
核軍縮への道筋などを話し合うNPT、核拡散防止条約の再検討会議が4月27日にアメリカ・ニューヨークの国連本部で開幕します。
【写真を見る】5年に1度の“核の3つの柱”チェックの場 NPT再検討会議が27日開幕 体制の“空洞化”へ危機感高まる中、被爆体験を持つ日本の役割は?
アメリカがイランを攻撃するなどNPT体制が試される中での開催。その意義や注目点はどこなのか、ポイントを国連担当記者が解説します。
そもそもNPTってなに?
NPTの正式名称は「核拡散防止条約」で1970年に発効した条約です。
この条約は、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5か国を「核兵器国」と認定。核兵器を持つことを認める代わりに、核軍縮に取り組むよう義務付けています。
この5か国以外の締約国は、核兵器を取得することやつくることが禁じられています(核不拡散)。そのうえで、原子力発電所など原子力の平和利用の権利を認める内容です。
締約国は日本を含む191の国と地域にのぼります。一方、北朝鮮は一方的に脱退を宣言しているほか、イスラエルやパキスタンは参加していません。
NPT再検討会議とは?
この核拡散防止条約に基づいて締約国の代表が集まり、核軍縮・核不拡散・原子力の平和利用がきちんと行われているかチェックする場です。
5年に一度開かれていますが、前回は新型コロナの影響で1年延期されたため、2022年に行われました。今回で11回目で、4月27日から5月22日まで開かれる予定です。
会議の最後には今後の目標や、行動計画を示す合意文書を採択してきました。採択には参加国の全会一致が必要となります。
しかし、過去2回採択できない状況が続いています。2015年は中東問題、2022年はロシアが侵攻するウクライナをめぐり合意に至りませんでした。
今回も合意できなければ、NPTが実効性のない名ばかりのものになり、「空洞化」すると危機感が高まっています。
議長「NPTは唯一の希望」
今回の会議で議長を務めるのは、ベトナムのドー・フン・ビエット国連大使です。21日、開幕を前に一部のメディアを招いて会見を行いました。
ビエット大使は今回の会議を「これまでで最も困難な時期に開催される」と指摘しました。
ロシアによるウクライナへの侵攻は続いています。今年2月にはアメリカとロシア間の核軍縮条約「新START」が失効。アメリカとイスラエルは「核開発の阻止」としてイランへの攻撃に踏み切りました。
現在の情勢を「事実上、軍備管理協定が存在しなくなった」として「NPTが我々にとって唯一の希望だ」と述べました。
一方で、今回も合意文書が採択できなければ「NPT体制の信頼性に深刻な打撃を与え、国際社会の集団安全保障を脅かす」と危機感を示しています。
国連 中満事務次長 核リスク高まる今こそ「NPTの重要性の再確認を」
国連の軍縮部門でトップを務める中満泉事務次長は「今だからこそ大きな意味がある」といいます。
紛争の背景には核兵器が見え隠れしていて、「核兵器を使用するぞ」という脅しも常態化しつつあります。一部では核兵器を自前で持つことこそが、究極の安全保障であるかのような世論も出てきています。
そのような時だからこそ、NPT体制の重要性を再確認する必要があると強調します。
一方で、核兵器保有国が核軍縮に取り組まなければ、核を持たない国は「締約国であることのメリットはないのでは」とシニシズム(冷笑主義)が生まれてしまう。そうすれば「条約への信頼はなくなり空洞化が始まるリスクがある」と強い危機感を訴えます。
そのような状況に陥ることを防ぐためにも「意義のある成果文書を出していきたい」といいます。
核兵器の拡散されるリスクが高まっている状況の中で「拡散のリスクをコントロールできる内容を合意文書に入れられるのかが重要」と指摘しています。
唯一の戦争被爆国 日本は橋渡しできるか
前回の会議には岸田元総理が出席しましたが、今回、高市総理は出席を見送り、国光文乃外務副大臣が政府代表として出席します。また、広島県知事、広島と長崎の両市長のほか、被爆者団体や高校生らも参加します。
唯一の戦争被爆国である日本はどのような役割が求められているのでしょうか?
中満事務次長は、被爆の実相を「経験に基づいて話せるのは日本だけ」と強調。「核兵器の使用は絶対にあってはならない」というメッセージを訴えるうえで、「国際社会からの日本への期待は大きい」と話します。
ビエット大使も、広島や長崎の被爆体験が「かつてないほど強い意味を持つ」と強調。特に被爆者がその体験を語ることは「核兵器の使用がもたらす影響を人々に理解してもらうために極めて重要だ」としています。
そして、日本に対し「核兵器のない世界の実現に向け議論を主導して欲しい」と期待を寄せています。
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