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日本から遠く離れたミャンマー東部に、特殊詐欺の犯罪拠点があり、そこに日本人を含む1万人以上が監禁されていることが分かりました。詐欺拠点の内部映像には残酷な拷問が行われていたことを示すものもありました。
「一つの都市のよう」外国人を“監禁”で詐欺に加担…実態は?
タイ西部、ミャンマーとの国境地帯を進むと、暗闇の先に突然現れたのは…
記者
「派手なネオンの建物があり、一つの都市が作られているような感じです」
取材した日は、花火も打ち上げられていました。
ミャンマー側の街・シュエコッコ。もともとはホテルやカジノとして作られた建物とみられますが…
記者
「一見、ホテルのような建物ですが、窓に鉄格子のようなものが見えます。外に出られないようにしているのでしょうか」
室内には人の姿があります。
記者
「パソコンに向かって作業しているような様子が確認できます」
こうした建物に、多くの外国人が監禁され、国際的な特殊詐欺の拠点になっていたのです。
同様の拠点は周辺に何か所もあるとみられます。
記者
「20人くらいで列をつくって、グラウンドのようなところを走っています」
監視小屋のような建物もあり、窓からは自動小銃が確認できます。
詐欺集団の拠点「KKパーク」 拘束の“日本人幹部”はオンラインゲームを活用し…
そして、広大な敷地一帯が詐欺集団の拠点になっているとみられるのが、「KKパーク」と呼ばれる地区です。
建ち並ぶ白い建物が監禁されている外国人の住居で、庭付きの大きな建物が幹部の住宅とみられています。建物は2年間で一気に作り上げられていました。
タイとの国境沿いのミャンマー東部にはこうした拠点が点在し、約1万人の外国人が監禁され、詐欺に加担させられていたとみられるのです。その中には、日本人も含まれます。
記者
「高校生は去年12月、タイの首都バンコク近郊にあるスワンナプーム国際空港に、一人で飛行機に乗ってきました。そして、迎えにきた人物が手配した車で国境に向かったということです」
愛知県に住む16歳の男子高校生はSNSで海外での仕事を紹介されてタイに渡航。ミャンマーの詐欺拠点へと連れていかれました。
そこで強要されたのは日本人に対する詐欺行為。男子高校生は「警察官などを装って電話をかけさせられた」といいます。
宮城県の男子高校生も被害にあいました。
タイ警察に拘束された藤沼登夢容疑者(29)に誘い出されたとみられています。藤沼容疑者は詐欺組織の幹部とみられ、オンラインゲームを通じて高校生と知り合ったといいます。
「奴隷のようだった」過酷な監禁生活の証言 “中国系マフィア”が拠点統括か
二人の高校生はすでに保護されましたが、監禁生活は過酷なものでした。こんな証言も…
監禁されていた男性
私たちは銃を持った犯罪組織の人間に囲まれていた。頭にずっと銃を突きつけられた状態で、奴隷のようだった」
ミャンマーにある詐欺拠点の内部映像には、電気ショックを与える様子も写っています。
解放された中国人の男性も、監禁生活の過酷さをこう証言します。
詐欺拠点で監禁された 許 博淳さん
「彼らは硬い棒で、私たちの尻や太ももを何度も激しく叩きました。暴行は『逃げられない』『逆らえない』ことを理解させるための儀式のようなものでした」
抵抗しようとして殺された人もいたといいます。
詐欺拠点で監禁された 許 博淳さん
「ある日、収容されていた人たちが、傭兵の銃を奪おうとして、4人がその場で射殺されました。他の7人も銃弾を足に受けたんです」
こうした詐欺の拠点を統括しているのは中国系マフィアだとみられています。監禁されている人の多くも中国人で、俳優らも被害にあっていたことに中国国内で衝撃が走りました。
国際的な関心も高まるなか、中国政府がタイとミャンマーに協力を求め、今回、大規模な摘発が始まったのです。
22日、詐欺拠点の「KKパーク」に、ミャンマーの少数民族武装勢力「国境警備隊」が突入。犯罪組織の中国人らが拘束され、監禁されていた多くの外国人が解放されたとみられています。
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