超人たちが34年ぶりに東京へ!今年9月に開幕する「東京2025世界陸上」を前に、これまで歴史に名を刻んだ伝説のアスリートたちを紹介します。今回は世界陸上2つ目の世界記録となった第1回大会(1983年)のカール・ルイス率いる男子4 ×100mリレー・アメリカチームに注目します。
この種目で1968年から15年間続いた38秒台の時代にピリオドを打ったのは、全員メダリストの最強チームでした。この日はリレーの準決勝と決勝の間に走幅跳の決勝が行われ、ルイスは体力を温存しながら走幅跳でも金メダルを獲得。複数種目で金メダルを獲得するルイス時代の幕開けにもなったのです。
超豪華なアメリカ男子4×100mリレーのメンバー
1983年世界陸上ヘルシンキ大会、4×100mリレー決勝。アメリカ男子の選手は1走=エミット・キング、2走=ウィリー・ゴールト、3走=カルビン・スミス、4走=カール・ルイス。ルイス、スミス、キングは男子100mの金・銀・銅メダルを獲得したトリオで、3走のスミスは200mの金メダリストです。さらに2走のゴールトは110mハードルの銅メダリストでした。
メダリストのバトンリレーで他国を圧倒!
3レーンにスタンバイしたアメリカチーム。1走のキングと2走のゴールトは、5レーンのイタリア、7レーンの東ドイツと並んでいましたが、3走のスミスでアメリカがリードを奪います。3走のスミスから4走のルイスへ金メダリスト同士がバトンをつなぎ、ルイスが差を大きく広げ、アメリカは世界新となる37秒86でフィニッシュとなりました。ルイスの区間タイムは8秒98(リレーでは助走付きになるため、通常の100mより速くなる)、銀メダルのイタリアの最速は200m世界記録保持者(当時)のP. メンネアで9秒28でした。
ルイス時代の幕開け…驚異の二冠!走幅跳とリレーを制す
この日、ルイスは4×100mリレーの準決勝と決勝の間に、走幅跳の決勝を戦っていました。リレーの準決勝と走幅跳の1回目が重なったため1人目だった跳躍順を12人目に変更。その1回目の跳躍で8m55の大ジャンプを見せました。2回目の試技は最初の跳躍順に戻るため、ルイスが連続で跳ばなければならず、これはパス。3回目は8m42を跳んで4回目以降の試技をすべてパスし、リレーのために体力温存しました。その後8m55を超える選手はおらず、ルイスはリレーと走幅跳2種目で金メダルを獲得しました。2種目を勝ちきったルイスはリレーの後「陸上競技人生で最も素晴らしいと感じた」と興奮気味に話したといいます。翌年のロサンゼルス五輪では100m、200m、4×100m、走幅跳で4冠を達成し、引退までの13年間で五輪の金メダル9個、世界陸上で8個の金メダルを獲得。陸上界20世紀のスーパースターが複数種目の“勝ち方”を体得したのが第1回世界陸上でした。
【陸上豆知識】Q.4×100mって全員が100m走っていないってホント?
4×100mリレーはその名の通り、4人のランナーがバトンを繋ぎ計400m走ってタイムを競う種目です。ポイントとなるのがバトンの受け渡し。テイクオーバーゾーンと呼ばれる30mの区間内でバトンパスをしなければなりません。身体ではなく、バトンの位置で決定されるため、走者の身体がゾーンの外に出てしまっても、バトンがゾーン内であれば失格になりません。
2走者目と3走者目はテイクオーバーゾーンを2回通過するので、バトンゾーンをうまく活用し受け渡すことで、どちらかの走者は最大130mを走ることが出来ますが、一般的にはコーナーを走る1、3走者の距離を短くし、直線を走る2走者の距離を長くすることが多くなっています。“エースの選手はアンカー”というイメージがあるかもしれませんが、実際は2走目にエースが配置されることが多いそうなので、走る順番にも注目です。
東京2025世界陸上 男子4×100mリレー「この選手に注目!」
【日本人選手】
◆サニブラウン アブデルハキーム(25、東レ)9秒96
◆山縣亮太(32、SEIKO)9秒95
◆桐生祥秀(29、日本生命)9秒98
◆坂井隆一郎(26、大阪ガス)10秒02
◆栁田大輝(21、東洋大学)10秒02
【外国人選手】
◆ノア・ライルズ(25、アメリカ)9秒79
2023ブタペスト大会 男子100m金
◆キシェーン・トンプソン(23、ジャマイカ)9秒77
パリ五輪、男子100m銀
※東京世界陸上への出場は未確定です。
※名前の後ろは自己ベスト
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