
『投資のキホン』最終回は、勝つ人・負ける人の決定的な差について。荒波が来ても「続ける」ことや、取りっぱぐれた分を「株主になって取り戻す」意味とは?
預貯金「100万円」の価値下落
「タイトルの“負ける人”は、私のこと?私への挑戦とも受け取れる」
いつになく鼻息荒く話すのは、皆川玲奈アナ。これまで郵便貯金オンリーで投資には後ろ向きだったが、なんと、「私、投資始めましたから。ついに口座も作った」とドヤ顔で、『ニッセイ基礎研究所』井出真吾さんを驚かせた。
皆川アナ:
「井出さんはじめ番組出演者の方々に『皆川玲奈に今年こそは投資を』みたいな目標を掲げられて、人の目標にされるのもなんだなと思って(笑)」
『ニッセイ基礎研究所』チーフ株式ストラテジスト 井出真吾さん:
「始めるまで1年かかったけど、この先何十年もある人生のうちのたった1年だから全然出遅れでも何でもない。よくぞ始めた。そんな皆川さんには釈迦に説法だけど改めて、預貯金100万円がインフレでどのぐらい目減りしていくかという話から」
<預貯金100万円の価値が30年後にどうなる?>
※10年定期の金利0.9%として試算・預金の利息に20%課税
▼物価1%上昇が続くと:100万円⇒30年後に92万円の価値
▼物価2%:100万円⇒68万円
▼物価3%:100万円⇒51万円
井出さん:
「この先2%のインフレが続くと、30年後には100万円が68万円の価値に。3%だと半分に減っちゃう。22年から3%近いインフレが続いていて、今後も食料やエネルギー、レアアースの奪い合いは世界中で続く。そう考えると、やはりインフレは一定程度続くと思っておいたほうがいいし、本当にインフレになった時のために多少備えておいた方がいいと思う」
この4年間積立投資をしていたら?
『投資のキホン』の配信がスタートしたのは2022年10月。月末の日経平均株価は2万7587円だったが、それが今や約2倍だ。
『ニッセイ基礎研究所』井出真吾さん:
「ちょっとペースとしては早めかなという気もするけど、23年に米国の著名な投資家・ウォーレン・バフェットさんが日本の商社株を買うとか言い出して、その頃から日本株の見直しが進んできた。また上場企業もいろいろ経営改革をしたり、東証が働きかけて市場改革をしてきた成果が実ってきている」
では、もし2022年10月から積立投資を始めていたら資産はどのくらい増えたのか?
井出さんの試算によるとー
<この4年間 毎月1万円積立投資していたら?>※22年10月~26年2月
【全世界株式】累計投資額(元本)41万円⇒63万円(元本の1.5倍/リターン(年率):13.0%)
【S&P500】41万円⇒61万円(1.5倍/12.1%)
【TOPIX】41万円⇒67万円(1.6倍/15.1%)
井出さん:
「この配信でも『投資は始めて数年は元本割れする』と言ってきたが、この試算でも22年10月に投資を始めて2ヶ月後にいきなり元本割れした。でもそこでやめずに続けていたら、この位増えたと。もちろんこの間、令和のブラックマンデー、DeepSeekショック、トランプ関税ショックとあったが1.5倍ぐらいに増えている。利回りでいうと12~15%とかなり高い」
長期投資していたら「元本の17倍に」
もっと長期間でも試算してみる。
「全世界株式・S&P500・TOPIXの3つのデータが全部揃うのが1988年」(井出さん)とのことで、1987年末に「毎月1万円の積立投資」を始めたとするとー
<38年間 毎月1万円積立投資していたら?>※1987年12月~26年2月
【全世界株式】累計投資額(元本)458万円⇒4632万円(元本の10.1倍/リターン(年率):6.2%)
【S&P500】458万円⇒7839万円(17.1倍/7.7%)
【TOPIX】458万円⇒1905万円(4.2倍/3.8%)
『ニッセイ基礎研究所』井出真吾さん:
「TOPIXでも元本の4倍で、利回り3.8%だけど今の定期預金の利回りより遥かにいい。“とにかく長期で続ける”ことが大事。この38年の間にも、90年代バブル崩壊して2008年のリーマン・ショック後までずっと株が下がりっぱなし。2015年チャイナショック、2018年のトランプ大統領1期目の貿易戦争でも下がったし、コロナでは日経平均が1万6500円ぐらいまで下がった。ずっと荒波だけど、売らなかった人だけがこれを手にできる。だから“とにかく長期”」
生産性と賃金は「比例しない」
さらに、井出さんは、投資には「“取りっぱぐれた分”を取り戻す意味がある」と話す。どういうことなのか?
『ニッセイ基礎研究所』井出真吾さん:
「労働者が頑張って仕事をして“生産性が高まっても、給料はたいして増えない”というアメリカのデータがある。2000年代はコンピュータやインターネットなどで生産性は上がったけど給料はそれほど上がってない、これが真実」
1948年以降の「生産性」と「労働者の賃金(時間当たり)」の推移をみてみると
▼~1970年代前半⇒生産性と賃金が連動して上昇
▼1970年代前半~⇒生産性は上昇を続けるが、賃金上昇はほぼ横ばい
※出典:Economic Policy Institute
井出さん:
「じゃあ労働者が作った付加価値がどこに行ったのかというと、企業の利益になっている。つまりは企業のオーナー、“株主に還元されている”。もっと昔の産業革命で人類の生産性は飛躍的に上がったけど、当時も給料はそこまで上がっていない。2000年前後に中国で深圳など経済特区ができて生産性がものすごく上がったけど給料はそんなに増えていない。誰が持って行ったかというと、株主。世界中で似たようなことが起きている」
“取りっぱぐれた分”を「株主になって取り戻す」
今の「AI革命」でも、井出さんは「生産性は上がるけど給料はそんなに増えないだろう」と話す。
『ニッセイ基礎研究所』井出真吾さん:
「例えばAIを使うことで1人の人間が100人分の仕事ができるようになったとする。じゃあその人に100人分の給料をくれるかといったら絶対にくれない。生産性が100倍に上がっても給料は100倍にはならないという単純な話」
そこで出てくるのが、「投資で取り戻せ」という話だ。
井出さん:
「真面目に働くのは良いことだし大事だけど、それだけだと自分が生み出した付加価値を“取りっぱぐれる”。ならば“自分も取りに行く”。要は投資をすれば、“株主として自分が生み出した付加価値の一部を取り戻せる”。給料は会社が決めるから自分ではどうにもできないけど、投資をするしないは自分で決められる。月1万円なのか、3000円なのかも自分で決められる」
投資は「最低10年、理想は20年以上」
最終回の投資の格言は、井出さんの「限定的リスクと無限リターン」
つまりは、「時間経過とともにリターンはどんどん増えるが、リスクはそんなに増えない」ということだという。
『ニッセイ基礎研究所』井出真吾さん:
「リターンが年率6%、リスクが年率18%のケースで見ると、リターンの方は複利効果で加速度的に上がっていく。一方リスクは10年後に10倍の180%かというと全然そんなに増えない。リスクはそういうふうに計算されている」
<長期投資のリスク・リターン>
一括投資・投資始めのリターン年率6%、リスク年率18%とした場合
▼10年後:リターン⇒約79.1%・リスク⇒約57%
▼15年後:リターン⇒約140%・リスク⇒約70%
井出さん:
「この試算のケースでは、10年まではリターンよりリスクの方が高いから普通に元本割れするが、途中で逆転して時間がたてばたつほど分が良くなってくる。だから投資は『最低10年、理想は20年以上で』というのを、この配信で3年半言い続けてきた」
2005年から積立投資(確定拠出年金)を始めた“実際のケース”でも見てみる。
井出さん:
「資産の中身は7~8割が株で、実際に投資を始めてから10年以内は元本割れしたが、その後もずっと続けていたら2020年のコロナショックの時でも含み益で通過している。これは投資を始めてから15年後。その後も増えて、2026年3月時点で元本の2.7倍、平均利回り7.0%。最初のうちはなかなか増えないし元本割れするしでイヤになるけど、やめないで続けていたらという実例」
投資の世界には「Buy and Forget」という言葉があり、「買ったら忘れるが投資の極意」だという。
井出さん:
「皆川さんも、投資始めていきなり元本割れとか来るかもしれないけど気にしない、見なくていい。とにかく投資をやめないで欲しい。皆川さんが40年後おばあちゃんになった頃に、井出さんと一緒に仕事してちょっとだけ価値があったなと思ってもらえればそれで十分です」
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