
10月10日に行われた自民・公明両党の幹部会談で、26年にわたり続いた連立関係に終止符が打たれることになりました。なぜ連立を離脱する決断に至ったのか。また混迷を極める日本の政治、今後どうなるのか。公明党・斉藤鉄夫代表に詳しく聞きました。
【写真を見る】【全文公開】自民党の不祥事“もう限界”…進まぬ「政治とカネ問題」で離脱を決断…公明・斉藤鉄夫代表「政策実現のため他党と協力は当然」【news23】
高市総裁に伝えた”連立離脱”「これではいつまでたっても結論が出ない」
Q. 連立離脱を伝えたとき、高市総裁の表情はいかがでしたか?
公明党 斉藤鉄夫 代表:
今回、我々が高市新総裁に会うのは3回目です。最初の段階から私達は、特に「政治とカネ」の問題について、「『今回、自民党も変わっていくんだ』という明確なメッセージがなければ、連立政権はあり得ない」ということはずっと申し上げてまいりました。
そして2回目も1時間半、今回も1時間半、「政治とカネ」の問題を中心に協議しました。
そういう意味で「これからも検討する」ということでは、全国から集まってきた地方議員の皆さん、中央幹事会からやっと一任を取り付け、参加した私として、「それは持ち帰れない」ということで、「これでは、政権協議を打ち切らせていただきます」と。一連の話の中での話でしたから、決して驚いた様子はなかったように私は思いました。
Q. 連立離脱はどのように伝えた?
公明党 斉藤鉄夫 代表:
「これまでずっと協議を進めながら、一定の結論が得られないのであれば、今後も『検討する』というような曖昧な答えであれば、連立協議はここで打ち切らせていただきたいと思います」というのが私の最初の言葉でした。
「私もまだ総裁になって5日目」高市総裁の反応は?
Q. 高市総裁の反応は?
公明党 斉藤鉄夫 代表:
「私もまだ総裁になって5日目だから、皆さんに相談しないと決断できません」という趣旨のことをおっしゃったと思います。
そのことが、「一方的に協議を打ち切られた」「離脱を通告された」という言葉に繋がるかと思うのですが、私から見れば、政治とカネの問題、特に企業・団体献金の規制強化については1年前から協議をし続けてきたものです。
また、ちょうど1か月前には、自民・立憲・公明の3党党首会談があり、立憲民主党も公明党の案まで下りて、「一緒に協議しよう」ということを受け、自民党の石破総理も「自民党も一緒に協議をしていく」ということで決まっておりました。そういう中で、ずっと「検討する」と。そして今回もそうです。
総裁の権限の範囲だと思いますが、これもまた「検討していく」ということでしたので、「これではいつまでたっても結論が出ない」というふうに思い、私達はこのような決断をさせていただいたところです。
届いた沢山のメール「連立離脱をよく決断した」の声も
Q. 伝え続けていたのに「一方的」という言葉が出た
公明党 斉藤鉄夫 代表:
ちょっと意外です。「それは言葉の使い方としておかしいんではないでしょうか」というように申し上げました。
特に高市総裁だけに限っても、1週間前に新総裁として挨拶に来られたときに「三つの懸念事項がある。この懸念事項がなくならなければ、私達は連立政権ということにはなりません」ということはもう明確に伝えてあるわけです。
そして、今週の初めに1時間半の協議を行い、かなりギリギリまで詰めました。特に「企業・団体献金の規制強化」については、これまでの経緯も踏まえ、自民党に決断していただきたい内容について説明していたところなので、「一方的に」というのは少し違うんではないかなと私は思っております。
Q. 支持者の反応は?
公明党 斉藤鉄夫 代表:
今日、たくさんのメールがきましたが、「よく決断した」という声や、「やはり連立離脱は行きすぎだったのではないか」という両方の声が来ましたが、「離脱してよかった」という声の方が多いです。
「自民党の不祥事をなぜ公明党が説明…」”もう限界”の声も
Q. 「連立維持の方が良かった」という声に引っ張られる気持ちは?
公明党 斉藤鉄夫 代表:
もう決断しましたので、これから公明党として我々中道改革の軸になっていく決意しております。
今回、我々が「政治とカネ」の問題を連立協議に上げざるを得なかったのは、参議院で公明党は大敗しました。そのことで私は全国を歩いて皆さんの声を聞きました。それを「総括」という形で文章にしましたが、地域の自民党の広報を一生懸命応援している我が党の支持者が、自民党の問題である「不記載問題」を自民党にかわって説明して、「どうかこの人を応援しましょう」と言って努力に努力を重ねてきた。
ですが、「もう限界です」と。
「自民党の不祥事を、なぜ公明党の私達が有権者の皆さんに向かって説明しなきゃいけないんですか」と。
「自民党の人はほとんどしてないのに、何で公明党が説明しなきゃいけないんですか、もう限界です」という声をいっぱい聞いてきました。
そういう声を受けて今回、この懸念の中で、特に「不記載問題」について、有力議員の秘書が起訴されるという新たな事実もあった。
それに対して「もう禊は済んだ」ということで説明責任を果たそうとしていないというような姿もございました。
そういう意味で、「『政治とカネの問題』だけは一丁目一番地の問題で、この解決がなかったら連立政権はない」ということを最初にお会いしたときから申し上げていても、今回も具体的な回答がなかった。
色々な声がありましたが「政治とカネ」の問題について一定の前進があるということを前提に、「それがなければ決着すべきではない」という声が多かったので、今回こういう決断をさせていただいたところです。
「政策実現のため他党と協力は当然」総理大臣指名選挙は誰に?
Q. 総理大臣指名選挙で野党側から総理大臣が選ばれても良い?
公明党 斉藤鉄夫 代表:
1回目の投票では、公明党は代表である私の名前を書いていただくことになると思います。2回目の投票の話かと思いますが、そのときの状況によって変わるので、まだどうなるかわかりません。
そのときは、党のみんなと協議をして決めるわけですが、少なくともこれまで自民党と色々な政策協議をして、法案や予算の準備もしてきた。そういう経緯からすれば、いきなり野党の方の名前を書くということはないのではないかと思っていますが、これは私の個人的な考えです。
最終的には党のみんなで話し合って決めますが、個人的にはそのように思っています。
Q. 企業・団体献金の規制強化で、国民民主党や立憲民主党、維新の会と協力は?
公明党 斉藤鉄夫 代表:
立憲民主党の野田代表は、今まで「禁止」一辺倒でしたが、1か月前の3党党首会談で「公明・国民案に一緒に協議してもいい」と、それを受けて石破総理も「それでは自民党も検討します」と1か月前におっしゃっていた。
今回、その検討はしていなかったということがわかったのですが、そういう意味では、政策実現のために他の党と協力をしていくというのは当然のことでございます。
「自民党の不祥事で受けるダメージ大きい」
Q. 公明党の比例票は20年で激減。どう取り戻していく?
公明党 斉藤鉄夫 代表:
「公明党らしさを前面に出す」ということだと思います。
「クリーンな政治」というのは公明党の一丁目一番地ですが、これまで自公政権の中で、自民党の不祥事があったら、そのダメージは自民党そのものよりも、一緒にやっている公明党の方が特にダメージが大きいということで、比例票が減るということがありました。
これからは、清潔な党、人権の党、平和の党、地域の党という公明党らしさをしっかり出し、中道改革の中心軸になっていく。
中道というのは「真ん中」という意味だけではなく、「人間中心」という意味です。
人間という存在を中心にして、イデオロギーではなく人間を優先して考えていく。そういう中道主義、改革主義を前面に立てて、それに賛同してくれる他の党の方と協力しながらその道を開いていく。そういうことに国民の皆様のご支持を得て、減った票をまた取り戻していきたいと思います。
Q. 連立離脱は反転攻勢の第一歩?
公明党 斉藤鉄夫 代表:
まさにその通りでございます。公明党らしさ、公明党が本来主張することをもっと前面に主張して、これまでは与党の一角ということで、与党との政策協議、与党の全体の中の整合性の中でしか政策提案ができなかったわけですが、これからは公明党独自の政策提案もどんどんしていきたいと思ってます。
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公明・斉藤鉄夫代表から連立離脱を伝えられた自民・高市早苗総裁の会見は、
【全文公開】「一方的に連立離脱を伝えられた」自民・高市早苗総裁が会見“公明連立離脱”会見冒頭
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