「堆肥葬」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。遺体を「堆肥」に変えて自然にかえすという“新しい故人の送り方”で、環境にも優しいとアメリカで広がりを見せています。
首都・ワシントン近郊の葬儀場。今年5月にオープンしたばかりです。手がけるのは“自然に優しい葬式”として注目されている「堆肥葬」。
アース・フューネラル ジョン・コリンズさん
「木くずやお花などの有機物を混ぜたものが入っています」
ここでは遺体を火葬する代わりに、木くずなどの有機物とともに装置に入れて“堆肥”にします。
記者
「遺体をこちらの土の上に置くということなんですけど、手に取ってみますと非常に軽くて優しい手触りです」
温度や湿度に加え、窒素の量などを調整することで人体に残る微生物を活性化させ、およそ40日かけて遺体を分解します。
これは堆肥にした遺体のサンプル。骨さえも完全に分解されて、“自然の土”そのものになっています。
堆肥葬は火葬と比べ、排出される二酸化炭素の量が圧倒的に少なく、環境への負荷が小さいとされています。
アース・フューネラル ジョン・コリンズさん
「ご家族は、その“土”で木を植え、庭をつくり、地元の自然に撒くことができます。環境にやさしく、穏やかな選択肢が求められています」
堆肥にするための費用は、日本円でおよそ60万円と一般的な火葬とほぼ同じ。お墓を作る費用や維持費がいらない分、リーズナブルだということです。
また、「堆肥」は法律上、通常の「土」として扱われるため、遺灰とは違って故人の希望する場所に撒くことが容易になります。
アメリカでは、堆肥葬は2019年にワシントン州で初めて合法化され、現在では全米14州に広がりを見せています。今年行われた調査では、4割を超える人が「検討に値する」と答えました。
ペレスさん夫妻は今年、2人で堆肥葬の生前契約をしました。どのような点に魅力を感じているのでしょうか。
堆肥葬を生前契約 ハル・ペレスさん
「シンプルに堆肥化された土に還るというのは、良い選択肢だと思いました。動物が森の中で死ぬのと同じで、時間をかけ、何も残さず、ただ土に還っていくのです」
葬儀や墓の管理で子どもに負担をかけたくないというペレスさん(61)。土は家族の思い出の場所に撒いてもらいたいそうです。
堆肥葬を生前契約 ハル・ペレスさん
「家族で一緒にハイキングした場所があるんです。子どもたちがそこを歩くたびに、私たちのことを思い出してくれるでしょう」
アメリカで注目される「堆肥葬」。新たな選択肢として定着しつつあるようです。
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