「お好み焼き2035年問題」という言葉を皆さんご存じでしょうか?いま「粉もん」を扱うお店の倒産が相次ぎ、10年後には半減するのではという声もあがっています。庶民の味に何が起きているのでしょうか。
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“過去最多ペース”粉もん店の倒産が止まらない3つの理由
井上貴博キャスター:
粉もん店(お好み焼き・たこ焼き・焼きそば)は、2025年の1月〜7月までで17件が倒産していて、過去最多ペースとなっています(東京商工リサーチ調べ 負債1000万円以上)。なぜ倒産が相次いでいるのでしょうか。
日本コナモン協会によると、主な原因は▼原材料・光熱費の高騰、▼若い世代の“お好み焼き離れ”、そしてさらに深刻なのが▼後継者不足だといいます。
日本コナモン協会の熊谷真菜会長によると「後継者不足などにより10年後の2035年にはお好み焼き店が半減する可能性がある」ということで、協会としては、“お好み焼き2035年問題”として警鐘を鳴らしています。
また経済評論家の加谷珪一氏は「後継者不足は様々な業種で深刻になっている。今後は生活に身近な職業にも広がる可能性がある」といいます。
後継者不足による倒産は、5年連続で過去最多を更新していて、2024年は463件となっています。(東京商工リサーチ調べ 負債1000万円以上)
少子高齢化によって後継者不足になることは、昔から言われていましたが、ここに来て各業種でだいぶダメージがあるようです。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
自分の事業を承継することがなかなか難しくなっています。人がいないだけではなく、資金もない。また非常に高く売れるところと、全然売れないところで二極化していることもあり、今まであまり経験したことのないような局面ではないでしょうか。
“後継者不足”の影響ほかにも 高齢化でニーズが増える“アレ”が作れない?
井上キャスター:
後継者不足は避けられない未来となっていて、我々の身近な生活にも影響が及びつつあります。
例えば、街の電気店が倒産していくことで、どのような影響があるのでしょうか。経済評論家の加谷珪一氏によると、街の電気店は“地域密着”のため、家電修理などの対応がスピーディーな場合が多いということです。一方、大型量販店では、順番待ちでなかなか回ってこないことがあります。
また三重県保険医協会によると、歯科技工所の8割以上が「後継者がいない」と回答していて、歯科技工士が少なくなれば、入れ歯が作れなくなる可能性が高いといいます。
歯科技工士は国家資格で、近年資格を取る人の数は微増しているものの、給料が安いため他の業種に転職する人が増えているそうです。
少子高齢化で入れ歯のニーズは増えるのに、人手が足りず供給が間に合わないなど、生活にも影響が及びそうです。
“後継者不足”の解決に取り組む町も 釣り愛好家を後継者に!?
井上キャスター:
高齢化に伴い“漁師の後継者不足”の問題も深刻になっています。これを何とかしたいと、静岡・西伊豆町が町を挙げてプロジェクトを始動しました。
2023年に開始した、“釣り愛好家”を漁師にするプロジェクトです。
町が漁業に興味を持っている「釣り愛好家」と漁業関係者をつなぎ、個人では難しい「漁業権」の取得をサポートすることで、釣り愛好家に漁師になってもらい、後継者不足を解消しようという取り組みです。既に東京などから移住した3人が漁業権を取得するなど、成果も出ています。
井上キャスター:
日本はもちろん、世界中でも少子高齢化が続くと言われている中で、日本が課題を解決するモデルさえ作ることができれば、反転攻勢も見えてくるのではないでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
しかし、その一部は外国人に担ってもらうしかないですよね。人手不足を考えると、日本には、排外主義を唱えている暇はないように思います。
出水麻衣キャスター:
1回途絶えてしまうと、今まで積み重ねてきたノウハウが失われてしまいます。それは止めていかなければならないので、すごく素晴らしい取り組みですよね。
井上キャスター:
SNSを使って世界中に発信することで、世界中から人に来てもらって、違う形で繋いでいくという方法もありますよね。
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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年
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