私たちの暮らし向きはどうなるのでしょうか。春闘の山場「集中回答日」のきょう、大企業からは「満額」の回答が相次ぎました。しかし、中小企業の賃上げは一筋縄ではいかないようです。
記者
「春闘の集中回答日のきょう、ホワイトボードに並んでいるのは満額の文字です」
きょう迎えた春闘の集中回答日。今年も大企業を中心に、去年を上回る回答が相次ぎました。
日立製作所 瀧本晋 理事
「従業員への還元ということを意識して決めた水準ということになります」
日立製作所は去年より4000円高い、月額1万7000円アップの要求に満額回答。過去最高の水準です。
また、▼トヨタ自動車や、▼川崎重工なども満額回答だったほか、素材メーカーの三菱ケミカルは組合要求を上回る「満額超え」の回答でした。
ただ、労働団体からは手放しでは喜べないという声も。
金属労協 金子晃浩 議長
「大手だけ良くて、やっぱり中小がダメだったねっていうのでは、我々の狙いとは反してますので」
焦点となるのは、中小企業の賃上げです。
自動車や建築に使う金属部品に亜鉛のメッキ加工を施す工場。去年に続いて、今年も55人の従業員を対象に3%から8%の賃上げを予定しています。
朝日鍍金工場 遠藤清孝 社長
「若い人に⼀番賃上げをしていきたいですね」
若手従業員からは…
去年4月入社 加藤⼤輝さん(19)
「実家にも入れないといけないし、妹もちょっと障がいを持っている⼦もいるんで、少しだけでいいから上げてください。お願いします!」
朝日鍍金工場 遠藤清孝 社長
「加藤くんが頑張ってるから、給料いっぱい上げるから!」
“2年連続の賃上げで問題なし!”と言いたいところですが、生産コストの高騰や価格転嫁の不安など、悩みは絶えないといいます。
例えば、メッキ加工で月に300万円以上かかる電気代。補助金の終了などで、来月以降、150万円も値上がりする見込みです。
さらに、原料の亜鉛や薬品も円安などで軒並み高騰。
朝日鍍金工場 遠藤清孝 社長
「さらに値上げをしないといけない状況に、もう今、来てる。ただ、去年あげてもらったもんですから、2回目となると、なかなかお客さんにも値上げの交渉がちょっと難しいなって、頭を痛めているとこですね」
数百ある取引先と交渉をするため、理由を示した文書を作ったものの、2年連続の値上げを受け入れてもらえるか「自信がない」と話します。
賃上げのカギとなる“価格転嫁”を進めるために、何が必要か。
経済部 竹岡建介 記者
「今年度の上場企業の業績は、4年連続で過去最高となる見込みで、大企業はたくさん利益が出ています。これを自社の社員や株主だけでなく、取引先の中小企業とも分かち合う必要があります。それができて初めて、大企業と中小企業の“賃上げ格差”の解消につながっていきます」
実質賃金のマイナス基調がつづくなか、働く人全体の賃金を引き上げ、消費マインドを改善できるのか。春闘は景気浮揚にもつながる天王山を迎えています。
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