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阪神淡路大震災から30年 震災後に神戸市長田区に移り住んだ人たちに聞く

国内
2025-01-28 07:00

多様なルーツの高齢者が過ごすデイサービスセンター「ハナの会」

阪神淡路大震災から30年。神戸市長田区にある新長田駅の南側の地域は震災前、ケミカルシューズ産業で栄え、木造の住宅や商店が連なる街でした。現在は大規模な再開発で、40棟以上の高層ビルが立ち並びます。


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再開発ビルの一つに、高齢者のデイサービスセンター「ハナの会」があります。
取材に訪れた1月18日(土)は、在日コリアン、ベトナム人、日本人の利用者が一緒にお手玉を投げ入れ、点数を競うゲームをしていました。

ゲームを指導していた日系ペルー人の職員をはじめ、職員はやさしい日本語を使って、違う文化、言語が背景にある人たちの間で、コミュニケーションを取ります。


「ハナの会」管理者の鄭秀珠さん
「同じ民族同士のわかり合いっていうのは、もちろんすごい大切だし、すごい良いんですが、『あんたの国の言葉ではどう言うかわからんけど、あけましておめでとう』という風に、職員が介さなくても、コミュニケーション取れてたりします。皆さん、生きてきた過程が、やっぱり新しいところに入って、自分で開拓していくっていうようなパイオニアのような気持ちがあるのが、なかなか面白いです」。


同じぐらいの年齢だから分かり合えることもけっこうあるようです。


各自のニーズに合った介護サービスを

医療のことや介護保険のことなど、込み入った話の時は、通訳がついて支援します。

また、大事な昼食も、朝鮮半島の料理やベトナム料理など工夫して出していますが、日本に来てからの状況もそれぞれ違い、好みもありますし、持病や体調など一人ひとり違います。一人ひとりのニーズをくみ取ったサービスが行われています。
運営する「神戸定住外国人支援センター」は震災直後に生まれた、ベトナム人を支援するグループと在日コリアンを支援するグループが一緒になって発足しました。
様々な高齢者支援や多様化するルーツの子供の学習支援や、近くにある「ふたば国際プラザ」の運営を受託しています。


デイサービスセンター「ハナの会」は、在日コリアン一世の高齢者を対象に開いていた食事会が発展して、2005年に始まりました。

管理者の鄭さんは、九州出身の在日コリアン三世で、「ハナの会」が始まった頃から関わり、長田区に暮らし続けていますが、周辺の街についてこう話します。


「ハナの会」管理者の鄭秀珠さん
「いろんなものがミックスされていて、最初はびっくりすることもありましたけど、それが神戸だし、長田だしっていう感じに落ち着いています。新しいものがどんどん入っていきます。キムチ屋さんとか、どんどんなくなっていくのと入れ替わるように、ベトナムの料理屋さんが入っていったり。商店街のところに、ヘルパーステーションのような福祉サービスのところが増えたり。でも変わらないのは、新しい人を受け入れるのは寛大だなという風に思います」。


路地の長屋にある「下町ゲストハウスとまりぎ」

鄭さんが暮らすのは、再開発地区ではなく、その周囲、住宅は震災後に建て替わったものも多いですが、古くて長いアーケードの商店街や、狭い路地があちこちに残る街です。

そんな路地の一つに面した長屋に、「下町ゲストハウスとまりぎ」があります。運営する小笠原舞さんは8年ほど前、結婚を機に、関東から移り住んできました。


小笠原さんの子供は6歳と、2歳7か月。
自宅はゲストハウスと一緒の長屋で、前の路地は遊び場です。
ベビーカーを押しているとおばちゃんたちが声をかけてきますし、喫茶店や銭湯は子連れで行きやすく、イベントごとが盛んで、子供に触れさせたい体験ができると感じています。

保育所にはいろんなルーツの子供がいます。
街の人の手を借りて子育てしながら、暮らしてきました。
小笠原さんに街について聴きました。


「下町ゲストハウスとまりぎ」を運営する小笠原舞さん
「ゲストハウスも、前に住んでいた人が、すごい挨拶して、すごいコミュニケーションを取ってくださる人でした。なので、なんか多分ずっとこういう感じで続いてきてるんだろうなっていうのは感じてはいました。私たちが、子育てをシェアしている仲間もみんな自営で、家族でいろんな場所をやってたりするので、あいさつとかコミュニケーションとか、大事にしようと思ってるというか、多分そういうのが好きなんでしょうね」。


小笠原さんは保育の現場の体験から、子育て支援の仕事をしながら、同じように長田区に移り住んできた子育て中の女性たちと一緒に、街の魅力を発信する活動も行っています。

そして、一昨年、この街の暮らしを体験してもらい、日常の暮らしをそれぞれに豊かにするヒントにしてもらおうと下町ゲストハウス「とまりぎ」をオープンしました。
同じ長屋にはバー「SAKAZUKI」もあり、夫婦で営んでいます。


小笠原さん
「宿をやってると、いっぱいいろんな人が来ます。特に、子育て層だとやっぱり、どこ行っても注意してたりとか、謝ってたりとかしなきゃいけないっていうのがありがちですが、この街で一緒に喫茶店行ったり、ご飯食べに行ったり、お風呂行ったりとかして、人に声かけてもらうと、自分の住んでる町ではないんですけど、『ここが安心・安全』という、スイッチが入るみたいです。私が話して説明しても、やっぱり体感してもらわないとわからないので、『とりあえず来て』って言える場所ですね」。


「まちづくり」はこれからも続く

新長田駅の南側の地域は、2024年、全ての再開発計画が終了し、30年で人口は増えましたが、商店主からは「震災以前の賑わいはない。本当の復興はこれから」という声もあがります。

下町ゲストハウス「とまりぎ」の小笠原舞さんは「ずっと住んでいる人にもあらためてこの街の良さに気づいてもらい、様々な人たちとつながりを作ってゆきたい」と話します。

多様なルーツの高齢者が過ごすデイサービスセンター「ハナの会」の鄭秀珠さんは「将来も、いろんな人がごちゃごちゃいる街であったらいいなあ」と話していました。


(TBSラジオ 崎山敏也)


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