誌「フォーサイト」元編集長
政治から社会問題まで幅広い報道に携わる


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