
先日、アメリカで保守系団体のリーダーが銃撃され亡くなりました。この事件をめぐって、思わぬ事態が進展しています。
【写真を見る】銃撃されたカーク氏 事件4日前に参政党のイベントに出席した様子
「左派には多くの問題がある」政治利用される事件
膳場貴子キャスター
「チャ-リー・カーク氏がいよいよ登壇するということで、期待感が高まっています。いま舞台の奥から登場しました」
2024年12月、番組が取材した保守系団体「ターニングポイントUSA」の集会。大歓声で迎えられたのは、主催者である政治活動家のチャーリー・カーク氏。カリスマ的人気を誇った、この人物が先日殺害されたのです。
チャーリー・カーク氏(10日)
「ユタ州のみんな、たくさん集まってくれたね」
10日、ユタ州の大学で、政治イベントの登壇中、銃撃され死亡したチャーリー・カーク氏。2012年、18歳で「ターニングポイントUSA」を設立。若者を中心に支持を集め、現在、団体は3500以上の大学や高校に拠点を持つまでに成長しました。
カーク氏は、かねてより銃規制や人工妊娠中絶への反対、さらに厳格な移民政策といった保守的な主張で知られていました。銃撃される4日前には日本を訪れ、都内で参政党のイベントで講演。その直後のSNSでこう述べています。
チャーリー・カーク氏のポッドキャスト(9日)
「日本ではかつての欧州やアメリカと同様に多くの外国人を受け入れようとしている。日本を変えてはなりません。移民を受け入れてパリやロンドンがどうなったか知っているでしょ」
トランプ氏は「左派の影響」主張 アメリカ覆う“感情的分極化”
2024年の大統領選では、トランプ氏を支援し、若者票の取り込みや資金集めでも大きく貢献したカーク氏。その彼を銃撃したのはタイラー・ロビンソン容疑者(22)です。
同性愛やトランスジェンダーなど性的マイノリティの権利を守るよう主張していて、事件後、交際相手に対し、「カーク氏のヘイトにはもう耐えられない」などと語ったといいます。
事件を受け、バイデン前大統領はSNSで「私たちの国ではこのような暴力は許されない」と投稿。オバマ元大統領も「民主主義社会において決して許されない」と書き込むなど、歴代大統領も厳しく非難します。
その一方で、トランプ大統領は..
トランプ大統領(15日)
「彼(容疑者)はインターネットを通じて、左派の影響で過激化したようだ。彼は左派だ。左派には多くの問題がある」
容疑者の思想的背景や動機が十分明らかになっていない中、トランプ氏は「左派・リベラル派の影響で事件が起きた」と、根拠を示さずに決めつけたのです。またイーロン・マスク氏も「左派は殺人政党だ」と投稿するなど、左派を糾弾する発言が相次ぎます。
右派と左派の政治的対立が事件の背景にあるかのようなこうした発言について、専門家は…
同志社大学 政策学部(比較政治学) 吉田徹 教授
「“感情的分極化”などといいますが、今までの党派的対立は、相手の政策を認めるかどうかとか。そうではなく『相手が〇〇党支持者だから嫌い』と、人々の行動や認識を否定するようになる。対話の契機などが全くない社会になってきている。民主主義にとって非常に危険な兆候」
「言論の自由」にまで波及 暗殺事件を“最大限利用”か?
さらに、今回の事件は思わぬ方向に。保守的な政治活動家チャーリー・カーク氏の銃撃事件は、「言論の自由」を脅かす事態にまで発展します。
ABCテレビのトーク番組の司会者、ジミー・キンメル氏。コメディアンでもあるキンメル氏は、トランプ氏含め政治家を揶揄するコメントで人気を博してきましたが、今回、その発言が物議を醸します。
司会者 ジミー・キンメル氏(15日放送・「ジミー・キンメル・ライブ」より)
「トランプ氏の支持層であるMAGA派は、容疑者を自分らの仲間じゃないことにしようと必死で、事件から政治的利益を得ようとしている」
すると、トランプ氏が任命した、テレビなどの通信事業の規制・監督を担うFCC=連邦通信委員会トップは、この発言が事実と異なると問題視。
FCC=連邦通信委員会 ブレンダン・カー委員長(17日)
「あの司会者は(容疑者が)MAGAや共和党員の影響を受けているという噂を煽ろうとした。本当にひどい話だ。放送局に対して私たちが取れる措置はある」
これを受け、ABCは番組の無期限の放送休止を決定。一方で、トランプ氏は、日頃から自身に批判的なテレビ全般の規制まで示唆したのです。
トランプ大統領(18日)
「彼ら(テレビ3大ネットワーク)は私の悪い評判や報道しか放送しない。彼らに与えられている放送免許は取り消されるべきかもしれない」
事件をきっかけにメディアへの規制を強めるかのような状況に専門家は…
同志社大学 政策学部(比較政治学) 吉田徹 教授
「政治介入し、あるいは忖度をさせて、共和党寄り、トランプ寄りのものにしようという“戦争”が始まっている。『リベラルと呼ばれている人たちを突き崩す大きなチャンスが到来した』、暗殺事件について政治的利用を最大限してやろうという雰囲気が出てきている」
暗殺という、決して許されない暴力。一方で、それを政治利用しようとする今のトランプ政権。改めてアメリカの分断の深刻さが浮かび上がります。
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