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スーパーで買い物中に知らせが…ノーベル化学賞に硤合憲三さん(76)「受賞しても文句言われないだろう」 “生命の起源の謎に迫る”研究で【news23】

海外
2026-10-08 16:54

今年のノーベル化学賞が発表され、東京理科大学名誉教授の硤合憲三さん(76)らが受賞することが決まりました。8日夜、硤合さんが会見に臨み、喜びを語りました。


【写真を見る】生命の起源の鍵握る研究「右手型・左手型」


ノーベル化学賞に硤合憲三さんら スーパーで買い物中に電話が

日本時間、7日午後6時45分。スウェーデンから朗報が届きました。


2026年のノーベル化学賞が発表され、東京理科大学名誉教授の硤合憲三さん(76)とフランスのパリ・サクレー大学名誉教授のアンリ・カガンさんが選ばれました。


――このタイミングでの受賞は想定外だったという感じでしょうか?


東京理科大学名誉教授 硤合憲三 氏
「自分で言ったら、ちょっとおこがましいのですが、受賞できても文句は言われないだろうと」
「本日の夕方、夜にかかっているころ、近所のスーパーマーケットに食材を買いに出かけておりまして、そこで電話をいただいて。スウェーデンからのアドレスで、カガン先生と私が受賞するとお聞きしました」


今回、ノーベル化学賞に選ばれた研究は、生命の起源を解き明かす手掛かりにつながると注目されています。どんな内容なのか。


苦しかったことは「全然覚えてない」ノーベル化学賞は去年に続き日本人10人目

まず、自然に存在する物質の中にはアミノ酸のように“鏡写しのペア”の構造で生成されるものがあります。しかし、実際に生物に存在するアミノ酸は、なぜか片方だけ。

この“生物の謎”に迫ったのが、硤合さんたちでした。


硤合さんはこの研究の過程で、片方だけを“選択的かつ大量につくる”方法を設計。2人の研究は、医薬品の製造などへの応用が期待されるということです。

スウェーデン王立科学アカデミーは、硤合さんらの研究を「偉業を成し遂げた」と評価しました。


東京理科大学名誉教授 硤合憲三 氏
「研究していて苦しかったことはなかったとはいえないんですが、全然覚えてない、気にもしてない。気にもしてないんだと思います。はたから見れば苦しいとこが続いていたのかもしれないけど、全然本人はそう思ってない。新しい実験事実をどんどん見つけるわけですから、それはそれで楽しい。楽しいというか、感動したことはありますね」


日本からのノーベル賞受賞は3年連続で、個人としては31人目になります。化学賞では、2025年の北川進さんに続き、10人目です。


「素直に誇らしい」全国から喜びの声

全国で喜びの声があがっています。


――硤合先生が受賞されてどんな気持ち?

硤合氏と交流がある教授
「硤合先生とは理科大で一緒にディスカッションするメンバーの1人だったので、率直にうれしい」


東京理科大学では知らせを受けて学生たちが集まり、祝福ムードに包まれました。


東京理科大学 学生
「素直に誇らしいです。そこで学べてるっていうのはうれしいです」

硤合氏と交流がある教授
「懇親会とか学会のあとにあるが、そういうのもお好きな方で、酒をいっぱい飲むというより、飲みながらいろんな人と話すのが好きな感じの先生」


一方、地元・広島でも喜びの声が聞かれました。


号外もらった男性
「府中町出身!同じ府中町として誇らしい」

女性
「ノーベル賞が広島で出るなんてすごいことだと思う。広島に運が向いてきているんですかね、風が」


東京理科大学名誉教授 硤合憲三氏
「もちろん、完全にまだ解明した訳ではなくて、まだまだ面白いことがあるはずなので、今後ともそういう分野の研究が進むよう微力ながら尽力したい」


研究で行き詰った時にはスイーツの差し入れも…学生思いの温かい先生

喜入友浩キャスター:
会見場の前には研究や授業終わりの多くの学生が集まっています。中には、パソコンで課題を進めながら、先生を待っているという学生の姿もあります。

大学の教職員の方も出てきて、奥に先生が乗るとみられるタクシーも用意されています。

同じ研究室で学ぶ学生からは、とにかく学生思いの温かい先生だと言っていました。
研究で行き詰まったときには、時折スイーツを、ゼリーが多かったようですが差し入れてくれて、いろんな面で背中を押してくれたそうです。中には「先生のようになりたい」と話す学生もいて、学生から慕われているようです。


生命の起源にも関わる大事な研究 選出は「極めて当然」

小川彩佳キャスター:
硤合さんは受賞の知らせを近所のスーパーへお買い物に行かれていたときに受けたとおっしゃっていました。今回の選出は予想されていましたか?


科学ジャーナリスト 寺門和夫さん:
この研究のテーマは「キラリティ」と言い、自然界には右手と左手のような2つの立体構造を持つ物質があることについての研究です。

サイエンスの世界では、生命の起源にも関わる非常に大事な研究で、大きな謎の1つでもあります。実はこれが選出されたということは、この段階で見ると極めて当然な研究です。

ただ、私自身は最近の動きばかりリサーチするところがありまして、実はキラリティの研究についてはリサーチから少し抜け落ちていたところがあったので、今回の選出は意外なところでした。でも、これは非常に価値のあるもので、それだけの研究の意義があるということは間違いないと思います。


藤森祥平キャスター:
硤合さんの出身の広島の放送局もドタバタの取材体制でした。東京理科大学の名誉教授の快挙です。


小説家 真山仁さん:
ノーベル賞にいつも驚かされるのは、こんな研究があったんだというのがまず一つ。それと、今は先端性ばかりが注目されていますが、いつもノーベル賞のときは10年、20年単位の長い期間をかけて一つの研究を成し遂げることの大切さを感じます。「辛かったことはない」と先生もおっしゃっているので、研究者も頑張ってぜひ学んで欲しいですね。


母校も祝福ムード 「拍手喝采、大いなる快哉を」

小林康秀 記者:
広島市の中心部から車で10分ほどにある、硤合さんの母校である広島大学附属中学校・高等学校に来ています。


2025年に120周年という歴史ある伝統校ですけれども、学校のシンボルである講堂は2027年に築100年を迎えるそうです。硤合さんはこちらに小中高校と通っていましたので、毎日のように講堂を見上げていたのではないかと思います。

同窓会会長の槙本良二さんにお越しいただきました。たまたま役員会で皆さんが集まっていたそうですね。


同窓会会長 槙本良二さん:
ちょうど役員会が始まる前に素晴らしいニュースが飛び込んできて、我々は拍手喝采、大いなる快哉を叫んでおりました。


小林記者:
万歳もされたということですが、2025年に同窓会の集まりに来られて講演されたそうですが、硤合さんのお人柄はいかがでしょうか?


同窓会会長 槙本良二さん:
非常に優しくて、ざっくばらんな人柄がにじむような講演でした。


小林記者:
実際、どんな校風の中で学ばれたと思われますか。


同窓会会長 槙本良二さん:
この広島大学附属中学校・高等学校は自由闊達な雰囲気の中で、スポーツも勉学も一生懸命突き進むような素晴らしい雰囲気で学ばれたと確信しております。


大きな謎…硤合さんが発見した「不斉自己触媒反応」とは

小川キャスター:
硤合さんが発見した「不斉自己触媒反応」について、解説いただけますか。


科学ジャーナリスト 寺門和夫さん:
例えば、まず自然にアミノ酸がつくられる場合、一つ像があると右手と左手のような、形は同じなんだけれども左右が合わない“鏡写しのペア”が、自然界でつくられるアミノ酸になります。

我々は左手と右手と言いまして、実は我々は左手型のアミノ酸しか実は我々は使っていません。それは生物全てが左手型しか使っていません。

それから、例えば我々のDNAは螺旋構造なので、右巻きと左巻きの方向性があります。実はDNAの螺旋構造は右巻きです。


このように生物をつくっている分子などは型を持っていて、右手と左手の両方が一緒に入っているわけではありません。つまり選択的にある一つのパターンが、選択されている。

なぜこうなっているのかが科学全般にとって、非常に大きな謎になっています。

今回の研究で言いますと、なぜ左手型だけを使うのかということを解明する、非常に助けになるような研究です。左手型だけをつくるような化学反応のプロセスを考案し、そして実際に作ってみたということで、今回の選出の対象になったということです。


藤森キャスター:
片方だけ使われる構造の原理をつかむきっかけになるということですね。


科学ジャーナリスト 寺門和夫さん:
片方の型だけを人工的に作ることが、初めて可能になったということです。


藤森キャスター:
これで2025年に続き、ノーベル化学賞の日本人が続いてこの快挙は本当に喜ばしいですね。


科学ジャーナリスト 寺門和夫さん: 
やはり日本の研究レベルは、化学だけではなくて物理も医学も非常に高くなっています。

ただ一つ気になるのは、硤合先生の研究も1995年の論文で、その後もずっと研究されています。やはり、まだ日本が基礎研究にかなりきちんとした予算の配分があった時代だから、硤合先生もずっとトライアンドエラーをしながら研究を続けることができたのだと思います。

そういった中で、これからの日本の研究は大丈夫かということについて、考えなければいけないなと考えさせられるような事象でした。


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<プロフィール>

寺門和夫さん
科学ジャーナリスト
医学・生物学から宇宙まで幅広く取材
科学雑誌「ニュートン」副編集長など歴任

真山仁さん
小説家 2004年「ハゲタカ」でデビュー
新著は政治の腐敗を描いた「オペラティオ」


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