衆議院予算委員会では31日、医療費が高額になった場合に患者の自己負担を抑える「高額療養費制度」について審議が行われ、野党側は自己負担額の上限を引き上げる政府の方針を凍結するよう求めました。
「高額療養費制度」は、手術や入院などで患者の支払う医療費が高額になった場合、年齢や所得に応じた上限額に負担を抑える仕組みです。
この制度について、政府は「現役世代を含めた被保険者の保険料負担の軽減を図る」として、高額な医療費を支払っている人の自己負担額の上限を今年8月から段階的に引き上げることを決めています。
具体的には、70歳未満の▼年収370万~510万円の人で月8万8200円、▼年収510万~650万円の人で月11万3400円、▼年収650万~770万円の人で月13万8600円まで自己負担の上限が引き上げられることになっていて、現役世代を含めたがんや難病の患者たちの負担が増えることになります。
31日に行われた衆議院の予算委員会では、自らも28歳でがんを経験した立憲民主党の酒井衆院議員が石破総理に対し、引き上げを凍結するよう求めました。
立憲民主党 酒井菜摘 衆院議員
「宣告をされたときには目の前が真っ暗になりました。28歳でしたから、貯金も余りなく、抗がん剤で髪の毛が抜けたときにも安いウィッグしか買えませんでしたし、経済的にもとても苦しい思いをしました。現役世代を中心とした保険料が増加してきたことから、その負担の軽減抑制を図る観点で、方向性が出されたのではないでしょうか。にもかかわらず、現役世代のがんや難病患者などの方々の自己負担額が増えるのは、方向性と矛盾しているのではありませんか」
石破総理
「今まだ、20代、30代、若いお母さんが、そういうものを所得の低い方、そういう方については、負担能力に応じてでございますので、当然そういうのが受けられるように最大限の配慮をいたしております。なお足りないとかあるとすれば、実際にそういうのを経験された(酒井)委員のお話は、私ども謙虚に真摯に承ってまいります」
また、酒井議員が政府の審議会で引き上げが検討された際、当事者から意見を聴取しなかったことを批判したのに対し、石破総理は「きちんと説明する機会は必ずつくる」と述べました。
審議を傍聴した当事者団体のメンバーたちは、総理がヒアリングの実施を明言したことを評価しましたが、自分たちの意見を聞いた上で引き上げについて改めて検討すべきだと訴えました。
◎
天野慎介さん(全国がん患者団体連合会)
「今回の改定をこのまま強行すれば、まさに中間層の現役世代の方々に対して、最後の一撃を与えることになりかねないと懸念しています」
「具体的な検討、修正、あるいは取り下げを検討いただきたいというふうに心から願っています」
立憲民主党は引き上げを凍結するため、新年度予算案を修正するよう政府に求めています。
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