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「日本はもっと役割を」四面楚歌状態のトランプ大統領の思惑 高市総理から「中東情勢」に触れたワケ【Nスタ解説】

国内
2026-03-20 20:56

終始、和やかに見えた日米首脳会談ですが、日本に積極的な貢献を求めると、トランプ大統領からクギを刺される場面もありました。


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中東情勢が緊迫する中の日米首脳会談 政権幹部は「成功」と評価

井上貴博キャスター:
今回の日米首脳会談を大枠で、どのように評価すべきなのでしょうか。


早稲田大学教授 中林美恵子さん:
会談のタイミングを考えると、高市総理はトランプ大統領に歓待を受ける前提があったような気がします。


日米関係がうまくいかないと、関税も含めて、NATO諸国も助けてくれないということで、トランプ大統領はどこの国ともケンカをしている大統領になってしまいます。

その事実があった上で、トランプ大統領は四面楚歌に近い状態ですから、“何でも言うことを聞いてくれる”良い同盟国・日本とアメリカの仲が良いことを、特にアメリカ国民にアピールしたいというタイミングであったと思います。


TBS報道局政治部 岩田夏弥 部長:
日本政府側の視点でみると、
▼ホルムズ海峡への自衛隊派遣については、表立っての要求は回避することができた
▼台湾問題については、アメリカ側の立場が変わらないことを確認できた
ということです。

そうした成果をもって、政権幹部は「会談は成功した」と評価しています。

一方で、イランや中東諸国、ヨーロッパ諸国からどのように評価されるかは、少し時間を置いてみる必要があります。


「平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけ」発言の真意とは

井上キャスター:
高市総理は「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけ」と発言しましたが、ここまで言う必要はあるのでしょうか。


早稲田大学教授 中林美恵子さん:
そこまで言わないと、トランプ大統領の機嫌が良くならないというところもあります。

一方でよく考えれば、“玉虫色”の言葉で、聞き方によっては「あなたが平和にしなければ、もうダメだ」という意味合いという見方もできると思います。

“玉虫色”に受け取ることができるこの言葉は、その場で出たというよりも用意したものではないかと思います。


山内あゆキャスター:
高市総理の「ドナルド」呼びについては、どう見ていますか。


早稲田大学教授 中林美恵子さん:
トランプ大統領を「ドナルド」と呼ぶ日米関係でありたいという、高市総理の気持ちが表れているのだと思います。

一方でトランプ大統領は、少なくとも公の場で「サナエ」と呼んでいないので、日本側の思いを表現したのではないかと思います。


トランプ氏を前に 高市総理から「中東情勢」に触れたワケ

井上キャスター:
世界中が注目した会談ということで、緻密に作戦が練られていたようです。会談冒頭、中東情勢について高市総理が先に話題にしました。


日米首脳会談の冒頭 高市総理の発言
▼「いま中東情勢も含めて、世界中の安全保障環境が非常に厳しい状況」
▼「きょうは日米がともに、強く豊かになるための話し合いをしたい」
▼「このあと経済成長のための話し合いをしたい」


「中東情勢」に触れた直後に、世界の「安全保障」へとテーマを広げ、さらに「安全保障」から「経済」の話題に移っていきます。

最後に「経済成長のための話し合いを」と経済を強調することで、中東情勢から目を逸らせる思惑がみてとれるということです。


TBS報道局政治部 岩田夏弥 部長:
これは首脳会談での一番最初の高市総理の発言です。つまり、トランプ大統領が言い出す前に、自ら中東情勢について話し始めました。

日本側としては、カメラ撮影が許されるいわゆる“頭撮り”の部分で、トランプ大統領からイラン情勢に関して無理な要求をされてしまうと、非常に厳しい状況になりますから、それは避けたいはずです。

あえて高市総理から中東情勢について話し始めて、話を展開する中で「このあとは経済について話し合おう」と、トランプ大統領が元々関心が高い投資の話をしていきましょうと流れを作ったということでしょう。


井上キャスター:
日本政府がこの話の流れに持って行ったとき、トランプ大統領はどう思っていたのでしょうか。


早稲田大学教授 中林美恵子さん:
ホルムズ海峡の状況について、トランプ大統領がほぼ四面楚歌の状態の中、日本が来てくれて、何かしらコミットしてくれるというようなことを会見でトランプ大統領は話してます。

1、2日前に「約束が来た」「NATOよりも素晴らしい」とも発言しています。トランプ大統領の心の中には、それなりの期待、あるいは高いボールを投げて何が返ってくるかを見てみたいという本心もあったと思います。

しかし、これだけの公の場で、記者団がいる中で、そのすべてを表明することはトランプ大統領も遠慮したのでしょう。

だからこそ、高市総理は時計を4回も見て、カメラがない場所で話すフェーズに移りたいという気持ちがはやっていた。カメラの前ですから、どこでトランプ大統領の本音が出てくるか、常に心配する状況だったのではないでしょうか。

ひとまず表面的には抑えられたという、そんな冒頭だったのではないでしょうか。


トランプ氏の発言の“本音” 「日本に何か貢献してほしい」思惑か

井上キャスター:
日米首脳会談の冒頭、トランプ大統領は「日本にはもっと役割を果たしてもらうことを期待。日本は石油の90%以上を(ホルムズ)海峡を通じて輸入していて、関与する大きな理由がある」と発言しました。

この発言の本音をどう見ていますか。


早稲田大学教授 中林美恵子さん:
トランプ大統領は、本当はNATOも日本などの同盟国、そしてホルムズ海峡を利用している国から、艦船などの軍事的な支援も欲しかったのです。

ところが、ことごとく逃げられるような状況の中、日本に「もっと役割を果たしてもらいたい」ということで、「ホルムズ海峡を通る」ということを根拠にしたわけです。つまり艦船を派遣するのに等しい、あるいはそれ以上の貢献が欲しいということです。

トランプ大統領が今、一番困っているのは「原油高」です。事実上のホルムズ海峡封鎖が原因ですが、結果として原油高を引き起こしていることが、アメリカの国内政治的にも非常に厳しいのです。

「原油高」が解消されれば、ホルムズ海峡への艦船派遣よりもありがたいわけです。原油価格を何とかするためであれば、日本がアメリカに最大限の貢献をするということはあり得ると思ったのかもしれません。

あるいは、戦闘が落ち着いた後の事後処理への貢献です。
日本の法律が許す範囲で、最大限の金・人・物を出すというような貢献でも良いという考えもあったかもしれません。

いずれにしても日本が「出す」ということに、トランプ大統領の期待があるということだと思います。


井上キャスター:
高市総理は、「日本の法律の範囲内でできること・できないことがある。これについては詳細にきっちりと説明をした」ということですが、どこまで踏み込んだのでしょうか。


TBS報道局政治部 岩田夏弥 部長:
いわゆる頭撮りの後の首脳会談の中で、トランプ大統領が何を言い、それに対して高市総理が日本側の立場をどれだけ説明をしたのか。

高市総理は今回、事態の沈静化が一番大事だとした上で、首脳会談に臨んでいますから、そのあたりも含めて、どういう話になったのかというところが焦点だったのでしょう。


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<プロフィール>
中林美恵子さん
早稲田大学教授
元アメリカ議会上院補佐官(共和党)
専門は国際公共政策


岩田夏弥
TBS報道局 政治部長 元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当


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