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「すべて失った」香港マンション火災から1週間 死者数159人に…“反政府デモ”への発展を恐れ?香港政府が“取り締まり”強化【news23】

海外
2025-12-04 12:04

死者数が159人に上りました。香港のマンション火災から3日で1週間です。被害に遭った人々が深い悲しみに暮れる一方で、香港政府は“責任の追及を求める動き”への「締めつけ」を強化する姿勢をみせています。


【写真を見る】火元となった建物の15階に設置された防犯カメラの映像


香港マンション火災から1週間 一部住民が帰宅

記者
「住人を乗せたとみられるバスが到着しました。皆さん、カバンを片手に自宅へ向かっていきます」


3日から2日間、一部の住人の帰宅が許されました。


8棟のマンションのうち、延焼を免れた1棟に住む人たちのみで、チャンスは1度だけです。


自宅に戻った人
「身分証明書や銀行のカード類、パスポートを取ってきました」


両親の自宅へ向かう人
「まず薬です。薬と厚めの服を取りに行きます。(両親は)長く住んできたので、できれば住み続けたいと言っています」


避難した住人「全てを失った」

香港のマンション火災から1週間。3日、当局は死者が159人になったと発表し、いまも31人と連絡がとれていません。


人的被害はなぜ拡大したのか。これは出火直後、火元となった建物の15階に設置された防犯カメラの映像です。


男性
「誰かいますか?」


火災に気づいた男性は、他の住人に避難を呼びかけます。


男性
「あれ!どうして鳴らない。逃げよう」


火災報知器のボタンを押しますが、反応しません。男性は急いでエレベーターで1階へ…。


その数分後。火元となった建物の2階に、妻と2人の子どもと暮らしていたウィリアム・リーさん(40)。発生から11分後、外出中の妻からの連絡で火災に気が付いたといいます。


ウィリアム・リーさん
「警報音は一切鳴りませんでした。ドアを開けると煙が充満して、私の顔に向かってきたのです」


窓の外では、燃え上がる炎が確認できます。


リーさん
「全部真っ暗だ。煙が充満している。消防士を待っている。もうドアを開けることができない」


緊迫した妻とのやりとりも残っています。


リーさんの妻
「出てきたらすぐに教えて!」


リーさん
「落ち着いて。そんな状態でどうやって僕を助けられるの?」


リーさんの妻
「家に誰もいないなら冷静になれるけど、家にあなたがいるのにどうやって冷静になれるのよ!」


火災発生から2時間後、リーさんは助け出されました。


リーさん
「すべてを失ったので、正直なところどうすれば良いか分かりません。この現実をまだ直視できていません。すべての思い出に対して、無念で悲しくて仕方がありません」


警察は“マンションの修繕工事中に火災報知器は止めない”と消防署に虚偽の申告をした疑いで、消防設備会社の男6人を逮捕しました。工事に関連する逮捕者はあわせて21人となりました。


香港当局が“取り締まり”強化、政府の責任を問う声も

火災の原因究明や行方不明者の捜索が行われる中…


これは火災発生後、香港の大学内に貼られた掲示板。犠牲者への哀悼を示したうえで…


大学の掲示板
「私たちは香港人です。政府が民意に耳を傾け、市民の要求に応え、正義が貫かれることを切に願います」


掲示板は、その後、覆い隠されました。


政府の監督責任を問う声もあがる中、香港当局は、取り締まりを強めています。


責任追及を“締めつけ”か…市民は?

藤森祥平キャスター:
深い悲しみが広がって途方に暮れる人々の中には、政府に対して厳しい目を向ける人たちが増えているように感じます。いかがですか。


上海支局 高田裕介記者:
私は、火災現場となったマンションのすぐ近くにいます。この時間でも多くの方が献花に訪れているのが確認できます。


火災発生から1週間経過しました。住民らに話を聞くと「前を向かないといけないのは分かっているが、虚無感に襲われている」と話していました。一方で、工事業者はもちろん、政府にも責任を求める声は上がっています。


藤森キャスター:
先月の29日に署名活動をした男性が逮捕されたり、火災を利用して扇動を企てた疑いで元区議の男性とボランティアの女性が逮捕されました。現場にいても当局の締め付けはじわじわと感じますか?


上海支局 高田記者:
そうですね。民間のボランティア団体が食料や支援物資を配布する活動をしていましたが、それを警察が突然中止にする事態も起きています。背景には政府が、反体制派が紛れ込んで分断工作を行うことを警戒しているのではないかという見方もあります。


トラウデン直美さん:
火災に対して粛々と対応すればいいものを、なぜわざわざ弾圧や締め付けなど、印象を悪くすることをしてしまうのでしょうか?


上海支局 高田記者:
政府はとにかく、反政府デモに繋がる行動を押さえつけたいという思いが強いのではないかと思います。


6年前に大規模な反政府デモが起こり、翌年、2020年に香港国家安全維持法が施行されて以降、反政府的な活動への取り締まりが強化されました。今、民主派に近いメディアや政治団体が次々と解散に追い込まれて、“言論統制”が非常に進んでいる印象です。中国を意識した統制というか、年々、中国化が進んでいるということが言えると思います。


こうした香港の姿を見てなのか、事実上の亡命を宣言して現在はカナダにいる民主活動家の周庭さんは3日、SNSを更新して「正義がいつか訪れますように」という投稿もしています。


藤森キャスター:
いずれにしても、深い悲しみにある皆さんの、これからの支援、そして真相解明がどこまで進むのか。このあたりは引き続き注目していかなければいけません。


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