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「最後の1点」に泣いた夜を越えて。バレー石川真佑、イタリアで磨いた“ブロックアウト”と、胸に秘める宿敵ブラジルへの雪辱【バース・デイ】

スポーツ
2026-07-18 06:00

2026年4月。アジア大会開催を控える愛知県内の小学校を、1人の卒業生が訪れた。バレーボール日本代表・石川真佑、26歳。彼女がバレーボールを始めたのも、この場所だった。


【写真をみる】石川真佑が小学校の卒業文集に綴った「将来の夢」


「何年ぶりだろう。小学校を卒業して以来…14年?そんなことありますかね」


懐かしそうに校舎を見渡す石川。教室に入ると、サプライズが待っていた。石川が座った机の中にあったのは、14年前に書いた卒業文集。当時のページを開くと、そこには「将来の夢は…全日本バレーボール選手」と書かれていた。


「まさか自分でもそこまでになってるとは想像もしてなかった。自分の夢を叶えられたというか、日本代表に選ばれて活躍できていることは、すごくうれしい」


石川は2019年、18歳で日本代表に選ばれ、日本のエースへと成長。昨年、25歳で日本代表のキャプテンに就任した。


キャプテンとしての初陣となった、世界の強豪が集う最強国決定戦「ネーションズリーグ」ではチームを力強く牽引。しかし、メダル獲得まであと一歩届かず、結果は4位。


その1か月後の世界バレーでも、ネーションズリーグに続き、再び4位に。またしてもメダルを逃した。


「負けてしまった、その事実は変わらないので」


悔し涙の裏には、彼女の人生を大きく変えた、過去のある試合の存在があった。


「やっぱり同じ繰り返しをしたくない。どこかで変えないと、変わらない」


石川真佑にとっての、ターニングポイントとなった一戦。それはどのような戦いだったのだろうか。


世界最高峰イタリアで磨いた「ブロックアウト」

イタリア北部の街、ノヴァーラ。石川は、この街を拠点に生活している(2026-2027シーズンからはトルコ「エジザージュバシュ」へ移籍することが公式発表されている)。


束の間のオフに訪れたのは、地元の香水ショップだ。お気に入りの香水を選んでいると、店員から「宣伝になるから」とサービスされる一幕も。ノヴァーラでの暮らしも2年目。街を行けば「マユ、マユ!」と声をかけられる、ちょっとした有名人だ。


2023年、22歳でイタリア「セリエA」に挑んだ石川。世界最高峰のリーグで磨いたのは、スパイクを相手ブロックに当てて外へ出す「ブロックアウト」の技術だった。


「海外の選手を相手にしたときに、日本よりも高さのある選手が多いですし。シャットされることも多いので、それ以上にブロックを利用して点数を取ることも意識してます」


それは身長174センチの石川が、世界の高さと戦うための武器だった。2024年、強豪・ノヴァーラへ移籍すると、チーム最多344点の活躍を見せた。


「高いブロックを相手にゲームができていたので、そこの感覚だったり、高いブロックに対しての打ち方は、自分の中で収穫はあった」


強豪チームのエースへと成長を遂げ、迎えた2025年。日本代表のキャプテンとして、初めて挑んだ世界バレー。


「1年目で土台は作っていかないといけない。結果を残せるシーズンにしていきたい」


15年ぶりのメダルを狙う日本代表にあって、石川はイタリアで磨いたスパイクで得点を量産。準決勝を終えて大会最多得点をマークし、日本をメダル圏内へと導いた。


3位決定戦の相手は、強豪・ブラジル。この一戦、石川には特別な想いがあった。


「シャットされて…」因縁の相手・ブラジルとの激闘

「(2022年)世界バレーのブラジル戦、最後の1点を取りきれない場面がすごく多かった。それがあって、自分がイタリア挑戦を決めたり、最後しっかり取り切るという課題に取り組んでいる」


2022年の世界バレー準々決勝、対戦相手は同じくブラジルだった。


セットカウント2対1、日本リードで迎えた第4セット。勝利は目前だったが、石川のスパイクがブロックにつかまり、25対27で落とす。さらに、15点先取の最終第5セット、ブラジルのマッチポイントという極限の場面。ここでも最後のトスを託されたのは石川だったが、決め切ることができなかった。


「コートに入っている以上は責任持ってやらないといけないし。悔しい気持ちしかないです」


この敗戦から3年。相手は奇しくも、3年前と同じブラジル。2セットを落とした日本は、崖っぷちの第3セット、石川がイタリアで磨いたスパイクで得点を重ね、セットを取り返す。続く第4セットは壮絶な打ち合いとなり、デュースの激闘の末、29対27で日本がフルセットへ持ち込んだ。


15年ぶりのメダルがかかる、15点先取の最終第5セット。またもデュースにもつれ込む大激戦。ブラジルにマッチポイントを握られると、最後は石川のスパイクがブロックに跳ね返され、16対18で惜しくも敗れた。


「最後、ああいう場面で持ってきてくれる、自分が託してもらえる選手にはなってますけど、そこを取り切るのが私が目指してるところなので。迷いなく、思いっきり打ち込んだんですけど、でもシャットされて、負けてしまった。その事実は変わらないので」


2大会続けて、「最後の1点」を相手に阻まれた石川。その悔しさは、今も胸の奥に燻り続けている。


原点で見据える「最後の1点」

今度こそ、「最後の1点」を奪い取るために。


ネーションズリーグの戦いを前に、石川はバレーボール人生の原点へと帰っていた。


14年ぶりに愛知県の母校を訪れると、そこには小学生時代のチームメイト、そして恩師の姿があった。


監督として指導した杉本峰さんは、当時の彼女の印象をこう振り返る。


「負けず嫌いで。簡単な練習よりも、上の学年の子たちと一緒にやってて、難しい練習をするほうが嬉しそうだった」


恩師との間で行われた、14年ぶりとなるパス回し。温かい空気が体育館を包み込む。


「原点に帰れたというか。自分が今できることは、バレーボールで結果を出すことかなって感じた。ここに戻ってきて、ジュニアの頃の仲間に会えて、それがすごいモチベーションになったというか、もっと頑張ろうと思えることができたので、今日来られたことはすごく良かった」


ネーションズリーグ、そして9月、地元愛知で行われるアジア大会へ。


「最後の1点」を決め切ったその瞬間、石川真佑に、新たなバース・デイが訪れる。


(TBSテレビ「バース・デイ」2026年5月30日放送より)


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情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

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