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公明党、連立離脱へ 西田幹事長、裏金問題「『禊が済んだ』では済まされない」【文字起こし】

国内
2025-10-10 21:10

連立の継続をめぐり公明党の斉藤代表が自民党の高市総裁と国会内で会談しました。1時間半に及ぶ会談で、公明側は、継続の条件として「企業・団体献金」の規制強化案を受け入れるよう求めましたが合意には至らず、公明党の斉藤代表は高市総裁に連立から離脱する考えを伝えました。


これにより、26年に及ぶ連立が解消されることになりました。日本の政治状況がさらに不安定化するのは避けられません。いったい、なぜ、公明党は連立からの離脱を選んだのか。その真意について、公明党の西田実仁幹事長に聞きました。


聞き手:荻上チキ(評論家、ラジオパーソナリティー)、秦正樹(大阪経済大准教授、政治学者)
写真:自民党との会談を終えた公明党・斉藤代表
(TBSラジオ『荻上チキ・Session』2025年10月10日放送より)


連立離脱に高市総裁の反応「残念である」

荻上:改めてですが、今回自民党との連立離脱ということになりました。どういった理由での離脱ということになったんでしょうか?


西田:直接のきっかけは、自民党との間で政策合意を取り交わすわけですが、連立を続けるには政策と理念を一致させなければなりません。

その中で特に「政治とカネ」の問題について、私どもから具体的に2つの点、「企業・団体献金の規制強化」、また、いわゆる「不記載問題」についての全容解明、これを掲げて答えを求めたわけですが、残念ながら本日十分なお答えがなかったということで、一旦連立は解消するということになった次第です。


荻上:これ「一旦」ということですが、条件が整えば連立復帰ということになるんでしょうか?


西田:いや、そういうことはなくて、「一旦」というのは、一度ここに関係に区切りをつけたいという意味で申し上げたことです。


荻上:会談の中では、高市総裁側の反応というのはどうだったんでしょうか?


西田:約1時間半ぐらい行いましたが、私たちが求めたことについては「今後検討する」という話でした。これでは、「政治とカネ」の問題があり、物価高で大変生活が苦しいなか、与党に対して厳しいご審判が先の2回の国政選挙であったわけですが、生活者の方とは関係のない「政治とカネ」という国会での問題すら解決できなければ、今後の様々な政策が打てないのではないかという政治不信に繋がっています。

そこにフォーカスしてお聞きしたのですが、残念ながら十分な答えはありませんでした。「26年間続いた自公の連立政権であるが、残念である」と、そんな反応がありました。


裏金問題の全容解明「昨日、今日出てきた問題ではない」

秦:先ほどの記者会見で高市総裁は、協議の場で公明党から政治資金改正法の公明党案を丸のみしろと言われ、非常に一方的に離脱を宣言された、自民党は対話の窓口を開いていた、というような言い方をされていました。その場で「丸のみしろ」と言ったというのは事実なんでしょうか?


西田:いや、事実ではありません。「丸のみ」という言葉は使っていません。

「そのまま飲め」とも言ってませんが、この規制強化というのは今急に始まったテーマでは実はありません。この1年間少なくとも私担当してきましたけれども、自民党に対しても様々な協議をずっと続けてきました。

そういう意味では昨日、今日出てきた問題ではありません。色んな協議を重ねてきて、なんとか解を見出すべきだという風に思ってきたわけであります。


先の選挙結果を受けますとやはり、これまでとは違った対応をしなければいけない、そういう局面にあるということを私は強調して、それに対して具体的にじゃあどうするのかという基本姿勢というものを問うたわけであります。

しかし、その基本姿勢では、「いや、今後検討する」っていうそういう姿勢だったもんですから、それでは連立ということを続けるわけにはいかないという風に申し上げたわけです。


秦:高市総裁は、その場で法案をOKしろと言われても党内手続きがあるのでダメだとおっしゃっていました。公明党としては、法案を丸のみしろというよりも、高市総裁自身の「決意」を聞きたかったのではないかと感じたのですが、いかがでしょうか?


西田:ご指摘の通りでありまして、もともとこの「政治とカネ」に対する基本姿勢ということをテーマに、10月4日に高市総裁がお見えになった時に斉藤代表から申し上げたわけです。

新総裁に具体的な法律の話をするということではないのはよく分かっており、一定の手続きがあるのは当然です。基本姿勢、つまり決意と言い換えてもいいかもしれませんが、それを問うたわけです。


秦:つまり、公明党案を飲むかどうかというよりも、今後の「政治とカネ」の問題に関する高市総裁の決意や、こうやるという方向性をしっかり示してほしかったということでしょうか?


西田:そうです。規制強化をどういうふうに進めていくのか、あるいは全容を解明するのにどういうことをやろうとしているのか、ということをお聞きしたかったですが、残念ながらそれはなかったということです。


裏金問題「『禊が済んだ』では済まされない

荻上:今回、自民党の方での萩生田氏の要職起用などについての影響はあったのでしょうか?


西田:私たちは他の政党ですから、人事について何か申し上げる立場ではありません。しかし、仮にそういうことであれば、やはり全容を解明し、国民の皆様に説明する必要があるのではないかと思っています。


荻上:こういった人事で「禊(みぞぎ)は済んだ」というメッセージになってはいけない、ということでしょうか?


西田:「禊は済んだ」と総裁選中もおっしゃっていましたが、それは国政選挙を経たという意味合いだと思われます。しかし、2つの国政選挙の後に新たに明るみになった証言もありました。

また、一旦不起訴になったものの、検察審査会の審査により、略式起訴され罰金刑になった方もおられました。そうした新しい事実がある以上、「禊が済んだ」では済まされないというのが基本的な私たちの立場です。従って、全容解明や規制の強化に、これまでとは違う対応をしなければいけないと再三申し上げてきました。


リスナーからの質問(R.N.おっちょこハナコ):なぜ公明党は今になって献金の話を強く言ってきたのですか? なぜわざわざこのタイミングで離脱なのですか? 石破総裁の時でも良かったのでは?


西田:この問題は急に始まったことではありません。企業・団体献金の規制強化については、ずっと具体的な提案をし、国会でも議論・協議をしてきた問題です。しかし、与野党の合意も得られず、結論が見出せないまま参議院選挙を終え、その結果は、政治とカネに対する有権者の皆様の相当厳しい審判であったと思っています。

したがって、高市総裁だからこの問題を提起しているわけではありません。どの総裁になったとしても、新しい総裁になると連立の政策合意を交わす仕組みになっていますので、この機に自民党にはぜひ前向きに対応してもらいたいという意味で、全容解明や規制強化をご提案申し上げたわけです。


裏金問題以外の「2つの点」は?

荻上:懸念としてお伝えした3つのうち、靖国神社参拝問題と外国人に対する不寛容な政策をしないという2点については、自民党にこれからも守ってほしいということでしょうか? この点の温度感についてはいかがですか?


西田:おっしゃるようにこの2点については、高市総裁から詳細なご説明があり、一定の理解をし共有した面があります。しかし、日本の政治全体が右傾化していくのではないかという懸念は一般的に持たれています。右派ポピュリズムが拡大する懸念です。

イギリスの例を見ても、右派ポピュリズムが勢力を増やした時に、既存の政党が右寄りの政策を取ると、さらに右寄りになるという傾向が専門家から指摘されており、そういう日本にしてはならないという思いを持っています。


秦:連立の基本条件は政策と理念の一致で、「高市さん」だからということではないとおっしゃいました。では、2年前に公明党に対して「ガン」だと言った麻生副総裁(当時)についてはいかがでしょうか。理念の違いがあったと思いますが、その時は寛容な対応をされたように思います。今、その発言についてはどのようにお感じになりますか?


西田:麻生元総理のご発言は、その後「そういう意味ではない」という弁明をされたと記憶しております。ご指摘になったような意味ではないと弁明されていたと記憶しており、したがって、大きな問題にはならなかったと記憶しています。


荻上:最後に1点、気が早いかもしれませんが、選択的夫婦別姓など野党が掲げている政策については、今後、政策ごとに野党とも協力しながら進めるということでしょうか?


西田:本日、高市総裁にも申し上げましたが、連立は解消し区切りをつけますが、政策ごとに我々は責任を持ってやってまいりましたし、継続性もございますので、協議すべきことは協議し、賛成することは賛成していきます。

選択的夫婦別姓の問題などについては、なかなか与党内で意見の一致を見なかったため進展しませんでしたが、今後は党として主張し、賛同できる方々と協議をしながら、自民党の中にもそうしたご意見をお持ちの方がたくさんいらっしゃいますので、連携していきたいと思います。


荻上:西田さん、ありがとうございました。


(TBSラジオ『荻上チキ・Session』2025年10月10日放送より)


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