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「わからないをわかるまで」クリープハイプ尾崎世界観が歌う“23時” 書き下ろし楽曲「23、24」に込めた思い【news23】

国内
2025-10-26 08:00

ロックバンド「クリープハイプ」の尾崎世界観さんがnews23のエンディングテーマを書き下ろしました。一日の終わり「23時」にこだわったという新曲「23、24」。どんな思いを込めたのでしょうか。


【写真を見る】尾崎世界観が歌う“23時” 書き下ろし楽曲「23、24」に込めた思い


尾崎世界観が歌う「23時」

この日、新たな楽曲が少しずつ形になっていました。


尾崎世界観さん
「良いニュースもあれば悪いニュースもあるし、1日ごとに状況が変わっていくので、そういうところで鳴る曲なんだと思うと、やりがいもあったし作っていて楽しかったですね」


ミュージシャン・尾崎世界観(40)。ロックバンド「クリープハイプ」でボーカルとギターを担当。ほとんどの楽曲で作詞・作曲を手がけています。


恋心や日常を、ハイトーンボイスで歌い上げる。尾崎世界観が書いた歌詞と歌声は、若い世代を中心に共感を集めています。


さらに、小説家としての顔も。これまでに2度、芥川賞候補となりました。高く評価されるのは“独自の言語感覚”です。


小説「母影」より
「私がまだお母さんをママってよんでたころ、お母さんはただの丸い玉だった。その玉の近くにいるだけでうれしかったし、その玉にさわると安心した」


一日の終わりに寄り添う音楽を。今回、news23のために書き下ろしてくれました。


クリープハイプ「23、24」
♪23時の角度に首を傾げて 何が正しい何がおかしいって探してる
一日の終わりに指を咥えて 何が嬉しい何が悲しいってただ見てるだけ
いつもなんかズレててイライライライラする
明日の前にこぼした今日の残りカス指で払う


尾崎世界観さん
「一日の終わりにテレビを見ている時って、世の中では色んな事が起きていて、それに対して『自分はどうなんだろう』と思いながら、落ち込んだりすることもあるんですよね。そういう人を置いていかないような曲にしたい」


クリープハイプ「23、24」
♪その角度でその速度でその気持ちで わからないをわかるまで
その角度でその速度でその気持ちで わからないをわかるまで


「わからないをわかるまで」

小川彩佳キャスター:
新曲の「23、24」は夜11時という時間帯にこだわって作ってくださったそうですね。


尾崎世界観さん:
そうですね。子どもの頃から「news23」を見ていて、小さい頃の23時というのはすごく未知の世界で、その時間に起きているだけで嬉しかったんですが、大人になって色々なことを考えながら、当たり前に23時が来て、色々な苦しさや悩みなども抱えながら生活していて。まずこの“23時”というものを描きたいと思い、歌詞を考えているときに、時計の11時のところを見ながら、自然と首をかしげているのに気づいたんです。11時って、針自体も何か迷っている感じがするなと思って。何か釈然としない感じというか。


そういう時間だからこそ、その時間に自分はいろんな気持ちを乗せることができるんだと思い、23時~24時までの、この番組がちょうど終わる頃に、傾いてた部分がちょっとでもまっすぐになるような、それごと引きずって明日に行けるような曲にしたいと思って作りました。


喜入友浩キャスター:
そういった思いを歌詞に、音に、テンポに込められたと思いますが、歌詞の後半に出てくる「わからないをわかるまで」という言葉がすごく印象的でした。


尾崎世界観さん:
今はすごく答えを求められる時代で、いくらでも答えが手に入ってしまう時代だと思っています。それらしくはっきり言い切る人が人気ですよね。YouTubeとかでも再生数が伸びたり。


だから何かを言い切らなきゃいけないという風潮があると思うんですが、自分は何かを言い切れる人よりも、すごく迷って悩みながら、自信がないけれど、これかもしれないと思ってやっと発言するような人に惹かれるんです。そして、自分自身も表現者としてそういう人間でありたいと思っています。


でも、今回このような機会をいただいた以上は、何かを見つけたいと思った。そんな時に「わからないをわかればいいんだ」と気づいて、そこから書き進めた歌詞です。


小川彩佳キャスター:
私たちが伝えるときのジレンマと重なりますよね。


トラウデン直美さん:
私もこの曲を聴かせていただいたとき、すぐにうるっとしてしまったのですが、最初の歌詞に「23時の角度に首を傾げて」とあります。番組のスタッフの皆さんの「こうやって伝えればいいのかな」と本当に誠実に悩みながらニュースを伝えていこうとしている姿勢が浮かんできて、胸が熱くなりました。


尾崎さんの捉える力って本当にすごいなと思うのですが、歌詞を書かれるときにはどのようなことを意識されるのでしょうか。


尾崎世界観さん:
何かをはっきり言い切るというよりは、ぶれていきたいというか。色々なニュースに触れるたびに揺れるし、それで微動だにしないのがかっこいいのではなくて、ちゃんと色々な人の声や出来事に触れながら、自分がちゃんと揺れていくというのはすごく大事だと思います。そういう自分を通して、その気持ちを素直に歌にしていきたいです。


尾崎世界観と「ニュース」

小川キャスター:
日頃ニュースをご覧になっていて、尾崎さんが何か気になるキーワードはありますか。


尾崎世界観さん:
自分自身もよく言われるので、「SNS」「炎上」「誹謗中傷」「分断」「切り取り」「差別」など全部が繋がっているように感じます。今はどこか一つだけ言葉を選んでも、それに紐づいて色々な言葉が出てくるので、すごく厄介な時代だと思います。


ニュース自体もそうですが、その向こう側を見る力が大事だなとつくづく思いますね。一つのニュースがあったときに、必ず後からまた色々な結果が出てくるので、ちゃんと最初にその向こう側を見ようとする力が必要だし、こちらも何かを伝えるときに、ちゃんとその向こう側を見て伝えたい。今回の曲も、そう思いながら作ったつもりです。


喜入キャスター:
答えや結論を早く欲しがる時代になってきているからこそ、そこまでのプロセスをきちんと見せることがなかなか難しくなってきていると思います。


尾崎世界観さん:
本当に難しいですね。あとは、簡単に称賛されるし、簡単に叩かれるし、極端ですよね。言葉を発する側もそうですが、それを受け止めてSNSに投稿したり、何か褒めるときでも、その自分の向こう側、自分の反対側を見るのは大事だと思います。


生きていたら意見は変わるじゃないですか。自分の中でも「なんか変わってるな」と思うことはよくあるし、それは普通のことだと思うので、何かを発信する時に、「今はこういう感情だけれど、もしかしたら、後でこういうことを思うかもしれない」と少し予測するだけでも、世の中にあふれる言葉が変わっていくのかなと思います。


トラウデン直美さん:
本当に誰かに出会ったり、言葉に触れたりするだけで、少しずつ自分が変化していくことはよく感じますし、全部に早く反応しようとしてしまいますが、一つの言葉に対して、時間をかけてかみ砕いていく時間はすごく大事だと感じます。


尾崎世界観さん:
その時間を意味のあるものにするために、わからないという気持ちが大事だと思います。わからないことをちゃんと認められれば、それだけ時間ができるし、色々なことを考えたり、色々なものに触れられると思います。


小川キャスター:
自分とは全く関係ないんじゃないかと思ってしまうような事象やニュースも、時にはあるかと思いますが、以前、尾崎さんがインタビューの中で、「自分の中で一番遠いところにあるものを取りに行くのが創作だ」という言葉をおっしゃっていて、これはニュースにも重なるなと思いました。


自分の中の多面性や、自分の中で、そのニュースの当事者や関係者だったり、対岸の誰かを探しに行くことは大切そうですね。


尾崎世界観さん:
探しに行くことは本当に大事ですね。


小川キャスター:
音楽活動にも重なる部分がありますか。


尾崎世界観さん:
すごくあります。これまで、何となくニュースは遠いものだという印象がありました。でも、何か思い切って、勇気を持って、ニュース一つひとつを伝えるじゃないですか。


誰かに寄り添おうと思えば、誰かを傷つける可能性もあるし。そして、音楽だってそうだと思います。音楽の“届いてしまいやすさ”みたいなものを、最近すごく怖く思っていて。ニュースもそうですよね。


でも、やっぱり伝えずにはいられないし、曲にせずにはいられないので。とにかく、わからないを認める勇気と、遠くを見る目は大事にしたいと思っています。


小川キャスター:
そうした中で作ってくださった今回の新曲ですが、視聴者の皆さんにはどんなふうに聞いていただきたいですか。


尾崎世界観さん:
もちろん寄り添いたいという気持ちもありましたが、逆に言いすぎないようにしました。まずは聴いてくださる方を信じる。余白をちゃんと作って、あとは埋めてもらえるような部分というか、そういうところを意識して作りました。


今は、ちょっとでも時間が空くと、もったいないとか怖いとか、そういう気持ちで隙間を埋めてしまいがちですが、いかにそこを我慢して、余白を作れるかが大事だと思います。


トラウデン直美さん:
その時間がないからこそ、わからないを認める時間も減ってしまうと思います。この余白は人生の時間でものすごく大事だと感じます。


小川キャスター:
考え込んだり、無理に答えを見つけない時間というのも大切にしていきながら、エンディングテーマを聴いていただけたらと思います。


==========
歌詞全文


「23、24」 作詞・作曲:尾崎世界観


23 時の⾓度に⾸を傾げて
何が正しい何がおかしいって探してる
⼀⽇の終わりに指を咥えて
何が嬉しい何が悲しいってただ⾒てるだけ


いつもなんかズレててイライライライラする
明⽇の前にこぼした今⽇の残りカス指で払う


ほらそうやっていつも⾸を傾げて
誰が良くて誰が悪いって⽐べてる
知ってるよそんなの誰でもなくて
全部⾃分の中にある だから苦しいんだろ


いつもなんかズレててイライライライラする
べつにどうでもいいけど⿊いくらい暗いでも未来


いつもなんかズレててイライライライラする
べつにどうでもいいけど⿊いくらい暗いでも未来


その⾓度でその速度でその気持ちで
わからないをわかるまで
その⾓度でその速度でその気持ちで
わからないをわかるまで
⽬指して
あれは 0 じゃない 24
⽬指して


その気持ちでわからないをわかるまで


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<プロフィール>
尾崎世界観
ミュージシャン・作家
2001年結成「クリープハイプ」ボーカル・ギター
小説家としても活動 芥川賞候補作に2度選出


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