1999年から26年にわたり続いた自民党と公明党の協力関係に10日、終止符が打たれました。
両党のトップが連立継続をめぐり協議しましたが、「政治とカネ」への対応をめぐり、最後まで折り合うことはありませんでした。
【写真を見る】自民と公明の連立が始まった1999年当時の様子
公明党が連立政権から離脱 「政治とカネの問題」などで溝埋まらず
日比麻音子キャスター:
連立解消のポイントとなったのが、「企業・団体献金」です。
公明党の斉藤代表は、「企業・団体献金の受け手を党本部と都道府県連に絞る規制強化の実現」を求め続けていました。
それに対し、高市総裁は「総裁と幹事長だけで判断できない。持ち帰って協議したい」と返事をしました。
これに関して、斉藤代表は「具体的な回答ではない」と、一方的に連立政権の離脱を求めたという流れになります。
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
本来、連立政権を組む上で、コミュニケーションを取ることはとても大事ですが、斉藤代表と高市総裁の会見をそれぞれ聞いてみると、大きな食い違いがあります。
斉藤代表は、以前から自民党に対し、「政治とカネの問題、政治資金規制法の改正について、どうするのか話をして決着をつけたい」としてきました。
一方で、高市総裁は「きょうこの会談で決めることはできない。持ち帰って協議したい」と返答しました。
「一方的に離脱」というのは、自民党側から見たことであり、公明党側からすると「これまでもずっと言ってきたことで、まだ結論が出ないのであれば離脱する」ということで、コミュニケーションがうまく取れていなかったことが露呈してしまった状況でした。
国際情報誌「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
コミュニケーションと同時に「情報」も取れていないですね。
これまでは、自民党と公明党、あるいはその支持母体である創価学会との間にはパイプがあり、そこから色々な情報が自民党側にも聞こえていたはずでした。
しかし、今の高市総裁を囲む顔ぶれの中にはそのような人がいない。むしろ、公明党や創価学会と距離をとってきた人たちが周りを囲んでいます。
公明党側の本気度が全く読めておらず、そのベースになる情報も取れていなかった。それが双方のすれ違いを生んだ最大の原因だと思います。
公明党への共感と野党連携の行方
日比キャスター:
野党側も反応を示しています。
国民民主党の玉木代表が会見を行いました。
国民民主党 玉木代表
「国民民主党も、政治資金問題に取り組んできた。公明党の覚悟や決意には共感ができる。今後も政治とカネの問題の現実的な解決策を実現するため、共に力を合わせていければ」
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
政治資金の問題における公明党の判断に対し、玉木代表は非常に理解を示しています。「この先、改革をする上でも共に協力していきたい」という姿勢も示しており、自民党にとってはさらに打撃が大きいと思います。
日比キャスター:
立憲民主党の野田代表も会見を行いました。
立憲民主党 野田代表
「高市氏だけではなく、5人の総裁候補全てが“連立拡大”を主張しているパートナー(公明党)に対する配慮がなかったと思う。(公明党の)立ち位置に共通点があると思う。どんな連携ができるか状況を見ながら協議をしていきたい」
国際情報誌「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
自民党総裁選の中で全ての候補が「連立を目指す」と主張していたのは、そうしなければ多数を取れないので、当たり前の話でした。
しかし、実際に高市氏が総裁となったことで結局それが破綻してしまいました。そこを自民党がこれから収束へと持っていく術があるのかどうかですが、その方向性すら見えないのが今の状況です。
もう一つの問題は、野党は、公明党の覚悟や決意に賛意を示していますが、それで公明党を中心に政治とカネの問題について大同団結できるかというと、それはまた細かいところが違ってきます。
野党は野党でまとまりづらい状況があり、それが今後の混乱の主たる原因になっていくかもしれないなと思います。
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<プロフィール>
岩田夏弥
TBS報道局 政治部長 元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当
堤伸輔さん
国際情報誌「フォーサイト」元編集長
BS-TBS「報道1930」コメンテーター
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