イスラエルでは先ほどから総選挙の投票が始まりました。ネタニヤフ首相が続投するかどうかが焦点ですが、3年前に受けた奇襲攻撃をめぐり、政権の責任を問う声が上がっていて、陣営は厳しい戦いを迫られています。
大勢の支持者に囲まれ、笑顔を見せるネタニヤフ首相。通算19年にわたって政権を率いてきましたが、今回の総選挙では厳しい戦いを強いられています。
その背景にあるのが、3年前のあの記憶です。2023年10月、パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスが仕掛けた奇襲攻撃。イスラエルの市民らおよそ1200人が犠牲になりました。
襲撃後、初めてとなる今回の総選挙では、奇襲を防げなかったネタニヤフ政権の責任問題が大きな争点となっています。
ガザに隣接するイスラエル南部の集落ベエリ。
ベエリの住民 アブラハム・ドボリさん
「(ハマスは)ここにあった42戸の住宅やアパートに侵入しました」
100人以上がハマスに殺害され、多くの住宅が燃やされました。住民のほとんどはベエリを離れたままです。
戻ってきた住民の1人、アブラハム・ドボリさんは“ネタニヤフ氏は大惨事を招いた責任を取るべきだ”と強調します。
ベエリの住民 アブラハム・ドボリさん
「ユダヤ人の歴史上、この地で最大の失態を引き起こした人々が正常な民主主義を遂行できるはずがありません」
3年間にわたって戦闘が続き、いまだ終結が見通せない現状にも疑問を投げかけます。
ベエリの住民 アブラハム・ドボリさん
「3年ですよ。このような小さな国で、どうしてこれほど長い戦争があり得るのでしょう。どうやって(ガザと)共存していくかという解決策を見つけるしかありません」
アブラハムさんは選挙を通じて政権が交代し、新たな指導者が平和への道筋を示すことに期待しています。
一方、奇襲で息子を失った悲しみを胸に、自ら政治を変えようと立ち上がった人もいます。シラ・シャピラさん。ネタニヤフ氏の最大のライバルとされるアイゼンコット氏が率いる野党「ヤシャル」から立候補しました。
シラさんは3年前、当時22歳だった息子のアネルさんを失いました。ハマスの戦闘員が音楽フェスティバルを襲撃した際、アネルさんは近くのシェルターに避難。そこに戦闘員が手りゅう弾を次々と投げ込むと、アネルさんはほかの人たちを守ろうと、手りゅう弾を外に投げ返し続けたといいます。
野党「ヤシャル」から立候補 シラ・シャピラさん
「息子は幼い頃から人生最後の瞬間まで、周りのために自分にできる限りのことをするという一貫した人間でした」
「誰かのために力を尽くす」。シラさんは息子が大切にしていたその思いを受け継ごうと、政治の世界に進むことを決めました。
シラさんは奇襲攻撃を防げなかったネタニヤフ首相の責任を厳しく追及。ネタニヤフ氏が独立した国家調査委員会の設置を拒んでいることも非難しています。
野党「ヤシャル」から立候補 シラ・シャピラさん
「何が起きたのかを学び、二度と同じことを繰り返さないようにするために、信頼できる検証・調査機関を立ち上げる必要があります」
政権交代が実現すれば、真相究明を最優先で進めたうえで、停滞した状況に変化をもたらしたいと考えています。
野党「ヤシャル」から立候補 シラ・シャピラさん
「変化を信じることが重要です。そして政府には、ここ数年で多くを捧げてきたイスラエルの若い世代に相応しい存在であってほしいのです」
ネタニヤフ政権の続投か、政権交代か。イスラエルはきょう、審判の時を迎えています。
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