「自ら考え、行動する」。いまAIは「答えるAI」から「働くAI」へと進化しています。世界で急速に広がる「AIエージェント」。その開発をリードするキーパーソンが単独取材に応じました。新たなAIは私たちの暮らしを、どう変えるのでしょうか?
「全部やってくれる」次世代AI
渡邉優子 記者
「いまAI界で最も注目されている、オープンクローの開発者が来日しているということで多くの来場者が詰めかけています」
AIエージェント「OpenClaw」開発者 ピーター・スタインバーガー氏
「AIを恐れるのではなく、どう役に立つのかを考えるべきだ」
指示を出すとAIが自ら動き出す、AIエージェント「オープンクロー」。これまでとは一線を画す技術です。
来場者
「チャットGPTとかジェミニって質問すると返ってくるんですけど、一問一答の永遠の繰り返し。それがオープンクローを使うと、一言いうだけで全部やってくれる」
来場者
「人間の“めんどくさい部分”や“手間がかかる部分”を全てAIに任せるというやり方が、今後いいんじゃないかという話を聞いているので、そこにチャレンジしたいですね」
世界を席巻するAIエージェントとは、一体どういうものなのか。
“答えるAI”から“働くAI”へ
起業家の界さんは、ポテトを片手にAIに指示をします。
――怠けているわけではない?
AIエージェント利用者 界ブロウカリングさん(25)
「怠けてないです。真剣に仕事をしております」
界さんにとって、AIエージェントは欠かせないパートナーだといいます。その使い方は...
界さん
「『明日、午前中…10時くらいにTBSさんとのミーティング30分入れておいて』ってやると、僕のグーグルカレンダーを開いて、実際にスケジュールしてくれます」
これまで、ChatGPTなど生成AIは質問に対し、回答を返すだけでしたが、AIエージェントは指示を受けると、自らアプリを立ち上げて資料を作成するなど、複数のツールを使って作業を実行してくれます。
いわば、「答えるAI」から「働くAI」への進化です。
実は、界さんが食べていたポテトも――
「何でもできちゃう時代」大手企業もAIエージェント導入へ
界さん(約40分前)
「『マックのポテトMサイズ2個をオーダーしてくれる?』こうやって言うと、実際にブラウザを開いて僕のウーバーイーツのアカウントにログインして、マクドナルドを検索」
画面に表示されたのは、「ウーバーイーツ」の注文画面。
界さん
「実際にポテトのメニューまで行って、ポテトMサイズを追加して、いまオーダーが完了しました。もうAIで何でもできちゃう時代だと思います」
注文完了までにかかった時間は約1分。検索から注文まで、すべてAIが行いました。
こうした技術は、働き方そのものを変えようとしています。
界さん
「AIエージェントが僕の社員みたいに、いろいろと仕事をしてくれるので、僕は指示を出して仕事を承認しているという立場になっています。日々の生活を効率良く、そして楽に過ごせるようにしてくれるのが“AIエージェント”だと僕は思っています」
AIエージェントをめぐっては、大手企業も導入を進めています。
ソフトバンクグループの孫社長は、社員1人あたり1000個の「AIエージェント」をつくる計画を発表。楽天グループも、自律的に業務を進める「エージェント型AI」の独自サービスを始めています。
新たなAIは、私たちの生活をどう変えるのか。
“働くAI”で…人の仕事はどうなる?開発者を直撃
AIエージェント「オープンクロー」の開発者、ピーター・スタインバーガー氏が取材に応じました。
AIエージェント「OpenClaw」開発者 ピーター・スタインバーガー氏
「受け身だったものが能動的に動くようになった。今まで時間を取られていた仕事をやってもらえるようになったんだ。限界があるとしたら、『何をやってもらうか』を考える、人間の想像力の方かもしれないね」
AIエージェントは近い将来、「身近な存在になる」といいます。
ピーター・スタインバーガー氏
「時間はいつだって足りない。つまらないことは自動化すれば、人間が必要な難しいこととか面白いことに、もっと時間を使えるようになる。(AIは)人間のニーズを満たすために存在するんだ。必要なもののためなら僕はどんな方法だって良いと思う」
――AIエージェントで我々の仕事がなくなると思いますか?
ピーター・スタインバーガー氏
「新しく生まれるものもあれば、なくなるものもあると思う。でも人の仕事が全部なくなることはないと思う。やれることは無限にあるんだから。AIがなければ僕はここにいなかった」
“万能AI”予約から決済まで
上村彩子キャスター:
日本の企業も導入を進めるAIエージェント。どんなことができるのかというと、例えば海外旅行に行きたいとします。今までのAIであれば、「こんなことしたらどうですか」と提案するだけでした。しかしAIエージェントは、希望の旅程を作成してくれます。カレンダーのアプリを通して日程を決め、さらには、旅行サイトのアプリやウェブサイトを自ら選び、航空券やホテル、レストラン、現地ツアーの予約や決済まで、一連の作業を自動で行ってくれます。
藤森祥平キャスター:
ピーター・スタインバーガー氏は、「あらゆる大企業がエージェント製品を提供するようになる。AI同士が互いに対話するようになってまったく新しい産業が生まれる」と話しています。人間は必要ないのでしょうか。
TBS CROSS DIG ビジネスエディター 中川雅博さん:
指示をするのはあくまで人間ですが、例えば1週間ぐらいかかっていた作業が、ものの数分でできるようになってきています。“自分専用のアルバイトを雇う”というイメージで、いろんな人に経費精算や予定の管理をやってもらって、エージェントを分担させて取りまとめて、指示をしてまた作業してもらうということが今どんどん進んでいます。
藤森キャスター:
アメリカではビジネスの場で普通に使われているのですか?
中川さん:
面白いのは、例えば営業の電話はAIで行っています。ものすごい数の電話がきちゃうので、受ける方もAIがやっていて、AI同士が会話をして取引が成立することも起こっています。
藤森キャスター:
それは信頼できるのでしょうか?
中川さん:
信頼できるように、ルール作りなどをしなければいけない。その辺はやはり課題となっています。
AIエージェント リスクは?
上村キャスター:
そして便利な一方で、リスクもあります。
AIエージェントは、多くのデータそして個人情報に触れる権利も与えられています。サイトなどに登録している自分のパスワードやメールアドレスなど、漏えいしてしまうリスクをどのように考えますか?
中川さん:
指示を出したAIエージェントが調べに行ったWebサイトなどに、悪意のある指示が仕込まれていることがあります。それを読み取ったAIエージェントが、誤った動きをして、個人情報が漏えいしてしまうというリスクも今指摘されています。
藤森キャスター:
軍事転用とか大丈夫なのかなと思ってしまいます。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
安全保障の関係者に聞くと、例えばドローンは操縦していたものが今はAIで勝手に動いています。そこにAIエージェントが入ってくると、指示をせずとも自分で標的を探し出し、そこを攻撃することが十分可能になってきます。
ですから国連も、さすがにAIエージェントの軍事転用は規制した方がいい、という議論を今していますが、どうもイランへの攻撃の一部で使われているという話もあって、規制が全然追いついていません。相当慎重に議論していく必要が出てくると思います。
藤森キャスター:
人間の「何をやってもらうか」を考える力が大事になってくるということですね。
中川さん:
人間は、AIエージェントに「何をさせるか」「どうさせるか」を指示するマネージャーみたいにならなきゃいけないと思います。
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<プロフィール>
中川雅博さん
TBS CROSS DIG 企業・産業コンテンツ担当
これまでIT・テクノロジー業界を取材
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
政治記者歴30年 福島県出身
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