ノーベル賞のパロディーとしてユニークな研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」。ことしの受賞者が発表され、19年連続で日本人が受賞しました。
その研究テーマは、「シマウマ」ならぬ「シマウシ」です。
日本人が生物学賞受賞 研究内容は黒い牛をシマウマ模様に塗装
日比麻音子キャスター:
ユーモアな研究や開発などに贈られる「イグ・ノーベル賞」。今年は次のような研究も受賞しています。
【文学賞】
自分の爪が伸びる速度を35年にわたり粘り強く記録・分析し、アメリカの博士が受賞
【平和賞】
アルコールを飲むことで“外国語で話す能力”を高めることを研究し、ドイツの研究者らが受賞
さまざまなユニークな研究がありますが、日本人は生物学賞を受賞しました。それが、黒い牛をシマウマ模様に塗装した“シマウシ”。
アブなどの吸血昆虫が寄りつきにくく、虫によるストレスを軽減したり、感染症の防止や、殺虫剤の使用を減らしたりする効果もあるということで、農業・食品産業技術総合研究機構の兒嶋朋貴研究員らのチームが受賞しました。
大胆ですが、ウシにとって良い研究ですよね。“シマウマ模様のシャツ”は人間でも効果はあるのでしょうか。
害虫防除技術研究所の白井良和所長に聞いてみたところ、「アブなどはわかりませんが、蚊は黒に寄ってくるため、ストライプのシャツでは防げない可能性が高い」とのことで、人間にはあまり効果はないかもしれません。
日本人は19年連続で受賞 時が経って受賞した研究も
この「イグ・ノーベル賞」ですが、日本人は19年連続で受賞しました。なぜ日本人が多いのか、過去に受賞した研究も見ていきましょう。
▼2012年「音響学賞」
おしゃべりを長く続ける人を“邪魔する装置”「スピーチ・ジャマー」を開発
→音を機械で拾って少しだけ音を遅らせて、その音を跳ね返す仕組み
話す言葉と聞こえる言葉がずれて自分の声が聞こえてくる状況になり、脳が混乱して話しにくくなるということを、産業技術総合研究所(当時)の栗原一貴さんと、科学技術振興機構(当時)の塚田浩二さんの2人が研究しました。
▼2014年「物理学賞」
“バナナの皮”は本当に滑りやすいのかを研究・証明をした、北里大学の馬淵清資教授(当時)ら4人が受賞
▼2020年「音響学賞」
「ヘリウムガスを吸うと、ワニの唸り声も高くなる」ことを発見した、京都大学霊長類研究所の西村剛教授(当時)らが受賞
ワニは人と同じように共鳴させて声を出していることが、このヘリウムガスを使った研究によってわかりました。つまり、ワニと似ているような恐竜も同様の仕組みで声を出していたのではないかという指摘もあり、これは大きな発見に繋がっているかもしれません。
▼2022年「工学賞」
ドアノブやペットボトルキャップなどの“つまみ”を回すときの指の使い方を調査し、千葉工業大学の松崎元教授らが受賞
例えば、今「ペンを持ってみましょう」となったときに、指を何本使うかといったことを全部統計化するなど、無意識な指の使い方を統計化して調査をしたという研究です。
山内あゆキャスター:
だんだん力が弱ってきたのか、ペットボトルなどが開けづらくなってきました。どういう力加減かがわかれば、それをサポートする簡単なグッズとかの設計に生きる気がします。
日比キャスター:
松崎教授はデザインも研究をされており、こういった研究の中からデザインの方にも展開させています。
実は、この研究の一部は松崎教授が何十年も前に書いた論文の中の一つにあったそうです。それを「イグ・ノーベル賞」側が発見し、「これは面白い」ということで、時が経ってから受賞した経緯があったそうです。
では、なぜ日本人の受賞が多いのでしょうか。
日本人の受賞はなぜ多い?理由は日本人の“オタク気質”や“懐”の広さ
日比キャスター:
イグ・ノーベル賞委員会の日本担当ディレクターである、古澤輝由さんに聞いたところ「日本人は“オタク気質”でマニアックな分野を真面目に追求する」。それから、「独創的な視点を持っており、論文の書き方も面白い」とのことで、イグ・ノーベル賞に近づく日本の研究者の方が多いということです。
また、2022年に受賞した千葉工業大学の松崎元教授は、「日本は海外に比べ、追求するための環境が整っている。サポートする大学や研究所の“懐が広い”」。だから、イグ・ノーベル賞にもつながるようなユニークな研究ができているのではないかという分析でした。
実は、研究者の皆さんの努力の賜物でもあるわけですね。
南波雅俊キャスター:
一見ちょっと変わった視点で、おふざけに見えるところもあるかもしれませんが、実はそれが実用化に繋がっていたり、更なる進化や発展に繋がっていったりする可能性もあると思うと、すごいと思います。
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