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“アメリカ・アローン”トランプ政権に異変 揺らぐ攻撃の正当性と広がる“終末論” 出撃の影に翻弄される日本【報道特集】

海外
2026-03-21 20:45

日米首脳会談で、高市総理はトランプ大統領との蜜月ぶりを強くアピールし、トランプ氏だけが「世界中に平和と繁栄をもたらせる」と評価しました。
一方で世界に目を向けると、「アメリカ・アローン」とも言われる孤立状態が起きています。トランプ政権で進む、大きな変化とは。


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日米首脳会談 11兆円超の投資とアメリカ産原油の備蓄提案

高市総理
「Japan is Back(日本は復活した)」


ホワイトハウスで開かれた夕食会には、日米の経済界トップも招かれた。


トランプ大統領
「我々の同盟関係はアメリカと日本を地球上のどの国よりも強く、自由で成功した国へと導いてきました」


日本からアメリカに対する巨額投資についての合意文書では、小型原子炉やガス火力発電所の建設などが盛り込まれた。


投資規模は最大11兆5000億円に上るとされる。


日米首脳会談では、ホルムズ海峡の封鎖で懸念されている、石油の安定調達についても話し合われた。


高市総理
「世界のエネルギーマーケットを落ち着かせるための提案も持ってまいりました」


これにトランプ大統領は…


トランプ大統領
「日本は我々の石油や天然ガスをたくさん買ってくれている。特にアラスカから。実はアラスカは近いんだよ」


高市総理
「いやいや今から…今から話すことなので」


アラスカ州からの原油調達を念頭に、アメリカ産原油を日本で備蓄する共同事業を高市総理は提案した。これが問題の解決に繋がるのか。


野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英氏
「(米国産の原油は)増産できる余地があまりないので、日本とアメリカが合意したからといって供給量がすごく増えるわけではないし、特にアラスカは量が少ないので。

そういう意味では、原油価格の安定のためにですよというのは表面的なものであって、原油の供給がどれだけ増えるかというと、非常にわずかだと思います」


イラン側「ジョーク、ナンセンス」高市総理の“トランプ持ち上げ”に

首脳会談で、高市氏はトランプ氏をこう持ち上げてみせた。


高市総理
「世界中に平和と繁栄をもたらせるのは、ドナルドだけだと思っています」


この発言をイラン側はどう見たのか。


最高指導部直結の軍事組織「イラン革命防衛隊」の元司令官は…


イラン革命防衛隊 元司令官 ホセイン・カナニモガダム氏
「ジョークだ。ナンセンス。イラン人もこれには怒りを感じると思います。トランプ氏は戦争を仕掛ける世界のリーダーであり、他国に平和をもたらす存在ではありません」


さらに、元司令官は日本に対してこう釘を刺す。


イラン革命防衛隊 元司令官 ホセイン・カナニモガダム氏
「現時点で、日本にあるアメリカ軍基地がイラン攻撃のために使用されているという情報は持っていません。しかし、もしアメリカ海軍が日本にある基地を使用すれば、我々は日本の船舶とアメリカ軍基地を攻撃せざるを得ません。そのような戦争は見たくありませんが」


在日米軍・横須賀基地の駆逐艦も最前線に 米兵「やるべきことをやるだけ」

在日米海軍・横須賀基地前では、反戦を訴えている人たちがいた。


デモ参加者
「アメリカに対して訴えたい。ここの人たちは本当に優しい。本当に真剣に目を合わせて、見つめ合ってという人がほとんど。命令で動いてるのだから仕方ないところがある」


「兵士の命を危険に晒したくない」と、基地と歩んできた町ならではの訴えに応じる人もいた。


デモ参加者
「あなたが愛している人が無事に帰還するよう祈っています。安全ではない派兵計画に反対しています。あなた方も1人の人間だから。みなさんのことが大好きです。あなたの愛している人のことも。どうかご無事で」
米軍関係者
「ありがとう」


実は、横須賀基地の艦船が、今回の作戦で最前線に派遣されている。


3月15日に撮影したとされる映像には、イージス駆逐艦「ミリアス」が巡航ミサイル「トマホーク」を発射する様子が映っていた。


「ミリアス」は2018年に横須賀基地に配備された。


米海軍協会のニュースサイトによると、作戦には「ミリアス」など横須賀基地のイージス駆逐艦2隻も参加しているという。


基地周辺で聞くと…


横須賀市民
「知り合いの人とかもネイビー(海軍)の関係だったりする。実際行っているみたいで、イランの方に」


以前、横須賀市に住んでいた人
「色々(海外で)テロがあったときに、横須賀の街も警戒されていた。何かがあれば、基地として大きいから心配」


横須賀基地の米兵にも話を聞いたが、みな口は重く、答えた兵士は25人のうち2人だけだった。


横須賀基地の米兵
「大変な状況ですが、仲間が無事に帰ってきてほしいです。帰還したら盛大に迎え入れます」
「戦争を否定も肯定もしません。『出撃せずに済めばいい』と思っていますが、やるべきことをやるしかありません。誰も傷ついてほしくありませんが、それが戦争なんです」


――「トランプ大統領がさらに部隊を派遣する」と言われているが?


横須賀基地の米兵
「そうなるかもしれません。私は待機中なので、もし派遣されたらやるべきことをやるだけです」


厚木基地のヘリも前線に 日本の市街地を低空飛行で訓練 

在日米軍基地から派遣されているのは、艦船だけではない。


作戦に参加している駆逐艦で撮られたとされる写真には、ミサイルを運ぶ2人の兵士の後ろには、浮世絵のようなイラストが書かれたヘリの機体が写っている。


これは神奈川県の厚木基地を拠点とする「海洋ヘリコプター攻撃飛行隊」のマークで、この部隊もイラン攻撃に参加していることがわかった。


このヘリは日頃、横浜などの人口密集地を低空で飛行し、訓練している様子が確認されている。


在日米軍や自衛隊を取材しているジャーナリストの布施祐仁氏は、「アメリカの戦争に日本も巻き込まれる恐れがある」と警鐘を鳴らす。


ジャーナリスト 布施祐仁氏
「基地を米軍がどのように使うか、日本に情報が入ってこない。米軍基地を使って米軍がどういう行動をするのかというのは、日本国民は知る術がない状態。

アメリカは日本を拠点に、迅速にアジア、中東、アフリカまで部隊を展開できるような拠点として、日本の基地を位置づけている。日本の基地を使ってアメリカが日本の外でどこかの国を攻撃すれば、日本が攻撃を受けるリスクを負う。本来は主権国家として、そこをコントロールしなくてはいけない」


一方、自衛隊は今後、どのように関わる可能性があるのか。


高市総理は、首脳会談で艦船の派遣についてやり取りがあったことを認めた。


高市総理
「機微なやり取りではございますけれども、ホルムズ海峡の安全確保は非常に重要だということでございました。日本の法律の範囲内でできることと、できないことがあるので、これについては詳細にきっちりと説明をいたしました」


海上自衛隊ですべての艦船の運用を指揮していた香田洋二氏は、「戦闘が行われているホルムズ海峡には、今ある法律では艦船は出せない」と指摘した。


元自衛艦隊司令官 香田洋二氏
「高市総理は非常にクリアカット(明確)だった。法律を曲げてまで(艦船を)出せと、あるいは違う任務で(艦船を)出せということについては、これは前例を作ってはいけません。

前例以前の話として、国民が自衛隊を法律のもとでコントロールするという、健全なシビリアンコントロール(文民統制)に反することです」


「ほぼ真っ黒な状態」―中東派遣の裏側で開示されない自衛隊の活動実態

過去に法律の範囲内として、艦船を派遣したケースがある。


アメリカとイランの軍事的な緊張が高まった際、2020年に「情報収集活動」を名目として、護衛艦などを中東の周辺海域に派遣した。


しかし、布施氏は「この時の活動内容が今もわかっていない」と指摘する。


ジャーナリスト 布施祐仁氏
「このようにほぼ真っ黒な状態です」


布施氏は、この時の自衛隊の活動記録などを情報公開請求した。


だが、「全般行動概要」とされる内容や、活動をその後にどう活かすのか記したとみられる「初見・提言」がすべて黒塗りだった。


ジャーナリスト 布施祐仁氏
「自衛隊が派遣された地域というのは、リスクのある危険な地域だ。そういう場所に国家の命令で自衛官を送り出しておいて、主権者は自衛隊がどんな環境でどういう活動をしているのか知らされない、わからない状況というのは本来あってはならない」


イラン攻撃めぐり“協力拒否‘’の国も…「アメリカ・アローン」

高市総理は今回の会談で、強固な日米同盟をアピールした。


高市総理
「強い日本、強いアメリカ、豊かな日本、豊かなアメリカ。私たちはこれらを実現するための最強のバディだと確信しています」


しかし、そのアメリカ自身は大きく変わってしまったと、アメリカ政治に詳しい前嶋和弘教授は指摘する。


上智大学 前嶋和弘 教授
「“アメリカ・アローン”になりつつある。アメリカ・アローンで動いて、他の国が困ってしまうという状況。アメリカの変わり様に、世界が今当惑している」


イラン攻撃を巡り、アメリカに協力しない姿勢を鮮明にしている国もある。


ドイツ メルツ首相(16日)
「ドイツはこの戦争に参加しません。戦争が続く限り、軍事的手段によって、ホルムズ海峡の航行の自由を確保する活動にも参加しません」


フランス マクロン大統領(17日)
「フランスは紛争の当事者ではありません。現状において、ホルムズ海峡の封鎖解除に向けた作戦に参加しません」


今、トランプ氏が主張する“イラン攻撃の正当性”がさらに揺らいでいる。


ジョー・ケント氏のX
「私は良心に従って、イランで進行中の戦争を支持することはできません」


国家テロ対策センターの所長を務めていたジョー・ケント氏は、トランプ大統領が先制攻撃の理由に挙げた「イランの差し迫った脅威はなかった」と明かし、辞任した。


国家テロ対策センター所長を辞任 ジョー・ケント氏のX
「イランはアメリカに対して差し迫った脅威を与えていません。イスラエルとその強力なロビイストからの圧力によって、戦争が始められたことは明らかです」


辞任後には、保守派の司会者の番組に出演し、こう語っている。


ジョー・ケント氏
「イスラエルの諜報機関や政府の関係者がやってきて、我々の情報では到底真実とは思えないことを吹き込むのです。『イランは核兵器を作ろうとしていて、今止めなければ完成してしまう』と」


また、イギリスのガーディアン紙によると、開戦2日前に行われたアメリカとイランの核協議には、イギリスの高官も参加していて合意は近いと判断していたという。


イギリスは、イラン攻撃を「違法かつ時期尚早とみなした」と報じた。


トランプ氏が「ハルマゲドン」を? 米軍内で広がる“終末論”

トランプ政権で起きている異変はまだある。


イラン攻撃に関して指揮官が、宗教的な発言をしている。そう訴える電話やメールが今、兵士から相次いでいるという。


軍事宗教自由財団 マイケル・ワインスタイン 代表
「陸・海・空・海兵隊、宇宙軍という、アメリカの5つの軍すべてから連絡が来た。アメリカ本土だけでなく海外の軍事施設からもです」
「こんなことは一度もありませんでした」


こう語るのは、アメリカ軍の信教の自由を求める活動を20年以上続けているマイケル・ワインスタイン氏。


これは実際に届いたメールだという。


「指揮官が『トランプ大統領はイランで合図の火を灯し、ハルマゲドンを引き起こして、イエスの地上への再臨を告げるために選ばれた』と述べた」


「ハルマゲドン」とは、キリスト教福音派の一部が起きると信じている最終戦争のこと。福音派はトランプ氏の強固な支持基盤でもある。


アメリカの宗教と政治の関係に詳しい、立教大学の加藤喜之教授はこう解説する。


立教大学文学部キリスト教学科 加藤喜之 教授
「彼ら(福音派の一部)には特殊な『終末思想』がある。終わりの時にイスラエルを攻めてくる敵がいる。その敵軍の一つにペルシャ、すなわちイランが含まれている」
「最後の戦争でイスラエルを守るためにイランを攻撃することは、神の民として為すことだという解釈をとる一部の福音派がいる。福音派全体でとらえると6割いくかいかないか」


上官からの終末論的な発言などに関する相談は、イラン攻撃後、200件以上寄せられているという。


軍事宗教自由財団 マイケル・ワインスタイン 代表
「まるでタリバンやアルカイダ、『イスラム国』のキリスト教原理主義版です。それが今のアメリカ軍なのです」


「意思決定の中心に神を…」宗教と接近するトランプ政権

これは、イラン攻撃から約1週間後のホワイトハウスの執務室での一幕。ホワイトハウスでトランプ氏を囲む20人ほどの宗教関係者。手をかざして祈っていた。


スカヴィーノ副主席補佐官のXより
「父よ、私たちの大統領に必要な強さを与え続けてください」


立教大学文学部キリスト教学科 加藤喜之 教授
「大統領就任式でも祈りがあったり、アメリカの政治にとってはそんなに変なことではないが、これはとりわけ手をかざしている」
「神の助けを請うような祈りが行われている。中心にいるのが信仰局の上級顧問、ポーラ・ホワイトという人」


ポーラ・ホワイト氏は、トランプ氏と20年以上の付き合いがあるという福音派の牧師だ。


この場面について、ホワイト氏はアメリカとイスラエル、そしてイランでの作戦のためにも祈ったとSNSに綴っている。


トランプ氏は2025年、ホワイトハウス内に信仰局を新たに設置。そのトップにホワイト氏を据えた。


ホワイトハウス信仰局 ポーラ・ホワイト 上級顧問(2025年5月)
「アメリカは再び、世界で道徳・精神的なリーダーと見られるようになります。これは、意思決定の中心に神を迎え入れる大統領の成果なのです。さあ祈りましょう」


トランプ大統領
「私たちはこの国に迅速かつ強力に宗教を取り戻しています」


アメリカ軍を統括するヘグセス国防長官。その胸には大きな十字軍のシンボルのタトゥーが彫られている。


十字軍とは中世、聖地エルサレムをイスラム教徒から奪い返すためとして、キリスト教徒が仕立てた遠征軍だ。多くの犠牲者も出た。


軍事宗教自由財団 マイケル・ワインスタイン 代表
「ヘグセス氏やトランプ氏に軍事力を支配させるのは大惨事を招きます。なぜなら、彼らは憲法を無視しているからです。合衆国憲法修正第1条は、政教分離を明確に定めています」
「もはやアメリカが『ならず者国家』で、世界に十字軍のような戦争を仕掛けているのです。それは間違いで憲法違反です。止めなければなりません」


政治や軍事が特定の宗教と結びつくことについて、加藤教授は…


立教大学文学部キリスト教学科 加藤喜之 教授
「宗教が軍事に関係してしまう大きな問題の一つは、相手側はサタンで、我々がやっていることは神の意志に即しているという考えになってしまう。そうすると妥協の余地もないし、ある種の殲滅。徹底的に敵を潰さないといけない」
「(戦争は)少なくともルールに則って、あるいは国際法の範囲内だった。それが今ガラガラと音を立てて崩れるような状態なのでは」


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