東京都内のマッサージ店でタイ国籍の12歳の少女が違法に働かされていた事件で、少女の祖母がタイで取材に応じました。少女は祖母に「家に帰りたい。タイで勉強したい」と話していたということです。
「本当に悲しい、ご飯も喉を通らない」 少女の祖母が心境吐露
少女の祖母
「ニュースを見てうちの子のことだとわかりました。本当に悲しいです。気を失いそうで、ご飯も喉を通りません」
タイ国籍の少女が都内のマッサージ店で違法に働かされ、経営者の細野正之容疑者(51)が逮捕された事件。少女の年齢は、12歳。タイから約4500キロ離れた日本で、性的なサービスをさせられていました。
12歳の少女をマッサージ店に置き去りにしたのは、母親でした。多額の借金を抱えていたといいます。
私たちは、少女が暮らしていた村に向かいました。タイ北部にある村で、12歳の少女は祖父母と妹の4人で暮らしていたということです。少女の祖父母と親族が取材に応じました。
少女の親族
「子ども達、おじいさん、おばあさん、みんな彼女(少女の母親)に頼っています。(母親は)夫が亡くなったので、一人で頑張らなければならないのです」
親族によると、少女の父親は約10年前に死亡。母親(29)は、首都バンコクの建設現場で働き、一人で家計を支えていました。
出稼ぎのために“借金” 母親が少女を日本に連れて行った背景とは
やがて母親は、日本など海外に出稼ぎへ行くようになりましたが、その費用を払ったことで日本円にして約50万円の借金を抱えることになったと言います。
少女の親族
「出稼ぎに行くために色々な書類を集めなければならないし、人に依頼して高い料金を払いました。お金がないのに」
少女の祖母
「少女の母親には借金がたくさんある。10万バーツ(日本円で約50万)以上でしょう。母親は『子どもも育てなくてはいけないし、大きくなってきているから頑張って稼がなきゃ』と。土地を持っていないので買いたいんです。いま住んでいるところは借りているのよ」
借金を背負う中、母親は事件の被害者となる少女を日本に連れていく決断をします。
祖母には「別の男性との間に生まれた息子をタイに連れ帰るためだ」と説明したそうです。
少女の祖母
「『12歳の娘を連れて行って、男の子の世話をさせる』と言っていました。『仕事に行く』とは言いませんでした」
しかし母親は、都内のマッサージ店に少女を紹介したあと姿を消しました。
その後、母親は台湾で身柄を拘束されました。台湾メディアによると、観光ビザで入国し、売春行為をしていたということです。
「自分の子どもにそんな仕事はさせない」祖父が語る複雑な思い
少女が暮らす村について、地元の人は…。
村人
「この村では多くの人が海外のマッサージ店で働く。ロシアとか韓国に行く人が多いです」
タイの村から日本に連れてこられ、性的なサービスを強いられていた12歳の少女。保護されるまでのひと月あまりに61人を接客したといいます。
少女は9月に東京出入国在留管理局に駆け込みましたが、その直前、祖母に連絡し、こう告げていました。
少女
「家に帰りたい。タイで勉強したい」
祖父母は少女を心配する一方で、母親のことも信じていると言います。
少女の祖父
「(少女の)母親は働きに行きました。でも自分の子どもにそんな仕事はさせてはいないと思います」
タイの警察は日本に捜査員を派遣し、母親の移送について協議する予定だということです。警視庁は今回の事件が人身取引の一端とみて、ブローカーがいる可能性も視野に、調べています。
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