27日、トランプ大統領が6年ぶりに来日しました。10月28日の日米首脳会談に向けて、水面下でどういったことが模索されているのでしょうか。
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日米首脳会談の準備“トランプシフト”から見るアメリカ側の期待
井上貴博キャスター:
10月25日に高市総理とトランプ大統領は電話会談を行いました。そこでお互いに、手応えをコメントとして発表しています。
トランプ大統領
「彼女(高市総理)は本当に素晴らしく美しかった。安倍元総理とも強い繋がりがある。彼(安倍元総理)は私のお気に入りの1人で、偉大な男」
高市総理
「とても快活で楽しい方。『安倍元総理が気にかけていた政治家であることも知っている』と仰ってくださった」
日米首脳会談の準備として“トランプシフト”ともいえるのが、トランプ氏も認めた“タフネゴシエーター”茂木敏充氏を外務大臣に置き、関税交渉で10回直接交渉を行ってきた赤沢亮正氏を経産大臣に置いたことです。
こういった人事から、日本政権が変わってもトランプ氏との絆は変わっておらず、やり取りがすんなりとできるという日本側の姿勢を、トランプ氏は感じとれるのかなと思います。
ワシントン支局長 涌井文晶 記者:
まず安倍政権で重用された高市氏というところにトランプ氏の期待があります。そして、茂木外務大臣や赤沢経産大臣といった以前からトランプ氏と繋がりがある閣僚を起用しているところから、日本との関係はこれまで通り続いていくという、アメリカ側の期待があると思います。
トランプ氏の要求は? 高市氏は“防衛費の増額”前倒しでアピール
井上キャスター:
そういった中で、トランプ氏が何を言い出すかわからないところがあるので、楽観はできません。
お土産として、“安倍元総理が使っていたゴルフクラブ”や“被災地・石川県金沢市の金箔を使ったゴルフボール”を渡すのではないかという案が出ております。
日米首脳会談では、具体的にどのような要求があるのでしょうか。
下記の4つの柱があります。
【“日米首脳会談”どんな要求が?】
野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト 木原登英氏によると
・防衛費の増額
・ロシアからのLNG輸入停止
・中国のレアアース輸出規制協力体制の強化
・円安の修正
こういったプレッシャーがかかってくるのではないかということです。
防衛費として、日本政府は「国内総生産(GDP)比2%への増額を、2027年度から2025年度に前倒し」することを新たに発表しています。そのため、高市総理はこういったアピールをしていくだろうと考えられます。
しかし、アメリカからすると、ヨーロッパ各国に比べ、日本の防衛費はまだ少ないというプレッシャーをかけてくるかもしれません。
スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
高市総理とトランプ氏は長い時間お話ができるわけではないと思います。優先順位が高く、絶対に話さなければならないお話はどういったものがあると思いますか。
涌井文晶 記者:
高市総理としては、“防衛費の増額”を前倒しして達成することをアピールすると考えられます。
そして、日本からアメリカへ約5500億ドル=80兆円の投資をするという関税合意をしています。その合意を「実現してほしい」というトランプ氏の思いに対して、何らか前向きなメッセージを伝えることも求められると思います。
アメリカ製トラックを首脳会談の会場近くに“サプライズ”で展示か
井上キャスター:
政府関係者によりますと、「日本はアメリカ車を輸入していない」というトランプ氏の不満に対して、「日本政府はアメリカ製トラックを公用車で導入し、首脳会談の会場近くにサプライズで展示する」ことを考えているといった新しい報道が出てきました。
こういったことで、トランプ氏の機嫌が直るのであれば、金額としては安いともとれるかもしれません。
一方で、アメリカ車が日本では人気がないことを分からせることも必要ではないかとも考えられます。
涌井文晶 記者:
アメリカ製トラックというのは、アメリカ国内で非常に人気がある“フォードF-150”というピックアップトラックと言われる、日本車に比べて非常に大きな車です。公用車と言われても、街中で使うというのはなかなか現実味がありません。そのため、日本政府として林野庁といった分野に限って活用するアイデアも出ていると聞いています。
日本政府としては、「5500億ドル=80兆円の投資を必ず達成できます」と、この段階で言うことは難しいため、なかなか具体的な前進を見いだしづらいです。
その中で、トランプ氏がこだわってきた“日本では車を買っていない”といったテーマに対して、一つの解を示すことにはなりうると思います。
実際こちらの報道は、アメリカのロイター通信で伝えられており、トランプ氏に直接質問されています。その中で、トランプ氏は「フォードのF-150は素晴らしい車なんだ」と言っており、買ってもらえることに対しては非常に前向きです。
ただ、満足するかどうかは、実際に会談をやってみないとわからないと思います。
アジア来訪の注目点の1つは「米中の関税対立」
【トランプ大統領 今後のスケジュール】
・10月28日:日本“高市総理”
・10月29日:韓国“李在明大統領”
・10月30日:中国“習近平国家主席”
井上キャスター:
トランプ大統領のアジア来訪から、我々はどういったところに注目して、見ていくべきでしょうか。
涌井文晶 記者:
中国との首脳会談は、米中の関税の対立が続いてきた中で、一定の緩和を見るかどうかといったところが大きな注目点になっています。
27日の時点で、ベッセント財務長官が中国側と枠組み合意で、「アメリカがさらに高い関税を課すということはしなくて済みそうだ」としています。
今、中国側が進めようとしている「レアアースの輸出規制」を、アメリカは問題視しているのですが、それが1年間先に延びそうだと話しています。
ここが、この首脳会談で合意になると、世界経済の不安はかなり引いていきます。27日、日本市場で株価が上がっているのは、このニュースに対しての反応です。
そのため、この経済の対立が緩和するかは、一つの注目点と言えると思います。
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〈プロフィール〉
涌井文晶
ワシントン支局長 トランプ氏を2年半取材
アメリカでは日本酒が飲めないのが悩み
田中ウルヴェ京さん
スポーツ心理学者(博士)
五輪メダリスト 慶応義塾大学特任准教授
こころの学びコミュニティ「iMia(イミア)」主宰
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