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トランプ氏来日、日米両国の狙いはどこに?アメリカ側は「米中首脳会談」を前に協力強化が目的か【Nスタ解説】

国内
2025-10-27 19:53

28日、日米首脳会談が行われます。日本の防衛費の増額などが議論される見通しですが、高市総理はどう応じるのでしょうか?そして、トランプ大統領が日本を訪問する狙いはどこにあるのでしょうか。


【写真で見る】先ほど羽田空港に到着したトランプ大統領


防衛費増額も議論か あす日米首脳会談

27日朝6時前、初めての外国訪問となったマレーシアから帰国した高市総理。

28日に行われるトランプ大統領との首脳会談については…


高市総理
「(トランプ大統領が)日本に来ること、私に会うことを楽しみにしておられるというようなお話も伺いましたので、大切な同盟国との関係を強化していきたいと思っております」


トランプ大統領とは25日に就任後初めての電話会談をおこない、「日米同盟を更なる高みに引き上げていくことで一致した」と話した高市総理。

トランプ大統領が同盟国などに安全保障の負担を増やすよう求める中、首脳会談では、日本の防衛費の増額も議論になるとみられています。


それを見越してか、高市総理は24日、政権の運営方針を説明する所信表明演説で、防衛費を前倒しして増額する考えを表明しました。


高市総理
「国家安全保障戦略に定める『対GDP比2%水準』について、補正予算と合わせて、今年度中に前倒しして措置を講じます」


高市総理はこうした防衛費の増額方針について、首脳会談でトランプ大統領に伝える方針です。

高市総理はトランプ大統領との信頼関係を築くことが出来るのか、外交手腕が試されます。


トランプ氏のアジア外遊 習近平氏との会談が最大の争点に

では、トランプ大統領の日本訪問の狙いはどこにあるのでしょうか。


27日午後、羽田空港に到着したトランプ大統領。日本への訪問は2期目では初めてです。

トランプ大統領にとっては、30日に予定している習近平国家主席との首脳会談が、一連のアジア外遊の中でも最大の焦点となっています。

アメリカから見て、中国は今後大きな経済成長が見込まれる東アジア地域での覇権を激しく争う競争相手です。

トランプ氏としては、首脳会談を前にアジア諸国や日本との連携を確認・強化しておきたい考えです。

ただ、「トランプ関税」の影響でASEAN=東南アジア諸国連合の国々の間では、アメリカへの不信感が広がり、中国の存在感が高まりかねない状況でした。


トランプ大統領
「アメリカは完全に東南アジア諸国の皆さんと共にあり、今後、何世代にもわたり強力なパートナーかつ友人であり続けると伝えたい」


トランプ氏はASEANとの会議で「アメリカは強力なパートナーだ」とアピールし、懸念の払拭に努めています。

また、中国と向き合う中で、トランプ氏にとって特に大きな悩みのタネは「レアアースの輸出規制」です。


レアアースはEV=電気自動車の生産などに欠かせませんが、世界におけるシェアは中国が採掘で6割以上、加工で9割以上を占めていて、輸出規制が強い武器になっています。

トランプ氏は、レアアースの中国依存から脱却するため、高市総理との首脳会談で日米共同での調達の強化を確認したい考えです。


「親密さのアピール」日米首脳会談 日本側の狙い

井上貴博キャスター:
日本側の狙いというのは、どのような点があるのでしょうか。


TBS報道局政治部 官邸キャップ 中島哲平:
日本側としては「日米首脳の親密さのアピール」が大きなポイントになると思います。

25日にトランプ大統領と電話会談した際、高市総理のことを「安倍元総理が気にかけていた政治家」という紹介をされていたのですが、ここに大きな意味合いがあったようです。


高市総理は26日にASEAN各国の首脳との会議に臨みましたが、どうもトランプ大統領の評価がASEAN各国首脳にも伝わって、「トランプ大統領も好意的に見ている総理」ということで、ASEAN各国の首脳も高市総理に近づいて話しかけるという場面が見られました。

トランプ大統領との関係というのは日米外交だけではなく、他国から一目置かれる“日本の存在感を示す”という意味合いもあるため、親密さをどれだけアピールできるかが大事になってきます。

ただ、その防衛費に関しては、安倍元総理が戦闘機の大量購入を決めたことなどもあり、そうしたことが防衛費の増大に繋がることがあるのか否か、高市総理には説明責任が今後求められていくことになると思います。


アメリカ側の“2つの弱点” 日本と協力強化が狙いか

井上貴博キャスター:
トランプ大統領のアジア外遊の焦点は「米中首脳会談」ということで、大国同士の話し合いはどうなるのでしょうか。


9日、中国はレアアースの輸出規制を発表しました。

25日・26日に米中貿易協議が行われ、アメリカ・ベッセント財務長官によると、▼中国は輸出規制を1年間延期する見通しを示し、一方、▼アメリカは追加関税の見送りを示したということです。

そして、30日に韓国で行われる米中首脳会談で最終的な合意がされるとみられています。


ワシントン支局長 涌井文晶:
トランプ大統領の日本訪問の狙いとしては、アメリカの弱点である、▼レアアースの調達、▼造船といった点で日本との協力強化が目的とみられます。

レイアースの調達というのは先端産業には欠かせないので、中国依存の状況を脱したいということでしょう。中国側は輸出規制の1年間延期という見通しを示していますが、1年でアメリカが自分で調達できる状態になるわけではありませんので、やはり日本と共同で調達を強化するというところが大きな狙いになります。

もう一つ、経済安全保障分野でアメリカが穴になっているのが造船です。

造船の能力も今、アメリカは中国の200分の1しかないと言われていて、自前では全く船が作れないという状況です。ここも日本の協力を得て、弱点をなくしていきたいと考えています。

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<プロフィール>
中島哲平
TBS報道局政治部 官邸キャップ
過去に石破氏のドキュメンタリー映画制作

涌井文晶
ワシントン支局長 トランプ氏を2年半取材
アメリカでは日本酒が飲めないのが悩み


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