
なにかと手間や負担がかかる毎日の料理。
街で話を聞いてみると、「下準備からのスタートが大変で、作ることがとにかく面倒くさい」「家族の食べる時間帯がバラバラで、いる・いらないが日によって違うから困る」といった切実な声が聞かれます。なかには「手間をかけておいしくないものができたらメンタルが壊れてしまう」と話す人も。
こうした日々の調理ストレスを減らす存在として、いま注目されているのが「メンパ食材」です。
メンパとは「メンタルパフォーマンス」の略。仕事や生活の中で「精神的な負担を減らし、心の余裕を保つこと」を指す言葉ですが、これまで重視されてきたコストパフォーマンス(コスパ)やタイムパフォーマンス(タイパ)に続き、いまやその波は「毎日の料理」にまで広がっています。そんな大注目の「メンパ食材」をマーケティング部・佐々木舞音部員が調査してきました。
【写真を見る】種なしピーマンに涙が出ない玉ねぎまで!料理の“プチストレス”を解消できる「メンパ食材」とは?【THE TIME,】
プチストレスを解消!種がないピーマン「タネなっぴー」
食品宅配サービス「Oisix(オイシックス)」が2026年8月に“野菜のネクストトレンド”として発表したのが、調理中のストレスを減らす「メンパベジ」です。その中でも注目されているのが、世界初の種なしピーマン「タネなっぴー」。一見すると普通のピーマンと変わりませんが、その中には種がまったくありません。
ピーマンの種は、切った時にまな板に飛び散ったり、床に落ちて拾いにくかったり、シンクの中で散らばったりと、プチストレスの原因になりがちですが、「タネなっぴー」なら、そうしたストレスとは一切無縁です。
さらに、この「タネなっぴー」が驚きなのは種がないだけではありません。一般的なピーマンに比べて苦味が非常に少ないのも特徴です。開発を手がけた横浜植木の伊藤智司社長は、「子どもにも食べてもらえるよう、苦味を大幅に抑えた」と話します。
この「タネなっぴー」を使ったおすすめの料理が「ピーマンの肉詰め」。一般的な肉詰めはピーマンを半割りにするため、加熱中に肉が剥がれてストレスになりがちですが、「タネなっぴー」は、ヘタを落としてワタを抜くだけで、ピーマンをまるごと器として使えます。そのまま肉を詰めれば、加熱しても剥がれる心配がありません。肉汁をしっかり閉じ込めた、ジューシーな一品が完成します。
切っても涙が出ない!生でも甘い玉ねぎ「スマイルボール」
料理のストレスといえば、玉ねぎを切る時の涙もその一つ。「涙が出て目が痛いので切る作業は好きじゃない」という声も聞かれます。
そんな悩みを解決するのが、切っても涙が出ない玉ねぎ「スマイルボール」です。
玉ねぎを切った時に涙が出るのは、辛味を作り出す酵素「アリイナーゼ」などが原因です。「スマイルボール」はこの酵素が少ないため、目にしみないだけでなく、生で食べても辛味が少なく甘みが強めなのが大きな特徴。切り立てをそのまま口に運んでも「むしろ甘みを感じる」ほどです。
開発したのは、カレーでおなじみのハウス食品。カレーの原料研究を進める中で、玉ねぎが涙を出させる成分を作る仕組みを解明しました。ハウス食品グループ本社の曽根田一希さんは、「涙を出させる仕組みを持っていない玉ねぎを作れば、お客様にも喜んでいただけるのではないかと考え、品種開発と販売に至った」と開発の経緯を語ります。
おすすめの食べ方は、オリーブオイルとマジックソルトで和えた「フレッシュチップス」。
また、塩こしょうと薄力粉をまぶしてステーキのように焼くと、玉ねぎの旨味をより強く感じられるといいます。
「献立決め」から解放!進化するカット野菜・冷凍野菜
下準備のストレスを解消する「メンパベジ」ですが、料理の悩みはさらに深いところにもありました。「献立を考えること、何を作るか決める部分がストレス」という声のように、料理そのものにストレスを感じる人も少なくありません。
そうした人々の強い味方となっているのが、驚くほど「細分化」されたカット野菜です。あるスーパーの売り場には、15種類ものカット野菜が並んでいました。同じ鍋用の野菜セットでも、「ニラがたっぷり入ったキムチ鍋用」や「しめじが入った寄せ鍋用」、さらには「プルコギ用の野菜炒めセット」など、用途に合わせて野菜の組み合わせが細かく分けられています。これ1袋で、献立選びと野菜を切る手間を同時に解消できるのです。
この細分化の波は、冷凍食品にも及んでいます。別のスーパーの売り場では、すりつぶしたかぼちゃ、あらかじめ炒めた玉ねぎ、ベーコンとほうれん草のセットなど、その種類は65品目にも上ります。
食品新聞社の記者・富下夏美氏は、こうした細分化は、消費者だけでなく企業側にもメリットがあると指摘します。「単に便利・時短という一つの価値では、商品を選んでもらうことが難しくなっている。企業としても、複数の付加価値を組み合わせることで価格に見合う価値を感じてもらい、商品を選んでもらおうとしている」。
パスタにも広がる「メンパ」のトレンド
細分化によって付加価値を組み合わせる「メンパ食材」は、さらに進化を続けています。
今年6月に登場したのは、味のついていない「プレーンタイプの冷凍スパゲッティ」(180g×3食入 278円)。レンジで調理できるため茹でる手間を省けるだけでなく、好みのレトルトソースと組み合わせることで自分流にアレンジできる自由度の高さが魅力です。
さらに、「お店のようなアルデンテが食べたい」という本格志向とストレスフリーを両立させたのが、9月に発売された乾麺タイプのチルドパスタ「レンジでつるもちパスタシリーズ」。容器の中で麺が水に浸されており、レンジで加熱するだけで、短時間で本格的なアルデンテ食感が完成します。
下準備の負担から献立を考える悩みまで、様々なストレスを解消してくれる「メンパ食材」。進化を続けるこれらの商品が、日々の料理をさらに手軽で楽しいものにしてくれそうです。
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