少数与党であるがゆえに“熟議”“本格論戦”を謳わざるを得なかった石破総理の国会運営。まだ始まったばかりだが、気になることがある…。石破自民党の熟議の相手が“103万円の壁”の国民民主党と“高校無償化”の日本維新の会ばかりで、野党第1党である立憲民主党と連立によって与党内にいる公明党の名が聞こえてこない。大丈夫なのか…?
「原点である平和の党というところがぼやけている」
公明党が自民党と連立を組んですでに四半世紀になる。多少の増減はあるものの概ね議席を守ってきた。ところが先の総選挙では大きく議席を減らし、党首落選の憂き目にもあった。
その後代表になった斉藤鉄夫氏は厳しかった選挙を“もらい事故”と表現した。
その公明党、このところ何とも影が薄い。巷の声を拾っても…。
「公明党と言われてもパッとこんなイメージというのがない」(商社勤務・男性22歳)
「平和を政党の基本に捉えているところは評価できる」(団体職員・男性60歳)
「連立ってだけで何をしているのかわからない。発信されてるんでしょうけど、目につかない」(会社員・女性30代)
「核兵器禁止条約のオブザーバー参加なんかももっとはっきり打ち出して…。もっともっとはっきり言ってくれれば、もうちょっと当選者も増えた…」(年金生活者・男性75歳)
こうした声を受けて公明党・斉藤代表はいう…。
公明党 斉藤鉄夫代表
「…その通りと私自身納得する意見もあった。…党としては原点に立ち帰り、国民と共に、平和これを強く打ち出す…あ、もうひとつ清潔です」
ジャーナリスト 後藤謙次 氏
「若い人は何をやっているかわからない…って。やっぱり原点である平和の党というところがぼやけている」
そして、“存在感”という点では立憲民主党もかなり危ない。今月のJNNの支持率調査では国民民主党の8.1%に対し、立憲は最大野党でありながら6.4%だ。街で聞いても…
「あれだけ大きくなると多数派を取るためには極端なことを言っていられないっていうのは分かるけど…」(自営業・女性43歳)
「新しいもの、これで行こうってものをもっと出さないと…」(年金生活者・男性83歳)
「自公では駄目だと…、ただ立憲でいいかというとそうでもないし…。誰に入れていいのかわからない。だから国民民主とかああいう…、自分にとって利益になるような政策を打ち出すところにただついていく…」(シルバー人材センター勤務・男性66歳)
国民民主の“103万円~”や維新の“~無償化”が引き合いに出されると立憲の野田代表は黙っていられない。
立憲民主党 野田佳彦代表
「ワンポイントイシューだけで何か手柄を取ろうということではなく、政権を取りに行く政党としては全体的なパッケージで方向性を打ち出していく。今回の省庁別審査も評価をいただいている。もっと早くやっていれば放漫財政にならなかったと…」
「pay as you goという言葉がある」
野田代表は政策には財源の確保が重要だとして提案した省庁別審査の有用性を説く。
例えば国民民主のいう年収の壁を178万円に引き上げた場合、約8兆円の税収減となり、維新のいう所得制限のない無償化を実現するには約6000億円の財源が必要とされる。
こうした国会内の動きに対してIMFが発言した。
国際通貨基金(IMF) ギータ・コビナート筆頭副専務理事
「少数与党化で政治的要求を踏まえると財政赤字が拡大する大きなリスクがある。追加歳入の確保もしくは他分野の歳出削減によって賄わなければならない」
IMFは簡単に言えば財政が破綻した国のてこ入れをする機関だ。そこが口を出して来ること自体健全ではないのだ。
立憲民主党 野田佳彦代表
「これと全く意識を同じにした言葉にpay as you goという言葉がある。何か新しい政策やるんなら歳出の削減とかそれに対する税を充てるとかちゃんとやりなさいという…。我々の省庁別審査はそれをやっているわけで…。(中略)IMFの言う線に則ってやってるのでそれがだんだん有権者に理解されるように…」
ジャーナリスト 後藤謙次 氏
「小さいお店は特化した商品で商売できるんですが、大店は大きな視点に立って商売しないとならない。とりわけ予算は全体を見ての判断…立憲には食料品の消費税を5%にするとか打ってもらいたい」
政権交代を視野に入れれば、大所高所から見る目が必要なのだろう。
ともあれ立憲民主党は先の選挙で議席数を伸ばしている。これからのやり様では存在感は出せるはずだ。
一方、公明党は“もらい事故”だと思っているうちは存在感を出すのは難しそうだ。
「はい、後悔しています」
公明党は先の選挙で、自民党のいわゆる“裏金議員”候補を推薦した経緯がある。これを後悔しているのか聞いた。すると…
公明党 斉藤鉄夫代表
「はい、後悔しています。党内で色々な声を聞いてもそこが清潔な党として、疑問を持たれたのではないかと…。我々の原点を大切にしていこうと…」
あまりにはっきり“後悔してる”と言い切ったので番組もいささか驚いていると、斉藤代表はCM後に誤解をしないように、と注釈をつけた。
公明党 斉藤鉄夫代表
「さきほど後悔してると申し上げましたが、正確に申し上げると不記載議員の中で自民党も推薦しなかった、自民党でさえ推薦しなかった候補を推薦したことを後悔していると…こういう意味で、自民党が精査して公認とした候補について推薦したのを後悔したわけではありませんので…」
夏の参院選について尋ねると…
公明党 斉藤鉄夫代表
「自民党が公認しない候補を推薦するということはあり得ないということです」
言葉を選び、常に自民党に気を遣う斎藤代表から人の好さが伝わってくる。
しかし公明党の存在感を取り戻せるのか…公明党が自民党と考え方に距離がある選択的夫婦別姓について聞いた。
「選択的夫婦別姓に賛成です。しかし…」
選択的夫婦別姓制度は96年に法制審議会がすでに導入すべきという答申を出している。30年近くたってもこの議論をしているわけだが、立憲民主党は今国会で民法の改正案を提出し成立を目指すという。選択的夫婦別姓に賛成である公明党はどうなのか。斉藤代表は…
公明党 斉藤鉄夫代表
「我々は選択的夫婦別姓制度に賛成です」
とはっきり言いきった後、こだわったのが政府提出の法案として提出することだった。
公明党 斎藤鉄夫代表
「我々は政府提案の法律、閣法として出すべきと考えている。自民党も賛成の方が多いと聞いています。政治改革は政治家の周りの話なので議員立法でもいいが、世の中を二分するようなこういったものは政府提案でなければ…」
自民党と公明党で閣法として出すことにこだわる斉藤代表。しかし自民党はまだ法案も作っていない。選択的夫婦別姓を認めるというよりも「通称使用」を促進するような私案の方が議員から率先して発表されている状態だ。立憲の野田代表は斉藤代表に…
立憲民主党 野田佳彦代表
「私たちは与党を分断しようとして選択的夫婦別姓の法案を出すわけではありません。これまで議員立法出してきても議論にもなかったものを話し合いたいんです。政府の法案として出すべきというけど、大臣の何人かも賛成しているのに自民党では難しい。法案を出してこないんだったら、ストレートに是非こちらにお力添えいただきたいと…」
斉藤代表が言うように政府から夫婦別姓についての法案を提案してくるのならば、議論に乗るという野田代表。では、自民党が選択的夫婦別姓ではなく通称使用を促進するような法案でまとめてきた場合、公明党はどうするのだろうか。番組で聞いた。
公明党 斉藤鉄夫代表
「先ほども申し上げた通り、とにかくこれは自民党と公明党で選択的夫婦別姓になるように…まさにこれからの議論ですが…私たちはまだ自民党としてまとまると…そういう風に私たちの姿勢としてはまとまるように努力をしていかねばならない…まだ時間はあると。石破総理にも会うたびに言っています。実は総理は積極的です。何回も申し上げますが、法案は与党として出すべきだと…」
国際的にも導入するかどうかが注目されている選択的夫婦別姓。最終的に与党である公明党はどう判断するのか…法案の成否を大きく左右する法務委員会の委員長は衆議院が立憲民主党。そして参議院は公明党だ。やろうと思えば成立しやすい状態。世の中の根幹をなす法律なだけに国会議員の人たちには「党の都合」でなく国民のための議論を尽くしてほしい。
(BS-TBS『報道1930』2月10日放送より)
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