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カンボジア特殊詐欺の現場を激撮 “黒幕”は国家権力?中国系組織が流入“恐怖支配”の実態…日本人が狙われる理由は?【news23】

海外
2025-11-21 12:35

海外に渡った日本人が相次いで摘発されている特殊詐欺。多くの詐欺グループが拠点を構えているとされるカンボジアの現地取材で浮かび上がった「黒幕」。国家権力とのつながりも指摘されています。


【写真で見る】詐欺拠点摘発の瞬間


詐欺で制裁 企業トップが東京に

こちらはオンライン詐欺などに関与したとして10月、アメリカ財務省などが経済制裁に乗り出した人物。カンボジア最大級の複合企業、プリンス・ホールディング・グループのチェン・ジー会長です。

このチェン氏、2022年に東京にも会社を設立し、港区に住居として物件を持っていたことが分かっていて、違法な手段で集めた巨額の収益が日本国内に流れている可能性もあります。

多くの詐欺組織が暗躍するとされるカンボジア。現地を取材し、見えてきた実態は...


中国系犯罪組織が流入、恐怖・暴力で支配か

カンボジアは内戦の混乱期を経て、いま経済成長の道を歩んでいます。その発展を支えているのが中国資本です。


南東部の都市、バべットにはいたるところに中国語の看板があり、まるで“中国の街”のような雰囲気です。

しかし、その陰では...


記者
「経済特区になっている場所ではカジノホテルがいくつも建設されていて、国際犯罪組織による特殊詐欺の拠点になっているとみられています」

コロナ禍で中国企業の活動が停滞すると、多数の中国系犯罪組織がカンボジア各地に流入。振り込め詐欺や投資詐欺などの手口で莫大な犯罪収益をあげているということです。


実動部隊となるのは、SNSなどで世界各国から集められた外国人です。監禁され、ノルマを達成できなければ暴力を受けるのが日常だといいます。

11月上旬、JNNのカメラはカンボジア当局が詐欺拠点を摘発する瞬間を捉えました。中には、捜索中に拠点から逃走する人の姿も。


記者
「詐欺拠点から拘束された外国人らを乗せたバスが出てきました」

この日、拠点2か所が摘発され、拘束された外国人は合わせて600人以上。この中には日本人の男女13人も含まれていました。


日本人が狙われる理由は?

なぜ日本人がカンボジアの詐欺組織に?あるブローカーは、その理由をこう語ります。


詐欺組織のブローカー
「日本にはお金を持っている高齢者も多く、詐欺に引っかかりやすい。だから日本人の需要が一番高い」

私たちは日本人がいるという東部プレイベン州の詐欺拠点に向かいました。


詐欺拠点「レジェンドパーク」 “黒幕”は国家権力?

農村地帯に突如現れたのは団地のような場所。「レジェンドパーク」などと呼ばれる詐欺拠点です。周囲は高い塀に囲まれ、警備員が車両や人の出入りを監視していました。


地元の人
「顔認証や指紋認証を使って厳しく管理していて、中にいる人は簡単に外に出られない」
「建物の中では携帯の電波が切られている」

敷地内にはバスケコートのような娯楽施設の他、レストランやコンビニ、風俗店まであるといいます。この拠点をめぐっては、福岡県警が18日までに詐欺のかけ子をしていたなどとして冨田淳一容疑者(68)ら男女7人を逮捕しました。

取材を進めると、裏に潜む“黒幕”とみられる存在が浮上しました。


カンボジアの金融企業「フイワン・グループ」。一部の海外メディアによると、この詐欺拠点の開発資金を支援している可能性があるといいます。


記者
「フイワン・グループの関連サイトを見てみると、私たちが取材した拠点と特徴がとてもよく似たイメージ画像があります」


「フイワン・グループ」はフン・マネット首相のいとこにあたる人物が経営に影響力を持っていますが、アメリカ財務省は2025年、詐欺組織の資金洗浄などに関与している疑いを指摘しました。

また、ある国際調査団体は...


「ヒューマニティ・リサーチ・コンサルタンシー」の報告書
「首相一族と彼らが支配する国家機関は、犯罪組織の活動を実質的に支援している」

国家権力とのつながりまでもが取り沙汰されるカンボジアの特殊詐欺。日本の警察も実態解明に向けて動いていますが、その闇にどこまで切り込んでいけるのでしょうか。


特殊詐欺“狙われる”日本人

小川彩佳キャスター:
この特殊詐欺を巡って日本は今年の上半期、過去最悪の被害額となっています。日本が積極的に狙われている状況が改めて浮かび上がってきます。


クイズプレーヤー 伊沢拓司さん:
カンボジアの状況が変わっても別の国から狙われてしまうこともあると思うので、日本国内で、ある程度守る体制を固めなくてはいけないと思います。ですが、デジタルの過渡期にあるという状況がこれを生んでいるというのは、動かし難い要素だと思うんです。

若者が、SNSではお金を持ってる人が見えるのに自分にはお金がない状況にあったり、高齢者が、複雑な手続きに困って引っかかってしまったりと、誰しも心が弱ってるときは詐欺に引っかかりやすい状態になっています。

となると、日本がつくっていくべきは対症療法的な手段を教えることよりも、むしろ社会全体の横の繋がりや縦の繋がりがセーフティネットとして機能し、詐欺寸前のところで人を助けたり、お金がない人が格差の中でこぼれ落ちないようにするなど、社会の網の目づくりの方が重要になるのかなという感覚はあります。


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<プロフィール>
伊沢拓司
株式会社QuizKnock CEO
クイズプレーヤーとして活躍中


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情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

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