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【6月の陸上ダイヤモンドリーグ】デュプランティスが地元で6m28、12度目世界新 北口榛花はシーズンベストで今季DL初勝利

スポーツ
2025-07-03 20:00

ダイヤモンドリーグは単日、または2日間開催では世界最高レベルの陸上競技会で、今年は4月16日の厦門(中国)大会から8月27~28日のチューリッヒ(スイス)大会まで15大会が開催される。6月にはローマ大会(イタリア・6日)、オスロ大会(ノルウェー・12日)、ストックホルム大会(スウェーデン・15日)、パリ大会(フランス・20日)と4大会が行われた。ストックホルム大会では男子棒高跳のA.デュプランティス(25、スウェーデン)が6m28と、自身の持っていた世界記録を1㎝更新。9月の東京2025世界陸上で人類初の6m30オーバーへの期待が膨らんだ。6月のダイヤモンドリーグでどんな記録が生まれ、どんな好勝負が展開したかを紹介する。


【一覧】9月13日開幕『東京2025世界陸上』日程&出場選手


自身12回目の世界新は初の地元での更新

レンガ造りの塔が歴史を感じさせるストックホルムのスタジアムは、多くの世界記録が誕生してきた競技場である。


6m00をK.マーシャル(28、豪州)が失敗し、優勝が決まるとデュプランティスは6m28にバーを上げた。自身が2月に室内で出した6m27を1cm上回る高さだ。20歩の助走から力強く踏み切り、倒立姿勢から勢いよく上空に体を放つ。バーは僅かに揺れたがしっかりと残り、デュプランティスは自身12回目の世界新記録を達成した。初の地元での世界記録更新は、いつもと違った感慨があったようだ。


「スウェーデンにはたくさんの家族がいます。初めてこの競技場で跳躍したのは11歳の時で、雨も降って寒いコンディションでした。4mに少し届かない記録でしたが、小さい頃の自分にはそれなりの高さでしたね」と世界陸連サイトにコメントしている。


デュプランティスが初めて跳んだ世界記録は6m17で、20年2月のこと。そこから1cm刻みで世界記録を更新し、2年後の22年3月には人類初の6m20をクリアした。そして今、6m30まで2㎝と迫っている。


「技術的には今の跳躍と、6m30の跳躍は大きな違いはないと感じています」


デュプランティスは過去、22年世界陸上オレゴン、24年のパリ五輪と、大舞台でも世界記録を更新してきた。7~8月にもう一度世界記録を更新すれば、9月の東京2025世界陸上で6m30に挑戦することができるだろう。


今季世界最高が9個誕生 女子5000mのチェベトは世界歴代2位

デュプランティスの世界記録を含め、今季世界最高記録が9個、6月のダイヤモンドリーグ4試合で誕生した。


ローマ大会では男子100mのT.ブロメル(29、米国)が9秒84(追い風1.1m)、女子5000mのB.チェベト(25、ケニア)が14分03秒69。オスロ大会では女子10000mのY.ブレティ(18、エチオピア)30分28秒82、同3000m障害のF.チェロティチ(20、ケニア)が9分02秒60。ストックホルム大会では男子800mのE.ワニョニイ(20、ケニア)が1分41秒95、同400mハードルのR.ベンジャミン(27、米国)が46秒54。そしてパリ大会では男子1500mのA.アブズ(32、フランス)が3分27秒49、女子3000m障害のチェロティチが8分53秒37。


世界歴代順位が高いのは女子5000mのチェベトで、14分03秒69は世界歴代2位、G.ツェガエ(28、エチオピア)が23年にマークした14分00秒21に迫った。


「14分15秒が目標でしたが、体が動くと感じてそれ以上のタイムを目指すことを決めました。今日の結果で、3000mまで良いペースで走る選手がいたら世界記録も出せると思いました。近いうちに14分切りを目指して走ります」


東京2025世界陸上ではF.キピエゴン(31、ケニア)との対決が激烈になる。昨年のパリ五輪ではチェベトが5000mと10000mの2冠、キピエゴンは1500mで優勝し5000mは2位だった。キピエゴンは1500mの世界記録(3分49秒04)保持者で、5000mでは世界歴代3位(14分05秒20)を持つ。2人の対決は東京世界陸上のハイライトの1つになるだろう。


男子400mハードル勢がオスロ、ストックホルムで白熱の連戦

世界歴代1~3位選手が好勝負を展開している種目が男子400mハードルだ。


オスロ大会では五輪&世界陸上種目ではない300mハードルが行われ、400mハードル世界記録(45秒94)保持者のK.ワーホルム(29、ノルウェー)が32秒67で優勝。世界歴代2位(46秒17)を持つR.ベンジャミンが33秒22で続き、世界歴代3位(46秒29)を持つA.ドス サントス(25、ブラジル)が33秒38で3位に入った。


前半はワーホルムが先行するレース展開が多いが、オスロの300mハードルはベンジャミンが先行した。だがオスロのワーホルムは、400mハードルではペースダウンをいかに抑えるか、という走りになることが多いホームストレートでスピードを維持。7台目(400mハードルの最終10台目の位置)で逆転すると、フィニッシュまでで一気に差を広げた。


「200mの距離で多く練習してきたので、ハードルを綺麗に越えられて、レイ(ベンジャミン)が近くにいても、最後のハードルを越えてから突き放せると思っていました。400mの距離では最後に失速しますが、300mの距離はかなり私に合っている。3日後には400mハードルでも、今日みたいに力強く走ります」


ワーホルムはオスロのレース後にこう話していたが、ストックホルムの400mハードルでは、終盤で失速する悪い方のレース展開になった。前半はリードを奪ったが9台目でベンジャミンに並ばれ、10台目で逆転されてしまった。ベンジャミンが46秒54で優勝し、ドス サントスが46秒68で2位、ワーホルムは47秒41の3位だった。


近年の五輪&世界陸上の金メダリストは、19年世界陸上ドーハと21年東京五輪がワーホルム、22年世界陸上オレゴンはドス サントス、23年世界陸上ブダペストがワーホルム、24年パリ五輪はベンジャミンと、3人の覇権争いが続いている。25年の決戦は9月、国立競技場で火蓋が切って落とされる。


日本勢では北口がオスロ大会優勝、村竹がパリ大会4位

日本勢ではパリ五輪女子やり投金メダリストの北口榛花(27、JAL)が、オスロ大会に優勝した。


5月3日の上海紹興大会は60m88で4位。5回目終了時の上位3人だけが投げられる、6回目の試技に進むことができなかった。オスロでも4回目終了時点で4位だったが、5回目に64m63を投げてトップに立ち、その記録で優勝した。


現地での海外メディアからの質問に、北口は以下のように答えていた。


「私は過去に何度も最後の投てきで、その日の最高記録を出してきましたから、今日の状況にも自信はありました」


そして東京2025世界陸上についても質問が出ていた。


「東京世界陸上は最大のモチベーションで、そこでビッグスローをしたいと思っています。私のキャリアの中でも、地元で世界陸上を戦う経験は最後になるでしょう。地元開催は私にとって特別な後押しになります」


村竹ラシッド(23、JAL)がパリ大会男子110mハードルに出場。13秒08(追い風1.1m)で4位に入った。優勝したT.カニンガム(26、米国)には0.08秒差をつけられたが、パリ五輪金メダリストのG.ホロウェイ(27、米国)には0.03秒差で競り勝った。


13秒08は泉谷駿介(25、住友電工)と、村竹の2人が持つ日本記録(13秒04)に0.04秒と迫るタイムで、今季世界8位タイ記録。海外レース、国際大会での自己最高タイムでもある。


村竹は予選でも決勝と同じ13秒08(追い風1.4m)のシーズンベストをマークしていた。昨年もダイヤモンドリーグ・パリ大会に出場し、予選1組を今回と同様1位通過したものの、脚の痙攣のため決勝を棄権していた村竹。今年は予選の1時間13分後に行われた決勝でもしっかり結果を出した。東京世界陸上のメダル獲得も夢ではなくなってきた。


【日本選手の6月のダイヤモンドリーグ戦績】
◇ローマ大会(6月6日)
◆サニブラウン アブデルハキーム(東レ)
 男子100m8位・10秒31(追い風1.1m)
◆田中希実(New Balance)
 女子1500m14位・4分05秒08
◇オスロ大会(6月12日)
◆北口榛花(JAL)
 女子やり投1位・64m63
◇ストックホルム大会(6月15日)
◆田中希実
 女子3000m11位・8分50秒18
◇パリ大会(6月20日)
◆村竹ラシッド(JAL)
 男子110mハードル決勝4位・13秒08(追い風1.1m)
 男子110mハードル予選1組1位・13秒08(追い風1.4m)


(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)


※写真は左から北口選手、デュプランティス選手


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